世の中の様々な場面で、2:8の法則というものが働いています。
これは、2割の少数によって8割の結果が占められているという法則であり、キャバクラの世界でもこの法則が働いています。
つまり、2割の優秀なキャバ嬢が、売上の8割を稼いでいるのです。
2割のキャバ嬢たちは、いかにして2割に入ることができたのでしょうか。
そこには、いろいろなテクニックがあります。
2:8の法則とは
初めてそのキャバクラ店に入るお客さんは、そのお店にどのようなキャバ嬢がいるかを知らない
(インターネットや情報誌から事前にキャバ嬢の情報を得ている場合を除く)のですから、当然ながら指名するキャバ嬢はいないものです。
業界用語では、そのようなお客さんのことを「フリー客」や「本番客」と呼びます。
そのようなお客さんにどのキャバ嬢がつくかに関しては、出勤順、指名本数の多い順、マネージャーの任意の選択などで決められます。
フリー客がお気に入りのキャバ嬢を見つけ、次回以降の来店につなげる必要があるため、セット時間内で複数のキャバ嬢が一定時間ずつ接客し、お客さんの反応を見ていくことになります。
このとき、キャバ嬢の出勤時間順で公平にフリー客につけていくお店もあれば、
一定の指名本数を獲得しているキャバ嬢だけに限定して順番につけていくお店もあるわけですが、
実際のところ、どちらのほうがリピート客につながる可能性が高いかを考えたことがあるでしょうか。
2:8の法則
どのような組織でも共通することですが、2:8の法則という法則があります。
これは、イタリアの経済学者であるパレートが提唱したものです。
たとえば、自然界に存在する組織を見れば、アリというのは非常によく組織化された生き物ですが、アリの世界にも2:8の法則が当てはまります。
2割のアリがガンガン働き、8割のアリはあまり働かないのです。
一般企業でも同じことが言えます。
つまり、その組織の働き、企業で言うならば売上の8割は、2割の働き手がもたらしているのです。
その他によく言われることとしては、世界の富の8割は2割の富裕層が握っているなどともいわれる通り、2:8の法則はいろいろなものに当てはまります。
100人の社員がおり、10億円の売り上げがある組織があるとしましょう。
その組織をよく観察してみると、実は10億円のうち8億円は、有能な20人の社員によって生み出されており、決して100人がそれぞれ同程度の働きをして10億円が生み出されているわけではないのです。
残りの80人が生み出すのはせいぜい2億円です。
しかし、だからと言ってその80人が不要な人材というわけではありません。
80人をクビにすれば、残る20人で8億円の稼ぎを確保し、80人分の人件費や管理費をカットし、組織のスリム化を図れそうなものですが、そのように簡単な話ではないのです。
20人だけの組織にしたところで、また2:8の法則が働くようになるからです。
キャバクラにおいても、2:8の法則が働いています。
指名をよくとるキャバ嬢が売上の8割を担っていることから、2割のキャバ嬢だけをはじめからフリー客につけているお店は、繁盛店になりやすいものです。
しかし、残りの8割のキャバ嬢たちも、そこそこの売り上げを上げているのですから、フリー客につけてもらえないとなれば非常に不公平ですから、不満の種になるのは明白です。
ですから、現実的にはデメリットも生まれます。
それでも、お店としてフリー客がリピーターになることは大切なことですから、腕の良いキャバ嬢だけを限定して接客させ、場内指名からリピートへとつなげていったほうが効率が良いのです。
フリーのお客さんをリピーターにできる確率が高いキャバ嬢たちは、どのお店にも2割程度存在しますが、彼女たちとその他の8割のキャバ嬢とではどこが違うのでしょうか。
これにはいろいろな違いが挙げられ、当サイトでもいろいろな観点から述べている通りです。
たとえば、売れるキャバ嬢は、お客さんと出会った瞬間に、いかに第一印象を良くするかということに気を使っているものです。
しかし、第一印象が良かったからと言って必ずリピート客になるわけではありません。
ですから、よい第一印象を与えた後に、さらに満足度を高めるためのさまざまなテクニックが用いられているのです。
そのテクニックを、いくつか見ていきましょう。
サンキューコールという小さな努力
フリー客に接客したキャバ嬢は、自分の携帯番号が書かれた名刺をお客さんに渡し、可能ならばお客さんの電話番号も教えてもらいます。
お客さんが気軽に教えてくれたならば、キャバ嬢はお客さんが帰った後、その夜のうち(遅くとも翌日の昼ごろまでに)に、
今夜はありがとうございました。
○○さんのお話、とっても楽しかったです。
またお暇なとき、いろいろ教えてくださいね。
などの電話やメールをしておきます。
これは、心理学的な観点から見ても、お客さんとの距離を縮めるために大変有効なものです。
専門的には、「単純接触の効果」というものです。
すでにキャバ嬢をしている人にはわかると思いますが、キャバクラのミーティングなどで「サンキューコールを徹底しましょう」などと、お店から指導されることがあると思います。
上記のようなお礼の電話あるいはメールがサンキューコールと呼ばれるものです。
お客さんは、それが営業コールと分かっていても、お礼を言われて悪い気はしないのです。
一般企業の営業マンの中にも、初めての面談の後に、相手に対してお礼の電話をしたり、わざわざ礼状を送ったりする人がいるものです。
これも、サンキューコールのように、相手との距離を縮めるためのものです。
こうすることによって、単に出会った瞬間の第一印象にとどまることなく、自分をよりよく印象づけることができるのです。
それと同時に、このようなサンキューコールをしておくと、さらに日を置いてからのコンタクトが非常に取りやすくなります。
サンキューコールをしていなければ、お客さんのなかで忘れられている可能性もあるため、コンタクトが取りにくくなるものです。
しかし、キャバ嬢の場合、サンキューコールがあれば、2回目のコンタクトで甘えた感じの演出さえ可能になるかもしれません。
たとえば、
今、お仕事中だった?
そうだったらごめんね。
ちょっと○○さんのこと思い出したから。
今日ね、新しいドレスを着て接客するんだけど、大胆なデザインだからちょっと恥ずかしくて。
いろいろ考えたんだけど、○○さんの声聞いたら元気出てきたよ。
ありがとう。
などという電話さえ可能になります。
お客さんとしては、たわいのないことを言われたにすぎませんし、「どうせ、他の客にも同じことを言っているんだろう」と感じるかもしれません。
しかし、それでも悪い気はしませんから、
そうなんだ。
それなら、時間があったら行こうかな。
などと応じてしまうのです。
心理学では、単純接触を繰り返せば繰り返すほど、人は相手に親近感を覚えるとされています。
接触の度合いは単純であればあるほど効果的です。
たとえば簡単なお礼、時候の挨拶、近くまで来たらちょっと顔を出すなどの単純な接触が効果的なのです。
むしろ、たいした理由がないからこそ、相手も気軽に受け入れやすくなるともいえます。
つまり、どんなに単純なこと、短い挨拶などでもよいので、細かくコンタクトを繰り返していけば、親近感は増していくのです。
キャバクラのお客さんは、最初は「キャバ嬢なんて、所詮は金目当てだし」という警戒心を持っていることが多いのですが、単純接触を繰り返すうちに、そのような警戒心もなくなってきます。
いつの間にか、お互いに心を許す間柄のような気分さえしてくるものです。
お店の8割を売り上げる2割のキャバ嬢は、かならずサンキューコールを行っています。
サンキューコールをきちんとしなければ、後日の単純接触もうまくいかなくなるからです。
キャバ嬢は定期的にメールを送るべきであり、それは何気ない日常のことでもよいといわれますが、そこには単純接触の効果があるからなのです。
類似性を探す
その他にも、「お客さんとの類似性を探す」というテクニックもあります。
このテクニックに関して、誰しも経験のある例を挙げてみましょう。
初対面の人や、あまり関係が深くない人と会話はあまり盛り上がらないものですが、会話のなかでたまたま、
このような類似性があれば、一気に打ち解けた雰囲気になることがあります。
心理学では、これを「類似性の動機付け」と言います。
上述の単純接触の効果においては、相手の警戒心を和らげて親近感を増す効果があるのですが、類似性の動機付けはそれ以上に強力な効果があります。
親近感を増して距離を縮めるというよりは、一気に親密感を高めてくれるからです。
はじめての出会いのとき、できるだけ良い第一印象を残すためにアプローチしていきますが、その段階でさえお互いの共通事項が見つかったならば、これは大成功です。
お互いの間に結束感のような特別な感情が生まれるからです。
もちろん、第一印象の時点でそのような共通事項が見つからないことも多いものですが、単純接触を繰り返すうちに共通事項が見つかり、結束感が生まれることもあります。
では、人はなぜこのような感情を持つのでしょうか。
これを心理学では、「自己証明の充足感」というメカニズムによるものと説明しています。
なぜ類似性が自己証明につながるのかといえば、今の人格や立場などというものは、
自分のこれまでの好みや行動やその他の基盤によって作り上げられているものであるため、人はだれしもそれが正しいかどうかを確認したい欲求があるからです。
それを他人から否定されたり無視されたりすれば、不快な気持ちになったりします。
しかし、相手も共通のものを持っていることがわかると、自分の考えやその他について肯定感を抱くことができ、自尊心が高められ、心地よく感じてしまうのです。
このように、人は自分と類似性がある相手と一緒にいることによって、安心感を持ち、快適な気分になります。
そうなるからこそ、相手に好意を抱きますし、その状態が長く続くことを望んで延長したり、何度も来店することになるのです。
売上の8割を稼ぐ2割の優秀なキャバ嬢は、お客さんとの会話の中で、共通事項を見逃すことはありません。
どれほど些細なことであっても見逃しませんし、時にはかなり強引に共通項を見つけだすことすらあります。
たとえば、こんな風に。
お客さんって、もしかして九州の人?
え、福岡出身なんですか?
へぇ~、なんだか嬉しいです!
私は福岡出身じゃないんですけど、私のおばあちゃんが福岡の人なんです。
ほんとに大好きなおばあちゃんで、福岡の言葉しゃべるので、お客さんと話してるとなんだか嬉しくなっちゃう。
おばあちゃんが本当はどこ出身の人であるかは関係ありません。
類似性を見つけるための創作でも構わないのです。
類似性が見つかり、自分のしゃべる言葉が好きだといわれて、悪い気がするお客さんなどいないのです。
秘密の共有
次のテクニックも、かなり強力なものです。
これは、離れそうになったお客さんを、キャバ嬢が引き戻すために使われたり、お客さんとの人間関係があまり盛り上がらない時に使われるテクニックです。
類似性のテクニックのくだりで、人は誰しも自分と共通のものを抱いている人に安心し、好意を抱くということを解説しました。
このことから、人は認められればうれしいと感じ、逆に無視や否定をされると反感を抱いたり、不安になったりすることがわかります。
これは、人の基本的な心理です。
しかし、そうとは分かっていても、誰もが共通項を抱けば非常に深い関係になれるとは限りません。
人の心理はもっと複雑なものだからです。
優秀なキャバ嬢でも、いくらお客さんの気を引こうとしても、思い通りにならないことも結構あるものです。
そんなとき、売れっ子たちが使うテクニックがあります。
たとえば、こんな会話によって用いられるテクニックです。
今まで誰にも言えなくて秘密にしてきたんだけど、最近ホントに困ったことになってきたんだ・・・。
○○さんならアドバイスもらえるかもって思って・・・。
秘密守ってくれる?
このような言葉を、思いつめた様子で言われたとすれば、お客さんの多くは心が揺れてしまうものです。
どうしても続きを聞いてみたい気持ちにさせられることと思います。
このセリフを言うからには、本当に重大な悩み事を相談しなければならないと思うかもしれません。
しかし、これも創作で構いません。
たとえば、妹の交際相手が別れてからストーカーっぽくなって怖いとか、
父親のギャンブルがひどくて母親が困っているとか、
若い女性であるキャバ嬢が、年上のお客さんに相談して怪しまれない相談ごとはたくさんあると思います。
ポイントは、誰にでも気安く相談できるものではなく、自分のプライバシーが含まれている内容を選ぶことです。
普段の接客では努めて明るくふるまっていることと思いますが、そんな相手からいきなり深刻な様子で個人的な悩みを打ち明けられれば、ほとんどのお客さんは秘密を共有したことから、親密な感情を抱くはずです。
このようなやり取りから新たに絆が生まれ、お客さんとの関係が冷めそうであったり、いまいち盛り上がりに欠けるといった時に、急速に良い方向へ向かうこともあります。
また、これは心理学的には「自己開示の動機付け」というものであり、プライベートな情報を晒すことで効果が得られるものです。
したがって、深刻な悩みを相談することが難しくとも、自分のことを相手に知ってもらうこと自体が、信頼関係を生むきっかけにもなります。
お客さんの中には、どうしても手放したくないお客さんや、もっと仲良くなりたいお客さんがいると思います。
そのようなお客さんに対しては、自己開示の動機付けを利用するのがよい場面がたくさんあります。
売れるキャバ嬢たちも、意識するかどうかにかかわらず、これを利用しているものなのです。
まとめ
以上のように、2割の売れっ子はさまざまなテクニックを利用し、お客さんとの関係を深めています。
おそらく、当サイトを見ている現役キャバ嬢の多くは、8割のキャバ嬢でしょう。
しかし、このような記事を最後まで読んだあなたは、何もしていないキャバ嬢に大きな差をつけています。
本稿のテクニックを利用すれば、また一段と稼げるキャバ嬢になることは間違いありません。