水商売にはさまざまな形態があります。
まずはスナック形式とクラブ形式の違いから。
スナック形式とは
水商売にも色々ありますが、大きく分けるとスナックとクラブに分かれます。
どのような違いがあるかといえば、まず料金での違いがあります。
一般的に、スナックはクラブよりも安いです。
クラブではテーブル席ばかりであるのに対し、スナックはカウンター席もあります。
カウンターはバーにあたることから、スナックは法律上はバーになります。
お店が大きくなると、スナックにも4~8人が座れるテーブル席が設けられ、これをボックスと呼びます。
団体の客や、接待で利用する客、VIP客などが座る席です。
ボックス席は一般的なスタンドやバーよりスナックの方が多く、スナックよりラウンジのほうが多いのが一般的なケースです。
ちなみに、ボックスが多いお店の方が基本料金は高くなる傾向があり、そのような高いお店ではカラオケがないお店も増えてきます。
スナックでの接客は、カウンターを挟んで行われます。
ママやキャストがカウンター内でお酒を作ったり、おつまみを提供しながら客と会話をします。
ボックスがある場合には、キャストがボックスに行きますが、キャバクラの様に客とキャストが1対1ではないこともあります。
また、カウンター席ではカウンターを挟んで対面で接客しますが、ボックスでも隣に座ることのほか、対面で座ることも多いです。
また、スナックではキャストを指名することはできません。
キャバクラの様に、指名料を支払ってお気に入りのキャストを指名するという制度がないのです。
まぁ、かなりの常連客であれば、お気に入りのキャストが空いている時には指名することもできますが、普通はできません。
指名する時は無料です。
指名できず、キャストがランダムで付けられることから、通っているうちにお店のすべてのキャストと仲良くなることができるのがスナックの面白いところでもあります。
また、在籍するキャストが客の数より少ないのが普通なので、数人の客に対して1人で接客することもあります。
クラブ形式とは
一方のクラブ形式ですが、キャバクラやクラブがこれに当たります。
キャバレーもありますが、キャバレーはセット料金が高いスナックというイメージです。
飲み放題のお店もあり、キャストに触っても怒られません。
クラブというのは『女帝』のようなドラマの題材になるお店で、着物を着たママが切り盛りしているような高級なお店です。
キャバクラは、キャバレーとクラブの中間に位置します。
クラブは総じて高級ですが、キャバクラはクラブほど高くなく、かといってキャバレーのように下品な感じもありません。
最近はこの3つの中でもキャバクラが最も成長しており、キャバレーはあまり見かけなくなっています。
このほか、フィリピンパブなどの外人パブもクラブ形式です。
外人パブにはショータイムがあり、歌や踊りを披露するお店が多いです。
キャバクラでも、大箱キャバクラになるとショータイムを設けているお店があります。
外人パブの料金は色々で、キャバクラと同じくらいの価格設定になっているお店が多いです。
クラブ形式のお店の規模は色々ですが、スナックに比べると大きなお店が多いです。
小さいお店でも15坪程度あり、ビルのワンフロアくらいの広さを丸ごと使っているお店もあります。
このほか、高級店になるとキャストも多いので、1人の客に対して1人以上のキャストがつくのが標準的です。
接客はカウンターではなくボックスで行われ、対面ではなく隣に座るのが普通です。
クラブ形式のお店は、スナックとは違って指名制度があります。
初めての来店でキャストの名前が分からない場合には指名することができませんが、その場合にはその時に指名が入っていないキャストが接客することとなります。
お気に入りのキャストがいれば、指名料を支払って指名することで接客を受けることができます。
指名料は数千円です。
支払われた指名料の一部はキャストの収入になり、何割がバックされるかはお店によって異なります。
大箱キャバクラの人気キャバ嬢になると、1日当たり10本以上の指名を獲得することができるので、かなりの収入になります。
そのようなキャバ嬢を指名すると、他にも指名している客が多いため、客一人当たりに接客する時間は短くなります。
また、スナックのようにカラオケもありません。
そこで、お店では指名したキャバ嬢以外の女の子をヘルプとして客に付けて接客をします。
指名を受けていないキャバ嬢がヘルプにつくので、ヘルプにはそれほど人気がないキャバ嬢やアルバイトのキャバ嬢がつくことが多いです。
この時キャバ嬢の配置を考えるのがラッキーと呼ばれる男性スタッフですが、ラッキーは客の性格を考えながら、相性がよさそうなキャバ嬢をヘルプに付けています。
キャバクラとクラブは見分けが付きにくいですが、大きな違いがあります。
それは、キャバクラの会計が非常に明確であるという事です。
キャバクラでは基本料金、指名料、ドリンク料がかかりますが、それぞれの料金は毎回同じ値段になっています。
飲み放題のお店も多いです。
しかし、クラブの中には料金があまり明確ではないお店もあります。
これはクラブはお金のかかるお店だという前提があり、お金のない客はこないため、料金設定が明確ではなくともあまりトラブルにはならないということが理由です。
スナック形式とクラブ形式の違い
ここまででも、スナック形式とクラブ形式の違いは分かったでしょうが、もっとも大きな違いを見てみましょう。
それは、キャストに求められることの違いです。
上述の通り、クラブ形式のお店には指名制度があります。
指名が取れるようになって、初めて一人前のキャストだと認められます。
また、指名が付くと特定の客を接客するようになり、自分にとっての「お得意様」ができて、お得意様の多さが収入を大きく左右することから、多く稼ぐためにはたくさんのお得意様を作る必要があります。
これに対して、スナック形式のお店は指名制度がなく、お店に来た客はどの客にもつく可能性があります。
そのため、クラブ形式の様に特定の客に深く支持されるよりも、多くの客に広く浅く支持されることが求められます。
このように、狭く深くか、あるいは浅く広くかという違いがあるため、仕事の仕方もおのずと変わってくるのです。
どちらの形式にしろ、うまく働くことができずに辞めてしまう女の子には、スナック形式とクラブ形式のこの違いを分からずに働いているからこそ伸び悩んでいるということがありがちです。
スナックで働いていた女の子がクラブに移籍し、広く浅く支持されることに慣れて働いていると指名を取ることができず、伸び悩むことになります。
お店にとってはすごく使えるヘルプになることはできるかもしれませんが、人気キャバ嬢になることはできません。
逆もしかりで、スナック形式のお店で狭く深くを求めてしまうと、多くの客から愛されることができずに伸び悩んでしまいます。
もちろん、最も良いのは「広く深く」です。
売れっ子になるキャバ嬢というのは、この様なことを知らなくても自然と広く深くを求めていくことが多く、そのような女の子をみると、やはりこの世界にもセンスの良し悪しはあるのかな、と思わされます。