指名客との会話ならば楽しくできるものの、フリー客との会話はなかなか楽しく行うことは難しいものです。
よくキャバ嬢から、フリー客とどのように会話したらよいか分からないという声をよく聴きます。
フリー客の接客が難しい理由
この理由はいくつか考えられますが、最大の理由は接客時間が短いということでしょう。
フリー客は例えば1時間のセット時間で入店したならば、その1時間のうちにお気に入りの女の子が見つからなければ2回目以降の来店をしない客も多いものです。
そのためお店のラッキー(キャバ嬢のつけ回しを行うスタッフ)は、客の反応を伺いながら何人ものキャバ嬢を付けていくことになり、キャバ嬢たちは一人当たり5~10分の接客時間になることもあります。
このように接客時間が短いため、何をどう話していいのか分からなくなります。
分からないままに話してもフリー客を楽しませることは難しく、結果的に指名を得られないという事になってしまいます。
では、フリー客の接客はどのように進めればよいのでしょうか。
それはあらかじめ会話の進め方に関するいくつかのパターンを作って置き、そのパターンに沿って会話を進めていくことです。
具体的には、以下のように会話を進めていきます。
- 導入トーク
- つかみトーク
- トークの展開
- クロージングトーク
それでは、この流れをより詳しく見て行きましょう。
導入トーク
導入トークとは、最初に交わされるトークであり、よくあるのは
初めまして、○○です。よろしくお願いします。
というものです。
新人ならば緊張してこのようなトークになるでしょうが、慣れたキャバ嬢はこれに続けて、
お名前を伺ってもいいですか?
このお店は初めてですか?
今日はお仕事の帰りですか?
などと展開していきます。
しかし、このくらいの導入トークは多くのキャバ嬢が行うものです。
客の立場になってみればうんざりすることがわかるでしょう。
5~10分置きにキャバ嬢が入れ替わり、皆が皆「初めまして、○○です。よろしくお願いします。お名前を伺ってもいいですか?このお店は初めてですか?今日はお仕事の帰りですか?」と聞いてくるのです。
5~10分かけて会話が進展しても、キャバ嬢が入れ替わればまた振出しに戻ります。
うんざりしてしまいますよね。
うんざりさせてしまえば、指名客になってもらえることはありません。
ただ、この導入の会話では客の情報を得ることが目的ですから、インパクトがない、うんざりさせたくないからといって変化球を投げすぎるとそれもまた違和感を与えてしまいます。
そのため、基本的な形は崩さずに、自分なりのアレンジを加えてインパクトを与えることを目的とします。
例えば、こんな風に。
初めまして。
・・・あれ、どこかでお会いしたことありますか?
このお店は初めてですか?
そうですか・・・どこかで会ったような気がしました。
お名前を伺ってもいいですか?
お店が初めてかどうかや名前を聞いていることには変わりないのですが、このような聞き方をすればインパクトを与えることができるのです。
つかみトーク
「つかみ」というのは皆さんも聞いたことがあるでしょう。
キャバクラの接客でもつかみトークはとても大切です。
特にフリー客を指名客にするにあたっては、上記の導入でインパクトを与えた後が大切です。
導入トークでせっかく興味を引きつけたのですから、つかみトークで相手の気持ちをグッとつかまなければなりません。
そうすると、客は「お、この子はほかの子と違うな。おもしろいじゃないか」と思って会話が弾むきっかけとなります。
例えば、導入トークに対する反応で相手が面白い人であると分かったならば、「○○さんって面白いですね」とつかみを入れることによって、相手は良い気分になったり、親近感を抱いたりします。
そのような人というのは、得てして自分が面白いことに自信を持っているものですから、それを認めてくれたことに喜んで盛り上がる事請け合いです。
ほかにも色々なケースが考えられます。
導入トークで相手がシャイだと分かれば、「あれ、照れてます?可愛い」と言うのです。
多くのシャイな男性は自分が恥ずかしがりであることに劣等感を抱いていますが、このような声かけをすれば自分のネガティブな面をポジティブに捉えてくれたと感じ、とても喜ぶものです(もっとも、男性の中には「かわいい」と言われることを嫌がる男性も多いため、別のケースに応用しすぎると嫌な気分にさせる可能性があるので注意してください)。
もし導入トークで相手が無口であることから会話が弾まない場合にも、つかみトークはできます。
無口というからネガティブな印象になるのであって、クールと言い換えればよいのです。
○○さんってクールですよね。私クールな男の人好きなんですよ。
と言えば、これまた好感を持たれたと思って悪い気はしません。
このほか、水商売の世界では使い古された手法ではありますが、知っておくと汎用性の高いつかみトークがあります。
それは、客の名前を聞いた後に
○○さんっていうんですか?私の初恋の人と同じ名前だ!
と言うのです。
本質をみれば、そのフリー客と初恋の人の共通点は名前だけであり、ほとんど意味のないものなのですが、そう言われるとなんだか嬉しくなってしまう男性は多いものなのです。
このように、導入トークで惹きつけた相手のこころをグッとつかむためにつかみトークは重要なのです。
トークの展開
つかみトークまでは分かっても、そこからさらに展開していくことが難しいものです。
新人キャバ嬢などは特にそうであり、「どんな会話をすればいいかわからない!」という事が多いでしょう。
また、これは新人キャバ嬢に限ったことではなく、キャリアを積んだキャバ嬢でも戸惑うことがあります。
フリー客との会話で重要となるのは、客が興味を持つネタを探っていくことです。
興味のあることが分かれば相手に話をさせることもできるため、聞き役に回るだけで満足感を与えることもできます。
また、興味のあることが共通であれば、非常に盛り上がることができます。
盛り上がることができれば、ほとんどの場合は気に入って指名客になってくれることでしょう。
そのためには、フリー客への短い接客時間の間に様々なネタを振ってみて、客が興味を示す話題を探る必要があります。
この時にポイントとなるのは、振るネタはある程度自分も興味のある事にすべきだという事です。
そうでなければ、客が興味を示したときに楽しく会話と展開していくことができず、意味がなくなってしまうからです。
また、振れるネタが少なくてはお話にならないため、普段からネタを仕入れていくことが大切になります。
まずはあなたが興味を持っているネタを振ってみましょう。
どのようなネタが良いかと言えば、概ね以下のようなネタとなります。
この中から自分の興味あるものを複数選び、ネタを考えておきましょう。
- 天気(気候)
- 季節
- 道楽(趣味)
- ニュース
- セックス(性に関するネタ)
- 田舎(地元)
- 旅行
- スポーツ
- 勉強
- 仕事
これらのネタならば、自分も興味を持てるものがいくつも見つかると思います。
これらのネタは昔から水商売で言われるものであり、それぞれのネタの頭をとって「てきどにせいりすべし」と言われています。
この話題を利用して、自分なりに楽しく会話できるように準備しておきましょう。
クロージングトーク
クロージングとは、締めのトークです。
キャバクラに限らず、一般の営業職でも行われることであり、客が「買ってもいいかな」と思ったときに、気が変わらないうちに契約してもらうために結びのトークを行います。
これをクロージングトークといい、キャバクラの世界でもこのトークは必要となります。
導入トーク、つかみトーク、トークの展開とうまく進めていけば、客は「この子と話していると楽しいな。指名してもいいな」と思っていることでしょう。
しかし、同時に「でも、ほかの子ももう少し見てみたいしな・・・」とも思っているものです。
そこで、クロージングトークで指名を促さなければ、自分を指名してもらうことができないのです。
その後のキャバ嬢と接客していくうちに、お酒も入って記憶があいまいになり、前に接客してもらって楽しかったキャバ嬢のことは忘れてしまうことが多いのです。
あなたにも経験があると思います。
欲しいバッグが見つかったのですが、迷ってその時は買わなかった。それ以降もネットや雑誌で色々なバッグを見ていき、ほかにもいいバッグが色々とあることを知れば、最初に欲しいと思ったバッグのことは気にならなくなるでしょう。
このように、人間の感動は色あせてくものであり、接したその時は感動したものであっても、時間と共に関心が薄れていくのです。
しかし、もし最初のバッグを見て迷っていたときにショップの店員から「そちらのバッグ、かわいいですよね~。私もずっと欲しいと思っているんです。すごくお似合いですよ」などと言われれば、つい買ってしまう事と思います。
これがクロージングトークの威力です。
クロージングトークの切り札
では、具体的にはどの様なクロージングトークをかけるのでしょうか。
あまりテクニックを持っていないキャバ嬢は、率直にお願いしてみるのが案外効果のある方法となります。
つまり、時間が迫った時に
○○さんと話してるとすごく楽しい。今日だけでいいから指名してくれませんか?
とお願いしてみるのです。
相手が優しい男性であると分かっているならば、
○○さん、今日だけでいいから指名してくれませんか?最近へんなお客さんばかりで疲れちゃって。やっと楽しい話ができたのに、離れたくないな。
○○さん、よかったら今日だけ場内指名してくれませんか?次回もとはいわないので・・・最近指名が減っちゃって、店長からにらまれてるんですよね。
などと甘えてみるのも効果的です。
「今日だけ」なんて言っちゃって大丈夫?と思うかも知れませんが、心配いりません。
ほとんどの客は、一度指名したら次回からもその子を指名しようと考えているものです。
その日の指名でしっかりと接客できれば次回からも指名してもらえることでしょう。
だからこそ最初に指名するキャバ嬢は慎重に選ぶことにもなります。
そこで「今日だけ」が活きてくるのです。
客も
うん、いいよ。それはキミを場内指名しよう(本格的に探すのは次回以降でもいいか・・・)。
となるのです。
もし次回の来店でフリーで入店してきたならば、その時もヘルプでついて指名をお願いしてみましょう。
多くの場合、再度指名してもらえるものです。
クロージングをかけるタイミング
クロージングトークは上記のようなおねだりの形をとることもありますから、タイミングはいつだろうと考えることでしょう。
クロージングのタイミングは原則的に去り際となります。
つまり、チェンジの直前です。
そのためには、チェンジの際にはどのような状況になるのかを知らなければなりません。
お店ごとにそのときの状態は異なると思います。
それを把握しておくことが大切です。
例えば、以下のような状態になります。
- チェンジに当たってラッキーが次のキャバ嬢を連れてきてチェンジをする
- 席についているキャバ嬢を一旦完全に抜いてから、しばらくして次のキャバ嬢が席に来る
たいていの場合このいずれかになると思いますが、この方法にはどのような違いがあるのでしょうか。
それは、客が次につくキャバ嬢の顔を事前に見られるかどうかです。
もし前者の方法であるならば、ラッキーがチェンジを知らせに来る前にクロージングをかけなければならず、後者の方法であるならば、ラッキーがチェンジを知らせに来てから次のキャバ嬢が来るまでに少し時間があるので、知らせに来た後でクロージングをかけることができます。
より難しいのは前者の方法です。
なぜならば、客は次のキャバ嬢の顔を見てしまうと、そのキャバ嬢のことが気になってすこし話してみたいと思うからです。
特に次のキャバ嬢が可愛い場合などは特にそうでしょう。
そのため、次のキャバ嬢の顔をまだ客が見ていないタイミングでクロージングをかける必要があるのです。
クロージングトークはこのような時間的タイミングでかけていきますが、このほか、会話の中でも絶好のタイミングがあります。
それは会話が盛り上がっている時です。
時間的にチェンジが近づいている時、会話が盛り上がっていたならば、そのタイミングでチェンジになってしまうとせっかく盛り上がった会話が中途半端で終わってしまうからです。
例えば、客の興味をうまく引き出し、客が饒舌に色々な話をしているとします。
そのような状態でもチェンジの時間は迫ってくるのですが、その時このように提案してみるのです。
○○さんの話って楽しいなぁ。
もっと詳しく聞きたい!
でも、もうすぐチェンジの時間なの。
場内指名してくれませんか?
話の続きが気になって、別のお客さんについても上の空になっちゃう。
このようなクロージングをかけてみましょう。
売れっ子キャバ嬢になると、フリー客についた際の接客時間はだいたいこの何分と知っており、時間をひそかに把握しながら接客しています。
そして、そろそろチェンジかなと思った時間帯に、盛り上がる話題を振ってクロージングをかけるのです。
客は時計で測って話をしているわけではないため、チェンジまでまだ時間がある場合に「もうそろそろ呼ばれそう」と言ってクロージングをかけるのも良いでしょう。
指名してもらえなかったらどうするか
以上の一連の流れでトークを行い、クロージングをかけたとしても毎回場内指名してもらえるとは限りません。
そのとき、「自分はあのお客さんに気に入ってもらえなかった」と諦めるキャバ嬢も多いでしょうが、まだ諦めるには早いです。
指名してもらえなかったとしても、席を離れるときにどうするかによって客に印象を与えることができるからです。
客の中には、初日は指名せずにセット時間いっぱいでできるだけたくさんのキャバ嬢を見て、その中で最も気に入ったキャバ嬢を次回指名しようと考えている客もいます。
だから、あなたを指名しなかったとしても、それはあなたを気に入らなかったというわけではなく、「今の段階では一番気に入っているものの、今日はとりあえず次の子も見てみよう」と考えているだけかもしれません。
したがって、次回来店時に指名をもらうべく、チェンジの際の挙動はとても大切です。
諦めてそれをないがしろにしてしまえば、そこまで積み上げたトークが台無しになるかもしれません。
では、どのようなしぐさをすればよいかという事ですが、これは接客の流れによって異なります。
例えば、色恋でトークしていたならば、甘い余韻を残すように去っていくのが良いでしょう。
席を離れる間際に自分の名刺を客の胸ポケットに入れてあげて「なくさないでね」などと客の目をみつめて言うのです。
それだけでメロメロになってしまう客もいます。
これは少し芝居がかったものであり、苦手とするキャバ嬢も多いでしょう。
そのようなキャバ嬢は、離れ際に客の膝に手を当てて「あとでメールするね」と言うだけでも効果があります。
ちなみに、「膝に手を置く」というボディタッチを取り入れた方法はあらゆる場面で効果的な方法です。
フリー客は苦手と考えていたキャバ嬢も、上記のようなパターンで進めればよいのだと考えることができれば、ポジティブな気持ちで接客することができるようになると思います。
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