キャバクラでは、フリーで入ってきた新規の客をいかに楽しませ、リピートさせるかが非常に重要です。
フリー客についたキャバ嬢は初対面の客とどのような会話をしているのでしょうか。
キャバクラだからさぞかし気の利いた会話展開が行われるのだろうと思っているかもしれません。
確かに色々なテクニックが使われていますが、会話のとっかかりは意外にも単純なものです。
初対面の会話の内容は?
会話のとっかかりにベストなネタは、時候ネタです。
知らない人に話しかける際、よく「今日はいい天気ですね」とか「今日は寒いですね」などという声かけをしますが、これと同じような会話が行われています。
このような声かけは、高齢者によくみられるものというイメージがありますが、実際にはあまり年齢に関係ないものです。
あなたも、友達に会ったときに第一声で「さむ~!(今日は寒いですねの進化バージョン)」と声を掛けることがあるでしょう?
キャバクラでも同じく、時候ネタが用いられます。
例えば、キャバクラに入ってきた客の傘が濡れていないのを見て、
「雨はもう止んだの?私が出勤した時は激しく降ってたけどな」
などという声かけです。
このような声かけが行われたのち、大抵は以下の順序で会話が進められます。
キャバ嬢のテクニックはここからであり、単なる当たり障りのない会話に見えますが、実際には情報収集をしています。
- このお店は初めてですか?(初めてだと分かっていても一応探りを入れる)
- 今日は会社の帰りですか?(仕事は何なのかヒントを得る)
- 何か食べてきましたか?(次のセリフへのつなぎ)
- 食べ物は何が好きですか?(好みによっては食べ物ネタで会話を展開できる)
- 仕事場は近いんですか?(仕事を知るためのヒントを得る)
- よくこのあたりで飲むんですか?(他のキャバクラにいくかどうか探る)
- 休みの日は何をすることが多いですか?(趣味を聞き出し、会話の糸口をつかむ)
- おいくつですか?(相手の年齢を知るほか、「お若いですね!」というセリフを言えるかも)
- お仕事は何ですか?(会話が進んで親しくなると聞いてよい)
おおむね、以上のような流れで会話が行われています。
このような会話によって、間を持たせるという意味のほか、客のデータを少しずつ収集していき、会話の方向性を決定づけていき、その客を虜にするためにはどうすべきかを考えていくことができます。
方向性を決定づける情報が得られればしめたもので、そのためにテクニックが要求されます。
お店の教育もあり、またキャバ嬢自身も上記の会話によって情報を収集していくのが定石となっていることから、キャバ嬢が回転するごとに上記の会話が行われます。
客からすればうっとうしく、下手なキャバ嬢ほどインタビューのような会話になってしまい、客は楽しくなくなってしまいます。
これに対し売れっ子キャバ嬢は客に質問をしているにもかかわらず、客にそのような感覚を与えずに普通の会話のように楽しませることができます。
客からしてみれば、このような会話で退屈している時に、ごく普通の会話のなかに楽しみを感じさせるキャバ嬢がついてくれると非常に楽しく感じることができ、指名しようと思うようになります。
だからこそ、キャバ嬢には「初対面におけるなんでもない会話で楽しませる技術」が売れるための条件であるともいえます。
もちろん、客も単にキャバ嬢の質問に淡々と答えているわけではなく、色々な質問をします。
また、それらの質問に対してどのように切り返すか工夫するのもキャバ嬢の腕の見せ所です。
例えば、以下のような質問です。
- 年はいくつ?(何歳に見えますか?と切り返すことができる)
- この店は長いの?(入ったばっかりって言って指名をおねだりしようかな)
- いつ店に出てるの?(営業チャンスかも!)
- 昼間は何してるの?(特に何もしてないけど。資格取るために勉強してるとでも言っておこうかな)
- 彼氏はいるの?(本当はいるけど、いないってことにしておこう)
以上がスタンダードな質問ですが、中にはキャバ嬢が嫌がる質問をしてくることもあります。
例えば、
- なんでこんな仕事してるの?
- 親はこの仕事のこと知ってるの?
- 一人暮らしなの?どこに住んでるの?
- 初体験は何歳のとき?
のような質問であり、だんだんとエスカレートしてきます。
このような突っ込んだ質問に真面目に切り返していたら、喧嘩になってしまいます。
- こんな仕事?キャバ嬢なめてるの?
- アンタだって奥さんとか子供に内緒で来てるじゃん
- 実家暮らしでも、一人暮らしでも、同棲でも関係ないでしょ
- 下ネタにもっていこうとしてる?おっさんと下ネタなんか興味ないよ。
- 初体験のこと聞くとか正気?
となってしまいます。
キャバ嬢たちは胸の中でこのように思いながらも、ニコニコといなしています。
むしろ、時にはセクハラまがいの質問をいかにかわしながら会話の糸口をつかんでいくことが売れっ子キャバ嬢に求められる条件なのです。
客の情報を掴んで会話を広げていく
このような質問のやりとりによって、仮に相手の趣味が映画だと分かったとします。
映画ならば比較的話題にしやすい趣味と言えます。
映画は比較的客から挙げられやすい趣味でもあるため、熱心なキャバ嬢になると映画情報誌や映画関連のネットニュースを読んで情報収集しているくらいです。
このほか、グルメも話題に出やすいものです。
食べることが好きという客ならば、おいしいお店を探すことが趣味ともいえますから、広げやすい話題でもあります。
そのような客には、「私もおいしいもの食べるのが大好きなんです!どこのお店がおいしいですか?」などと聞いてみると盛り上がるものです。
スポーツ観戦が趣味というのもよく出る話題です。
この話題はキャバ嬢からするとすこし取っつきにくい話題ではありますが、その場合には取っつきにくいことを売りにすることができます。
例えば、客が野球観戦が趣味ならば、「どの球団のファンなんですか?巨人ですか?最近のイチオシ選手って誰ですか?」などと聞いてみると良いのです。
基本的に男性は自分が優位に立つことを好み、教える立場とは優位な立場ですから、得意気に色々と教えてくれるでしょう。
会話の糸口を広げるプロと言えば、ホステスです。
キャバ嬢も売れっ子になるために、ホステスの姿勢に学ぶところは大きいでしょう。
ホステスは政治や経済の話や社会的なニュースに関する話にも対応するため新聞は隅々まで読みます。
テレビのワイドショーも見て芸能ニュースも頭に入れます。
このほか、雑誌を読むことで雑学を仕入れる努力も怠りません。
広く浅く(もちろん分野によっては深く知識を入れますが)入れることによって、断片的な知識を握って置けば、様々な客の様々な話題に対応できるようになります。
もっとも、キャバクラとクラブでは客層が異なり、キャバクラの方が小難しい話は出にくいでしょう。
したがって、政治経済の話題よりは雑学に比重を置いた方が良いかもしれません。
ホステスほどに熱心に学ぶ必要はないかもしれませんが、できる範囲でやっておくのと何もしないのとでは、売れっ子になれる可能性に雲泥の差が生じることでしょう。
初対面で客に気に入られるかどうかが決まる
キャバクラでは不思議な現象が起きます。
それは客が本来好みでないはずのキャバ嬢を気に入って指名してしまう事です。
これはよく見られる現象なのですが、この原因はとりもなおさず、客に対して「心に響くもの」を感じさせることができたためです。
簡単に言えば、フリー客につく短い時間での会話が終わった時、客の印象に残っているという事です。
フリーに時間が終わった時点で客は何枚もの名刺を持っており、お酒も入っているため、印象に残らなかったキャバ嬢のことなど覚えていません。
心に響いたキャバ嬢のことは覚えており、次回以降の指名に繋がるのです。
「心に響いた」というのは、つまり話が弾んだという事が前提となります。
フリー客につくわずかな時間ではあまり深い話をすることはできないため、話が弾めば弾むほど話が完結しない状態でのお別れとなり、「もっと話したかったな」という印象を残すことになります。
つまり、客にはいくらかの飢餓感が残り、またお店に来てあの子と話したいと思うようになるのです。
逆に、話がそれほど弾まず、完結してしまっては何の余韻も残りません。
以上のように、客が「この子とは話が合う」と思うのは、実際にはキャバ嬢が上手く話しを合わせているのであり、キャバ嬢のテクニックによって生み出される感覚なのです。
キャバ嬢は、会話の中から客の興味を持っている話題をうまく汲み取り、そのツボを刺激していったにすぎません。
それさえつかんで会話に方向性を持たせれば、あとは聞き上手になって客に話をさせて満足度を高めていくのです。
このほか、会話の内容だけではなく、その客と出身地が同じ、趣味が同じなどといった共通点を見つけられたならば、それ自体が印象を残すことになります。