会話はテクニックです。
ちょっとしたコツを掴むだけで会話上手になるポイントというものがあります。
あまり話さない客との間で沈黙しない、場の盛り上がる会話方法をお教えします。
会話上手の3つの要素
キャバ嬢として会話上手になることはとても大切なことです。
会話上手になるためには、会話上手の3つの要素を知る必要があります。
その要素とは、
- 話の内容を良くすること
- 表現技術を高めて、伝えやすくすること
- 客を喜ばせようと思う気持ちを持つこと
の3つです。
ここでは、これらの要素をもとに、会話上手になる方法を解説していきます。
会話の内容を作る方法
一つ目の要素は、「話の内容を良くすること」です。
会話上手になるために、話の中身を高める方法を学びましょう。
話の作り方を簡単に説明すると以下の通りです。
- 元になるネタを選ぶ。
話題は衣、食、住、仕事、性、健康、家族、知人、旅、ニュース、趣味、気候などです。 - ネタを探す。
最近読んだ話、最近気になったニュースなど。 - 切り口を考える。
大きなネタをたくさん見つけることはできないので、ニュースの切り口で差を付けます。 - 上手くまとめる。
5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を考えるのがポイントです。 - 脚色する。
余分を削る、順序を変える、山場の盛り上げをくわえる、設定をアレンジするなどです。
この順序に沿って、以下の記事から話題を作ってみましょう。
調べによると、男は年齢不詳・住所不定・無職の☆☆。深夜、スーパーに侵入して食料品を盗もうとしたが、冷蔵庫が1度ドアを閉めると内側からあかない仕組みであったため、閉じ込められた。
逮捕直後、☆☆容疑者は衰弱していたため病院に収容されたが、命に別状はない。」
この記事を新聞で読んで、キャバクラで客と話すときにネタにするにはどうすればよいのでしょうか。
ネタを探す際には、この様なネタは悪くないのですが、新聞からネタを探すよりはゴシップネタなどの下品な物は避けてください。
次に切り口ですが、この記事を読んだだけでは、容疑者の男性が間抜けであるという切り口しかみつかりません。
そのようなことは記事を読んだ誰もが思っていることであるため、会話が平凡になってしまいます。
そこで、記事にはない「なぜ?」を考えると切り口が見えてきます。
たとえば、容疑者はなぜそのスーパーを選んだのか。
こう考えてみると、容疑者の男性が無職・住所不定であることから「食料品を盗んで食べようと思った」と仮定できます。
しかし、これでもまた平凡な話になってしまいます。
そこで、「食料品を盗んで売ろうと思った」などと考えてみれば、すこし違ってきます。
このような、他人が思いつきにくい切り口を見つけましょう。
次に、5W1Hを意識して簡潔にまとめていきます。
簡潔にまとめることで、話の骨格をきちんとしたものにすることができます。
5W1Hを読み取るのは簡単なことです。
なぜならば、そもそも新聞記事が5W1Hを意識して書かれたものだからです。
記事からうまく抜き出し、話の順序を整理していきます。
自分の体験した面白話を順序立てて説明していくよりも、ずっと簡単です。
つまり、この記事では冷蔵庫に閉じ込められたという部分です。
これを抜いてしまうと、後で「で、なんでその男性は捕まってしまったの?」と聞かれることになります。
うまく伝えられなかったという事です。
頭の中で順序を決めるときには、新聞記事のようにまとめないようにしてください。
そのように話してしまえば、面白みのない説明になってしまいます。
新聞記事ではなく、絵本のようにまとめることを意識しましょう。
例えば、
というように話すようにしましょう。
こうすると、自然な流れで話すことができます。
また、私のようなライターは起承転結を意識して文章を書くようにします。
キャバ嬢の中にも、学校の作文でそう習い、普段の会話などでも無意識のうちに起承転結にかなうように話している人もいるかもしれませんが、すべてにおいてこれが正しいわけではありません。
昔話を読んでみても、「桃太郎はおじいさん、おばあさんと幸せに暮らしましたとさ」というような、ごく短い一文で締めくくられていることが多いです。
このことからも、必ずしも起承転結を意識する必要がないことが分かります。
難しく考えずに、要点を抑えて5W1Hとともに話せば問題ありません。
最後に、脚色です。
脚色は、その話が客にとってより面白いものになるために行います。
いわば肉付けです。
例えば、この新聞記事を脚色するならばこうです。
こんな感じで話すと、新聞記事みたいに無味乾燥な感じにもなりませんよね。
まずはきちんと伝えられるようにして、それが出来るようになったら盛り上げ方を覚えましょう。
自信が付いたら、切り口を変えることで色々な話し方が出来るようになります。
もっとも、毎回こんな長話が出来るとは限りません。
客の中には、キャバ嬢が長話をするとうんざりする人も大勢いるからです。
しかし、短い話を長くするのは難しくても、長い話を短くするのは簡単なので心配はいりません。
客ごとに話の長さを工夫して話し、練習してみると良いでしょう。
表現に磨きをかける
キャバクラに来る客の中には色々な客がいます。
よく話す人もいればあまり話さない人もいます。
よく話す人ならば相槌を打つだけでよいのですが、あまり話さない人ならばそうはいきません。
中には、キャバ嬢が話すのを聞くのが好きという客もいます。
そのような客と話をするときには、キャバ嬢の方が長く話さなければならないこともあり、話をうまく伸ばしていくことも必要となります。
では、どうすれば話を伸ばすことができるようになるかと言えば、それは表現技術を磨くほかありません。
表現技術とは、その字の通り表現に多様性を持たせる技術です。
例えば、
- 上手に間を取る
- テンポを変えながら話す
- 声に強弱をつける
- 表情、視線、しぐさの変化を入れる
- スペースを活用する
などのことです。
表現技法を鍛える訓練は手軽に行うことができます。
例えば、上記の泥棒の話ですが、この話を自宅の鏡の前でしてみてください。
もちろん、この5つのポイントに意識しながら。
もし場の空気がたるんでいたり、笑いを狙っている時などは不意を突くほうが効果的なこともありますが、基本的には相手の準備が整ったときに話の山場を迎えた方が盛り上がるものです。
そのため、山場を迎える前には適度に間を作り、相手に緊張感を与え、そのうえで山場を迎えるのが効果的です。
このとき、テンポと声の強弱を考えながら話すことで、会話にメリハリを付けることができます。
上記の泥棒の話をするとき、どこでテンポを速めたり緩めたりするか、ボリュームを上げるか下げるかを考えてみましょう。
次に表情、視線、しぐさに変化を入れることとスペースを活用することですが、これも積極的に入れてください。
強調したいところでは目を見開いたり、前に出てみたり、驚きの表現をするために後ろにのけぞったり、色々な方法があると思います。
もし、会話の内容に怒りや悲しみの描写があったとしても、本当に怒ったり悲しい顔をしてはいけません。
場を盛り上げて客を楽しませるためにやっているからです。
上記の様な表現技術を身に付けておくと、話にメリハリを付けることができるため、あなたが感じている感動を伝えることができます。
たとえそれが小さな話でも、客を楽しませることができるでしょう。
鏡の前で話すと、どこが客にウケそうかなんとなく分かってくると思います。
そして実際に客にウケると、コツをつかむことができます。
ウケるコツをつかむことができると嬉しいものですから、きっと同じような表現を繰り返し、あるいはより楽しませることができそうな表現を磨いていきたいと思うでしょう。
繰り返していくうちに、表現技法は体に染みつきますから、無意識にできるようになります。
無意識にできるようになると、いつしかあなた特有の間と雰囲気を作ることができます。
緊張と緩和の使い方
緊張と緩和、これは上手な会話の中でも特に大切なものです。
緊張と緩和を使った話法が非常に上手な職業の人を知っていますか?
それは落語家です。
落語家は、昔からある話を自分なりに少し脚色し、間を作りながら話す仕事です。
話の大筋やオチは同じですから、聞く人によってはオチは読めています。
しかし、落語ファンたちは飽きることなく聞いています。
それどころか、「この演目なら、○○さんが一番うまかった」とか、「○○さんのこの演目は何度聞いても面白い」と言って、同じ話を何度も聞きます。
落語の醍醐味が分からない人からしてみれば、「なぜ何度見ても笑えるんだろう?」と不思議ですが、落語ファンは「分かっていても笑えるのが芸なんだ」と言います。
実際、「ではその芸とは?」という気持ちで落語を聞いてみると、話の脚色と間の取り方が分かってきます。
これが、不思議と笑えるんです。
私も落語好きというわけではありませんからあまり積極的に見ることはありませんが、それでも見てみると笑えるんですね。
これが「芸」というやつなのでしょう。
落語の世界では、話を脚色し、間を取り入れて話す技術のことを、緊張と緩和を生むといいます。
このことについて、すこし見ていきましょう。
人の心に響く話というのは、緊張と緩和があってこそ成り立つものです。
これは、緊張から緩和へ進むものと、緩和から緊張へと進むものがあります。
バラエティー番組を見ていても、落語を聞いていても、話が上手な人との会話でも、必ず緊張と緩和を工夫して話していますが、多くの場合は緊張から緩和という話し方です。
まず話を盛り上げて置き、オチに入る前に間を作り、聞き手が「え、なに?それでどうなったの?」と緊張感を抱いたところにオチがきます。
これで緩和が生まれます。
これが笑いとなるのです。
しかし、逆のパターンもあります。
緩和から緊張になるものです。
トーク番組などで意識的にこの話し方をつかう人もいますが、天然ボケもこの緩和から緊張のパターンです。
天然ボケは、何もない状態、つまり緩和の状態で急に誰も予想していなかった緊張が訪れるからこそ、笑いが生まれるのです。
緊張から緩和のパターンは、悲しい話にも使うことができます。
盛り上がったところで悲しいことの象徴的なセリフなどを入れることによって、泣きを誘うことができるのです。
また、怖い話にも応用できますね。
もっとも、悲しい話や怖い話でも緩和からの緊張で面白くすることができますが、技に磨きがかかっていないと難しいです。
客を喜ばせる気持ち
キャバクラで働くためには、サービス精神は必要不可欠です。
サービスという言葉は既に日常会話で普通に使われる言葉になっていますが、本来は英語であり、日本語に訳すると奉仕という意味です。
しかし、サービスだけでは売れっ子になることはできません。
売れっ子キャバ嬢になるためには、ホスピタリティーが必要です。
聞きなれない言葉かもしれませんが、日本語に訳すると「喜んでもてなす」という意味です。
喜んでもてなすということは、言い換えるならば客を喜ばせようという気持ちです。
売れっ子になるためには、ホスピタリティーが必要なのです。
ホスピタリティーな気持ちがあれば、会話をするときの心がけも変わってきます。
この気持ちがあると、客が喜びそうな話題を選ぼうとしますし、客が話したがる時には聞こうとします。
また、客が聞きたがる時に話そうと思うようになります。
会話する態度も変わりますから、いい笑顔で話せるようになりますし、細かい気遣いをさりげなく出来るようになります。
ホスピタリティーな気持ちがあるおかげで、客からの好感度は確実に上がるのです。
ホスピタリティーな気持ちは、その気持ちを心がけていると徐々に強くなっていきます。
この気持ちが強くなってくると、会話の時にも客にしっかりと伝えようという気持ちも強くなりますから、語り掛ける言葉に魂がこもるようになり、客の心に響きます。
当然、客を喜ばせたいという気持ちも強くなります。
楽しんでいる客をもっと楽しませることができるだけではなく、楽しめていない客を楽しませることもできるようになります。
つまるところ、ホスピタリティーな気持ちとは、自分中心に考えずに客を中心に考える気持ちです。
自分が楽しいからうれしいのではなく、客が喜んでいるからうれしいと感じることなのです。
この気持ちがあれば、会話があまり上手でない人も、技術を磨こうという気持ちになることでしょう。
客を喜ばせたいと思うからです。
会話上手になるために欠かせない気持ちでもあるのです。
この気持ちを持っているキャバ嬢は、それだけで売れっ子になる要素を持っているといえます。