少子高齢化が深刻な社会問題になっているため、介護士が慢性的に不足していることを皆さんも聞いたことがあると思います。
その一方で、少子化であるにも関わらず保育士の数が不足しているともいいます。
高齢化社会であることから、高齢者向けのサービスは年々市場が拡大していることを考えると、介護士の待遇は良くなり人手不足も解消されそうなものですが、実際にはそうではありません。
保育士の人手不足も解消されません。
そしてこれらの福祉系の職業に従事する女性がキャバクラで働くケースが非常に多くなっています。
介護士や保育士とキャバ嬢の関係をみれば、社会問題が浮き彫りになります。
保育士や介護士がキャバ嬢になる理由とは?
私は調査もかねてキャバクラへ足を運ぶことが多いのですが、最近顕著なのが昼は介護士や保育士をしていた女性が、キャバ嬢になるケースが増えたことです。
また少数派ではありますが、昼は介護士や保育士をしながら、夜はキャバ嬢として頑張る女性もいます。
彼女たちになぜキャバ嬢になったのかを聞いてみると、彼女たちは口をそろえて「介護士や保育士はハードワークすぎて割に合わないから」だと言います。
保育士を辞めてキャバ嬢になったあるキャバ嬢はこのように言っていました。
保育士って、傍から見れば子どもを相手にするだけの簡単な仕事って思われがちですよね。
子どもは屁理屈も言わないし、反抗することも少ないしラクだと思われるんです。
でも、実際には勤務中は常に気を張っていなければなりません。
子どもがケガでもしたら親がヒステリーを起こしますからね(苦笑)
休憩時間なんてないに等しくて、掃除とか色々な雑用をしなきゃいけないんです。
ご飯にしても子どもたちと一緒に食べるから息抜きにはなりません。
かなりのハードワークですよ。
彼女は、子どもの安全を守らなければならない責任が重すぎることが多大な負担になっていたようです。
しかし、キャバ嬢はやってみると保育士よりずっとラクだったそうです。
その点、キャバクラは大人相手ですからね。
子どもの安全を守るというような意味での責任はありませんし、勤務中に息抜きもできます。
気の合う指名客が来てくれた時は、ほんとに仕事してるっていうよりは楽しくおしゃべりしている感じだし、楽しいです。
繁忙期は忙しいですけど、閑散期は一息つく時間もあるし。
アイドルタイム(開店間もない早い時間)はゆっくり待機することが多いですしね。
夜遅くまで働くのも慣れればどうってことないです。
それと、保育士と違って残業がないのも良いですね。
保育士のころは教材の準備とかお遊戯会の準備とかサービス残業でするんですよ。
お金にならないのにハードワークってどんだけって感じですよね。
このように、保育士の世界でハードワークをこなした彼女からしてみれば、キャバクラは天国のようなものだと言います。
私が
でも、嫌なお客さんとかいるでしょ?
と聞いてみても、
まぁそうですけど。
でも、それは保育士でも一緒じゃないですか。
生理的に受け付けないお父さんが来ることもありますし、モンペ(モンスターペアレント)のお母さんとかホントめんどくさいですよ。
それに比べるとまだマシです。
保育士は何の得にもならないのに我慢しなきゃいけないけど、キャバは我慢すればお金になるし。
と言っていました。
残業がないのも彼女にとっては嬉しいようです。
やはり働く以上はお金が欲しいというのは当たり前のことです。
つまるところ、同じように人の世話をするなら、よりたくさんお金をもらえる方がいいという簡単な理論です。
これは介護士からキャバ嬢になった人にもほぼ同じことが当てはまりました。
むしろ、介護士は人の介護をするため、保育士よりも責任が重い仕事です。
高齢者を抱きかかえている時に落とせば大問題になります。
また、保育士に比べて肉体労働も多くなります。
そして、給料は低い職業です。
それならば、キャバ嬢の方がいいと考える介護士は多いのです。
キャバ嬢を辞めた後どうする?
以上のように、介護士や保育士と言った福祉系の職業からキャバ嬢に流れてくる女性が多いのですが、その理由は上記のこと以外に、意外なところにもありました。
それは、福祉系の職業は風俗産業には意外な共通点があるという事です。
キャバクラでは、お酒を飲んだ客の話を聞いてあげることが重要な仕事となります。
一方、保育士は子供の面倒を見る仕事であり、介護士は高齢者や病人や障害者の面倒を見る仕事です。
つまり、本質的にはどれもケアする産業なのです。
キャバ嬢は客の疲れたこころをケアし、保育士は子どもの成長をケアし、介護士は高齢者や病人や障害者の生活をケアするのです。
だからこそ、保育士や介護士からキャバ嬢になった時、その共通の部分において「キャバ嬢ってなんてケアが楽なんだろう!」という感想を抱くことになります。
しかし、介護士や保育士からキャバ嬢になる人はいても、キャバ嬢から介護士や保育士になる人はあまりいないと言えます。
これは単純な話で、比較的ラクなケアで大きく稼いでいたキャバ嬢が、大変なケアであまり稼げない介護士や保育士になる理由がないからです。
そのため、キャバ嬢は30代近くなって引退した後、ネイルアーティストを目指したり、美容師を目指したり、メイクアップアーティストを目指したりと美容系を目指すことが多く、このほか専業主婦になるケースも多いです。
社会的には、キャバ嬢たちが福祉系の職業に流れれば、もっと世の中が上手く回っていくことでしょう。
キャバクラで対人コミュニケーション能力を磨きぬいたキャバ嬢は、介護士や保育士になった時にもスキルを活かして活躍する余地が十分にあるからです。
上記の元保育士のキャバ嬢に、もしキャバ嬢を辞めたらどうするかを聞いてみたところ、
そうですね。
また昼の仕事に戻りますよ。
せっかく保育士の資格も持ってますしね。
でも、保育士は給料が低いですから・・・誰かと結婚しないときついです。
と語っていました。
彼女のように、キャバクラ引退後に福祉系に行くとしても、せめて結婚しなければ生活が困難であると考えるケースが多いのです。
彼女のような資格を持っている女性でも、福祉系の仕事で経済的に自立するのは難しい時代です。
そのため、キャバクラ引退後に何の迷いもなく福祉系に戻ることは難しく、もしそれができるならば最初からキャバクラには流れてこなかったことでしょう。
彼女のような人材を埋もれさせないためには、キャバクラを引退してから福祉職に戻ってくるように、福祉職の賃金をせめて一般職並みに引き上げる必要があります。