多くのキャバ嬢、特に新人キャバ嬢が苦手意識を抱くのが、フリー客への接客です。
しかし、フリー客を捕まえなければ指名本数を増やすことはできず、収入も伸びていきません。
そこで本稿では、フリー客への接客の基本をお伝えし、皆さんの苦手意識を払しょくすることを目指します。
フリー客への接客マニュアル
フリーのお客さんは、キャバ嬢にとっては非常に重要な存在です。
なぜならば、自分の指名客を増やすためには、他のキャバ嬢の指名客を横取りするわけにはいきませんから、フリー客を指名客にするしかないからです。
しかし、これは簡単なことではありません。
お店は短い時間の中で、気に入るキャバ嬢を見つけてもらい、二度目、三度目の来店につなげていかなければならないわけですから、15分や20分という短い時間でキャバ嬢を入れ替えていきます。
せっかく、将来の指名客になってくれるかもしれないフリー客に接客したとしても、その時間内で気に入られることがなければ、指名してもらえることもありません。
15分という短い時間の中で、お客さんの欲求を理解し、自分のこともアピールし、盛り上げていくのは大変なことです。
それができれば、お客さんが「もっと一緒にいたい」と考えて場内指名してくれますし、次回からも指名してくれるのですが、そのためにはどのようなことに注意すべきなのでしょうか。
お客さんの欲求とは
まず、お客さんの欲求を知っていなければ話になりません。
フリー客としてお店に遊びに来たお客さんも、常連のお客さんも、根本の部分では大差ありません。
お客さんの欲求を大きく分けると、
- 特別扱いされたい
- 非日常性を味わいたい
- キャバ嬢を口説きたい
という欲求に分けられます。
フリー客に接客するときは、短い時間のできるだけ早い段階で、お客さんがどのタイプの欲求を持っているかを見極めること重要です。
これは、経験を積んだキャバ嬢ならば即座にわかることでしょうし、そうでなくとも、お客さんとの会話の中で何となくつかめると思います。
多くのお客さんは、特別扱いされたいと思っています。
非日常性を味わいたいお客さんや、キャバ嬢を口説きたいお客さんにしても、特別扱いすることで非日常性を味わえたり、口説ける可能性があると思って喜んだりするため、まずはお客さんを特別扱いすればよいと思います。
具体的には、席についてすぐに名刺を渡し、お客さんの名前を聞いたり、名刺をもらったりして、名前を把握します。
そして、会話をしながら、できるだけたくさんお客さんの名前を呼んで、お客さんの発言に対して良いリアクションを見せるのです。
そうすれば、特別感を演出することができます。
そうする中で、自慢話をたくさんしてくるなど、自己主張の強さを感じたならば、それは特別扱いされたがっている可能性が高いので、どんどん特別扱いしてあげましょう。
もし、会話の中から日頃のストレスを感じるならば、若い女の子と話して非日常性に癒されたいと考えている可能性が高いので、特別扱いだけではなく、癒しを提供してあげます。
お客さんの話を聞き、褒め、味方になってあげることで、お客さんを癒すことができます。
口説きたがっているお客さんは、妙にデレデレしていたり、オラオラ系で誘って来たり、エッチな会話をしたり、お触りしようとしてきたりすることが多いので、かなり分かりやすいと思います。
そのようなお客さんに対しては、言いなりになりすぎるのはいけませんが、気を引くような素振りを見せるだけで指名につながることがよくあります。
特別扱いしたり、癒したり、気を引いたりすることによって、お客さんは「もっと一緒にいたい」と思ってくれる可能性が高まります。
アピールはどうするか
しかし、お客さんの欲求を汲み取って、それに合わせた接客をするだけならば、他のキャバ嬢にもできる子がたくさんいるので、必ず指名につながるとは限りません。
そこで重要なのが、アピールすることです。
ただし、お客さんの欲求を把握することとは異なり、アピールは難しいです。
頭で考えてどうなるものではなく、経験とセンスによる部分がかなり大きいからです。
具体的には、お客さんの好むキャバ嬢の傾向を把握し、お客さんの好むキャラクターや態度、会話を選び、アピールしていくことになります。
しかし、お客さんは「こうしてほしい」「こういう子が好き」「こんな話をしたい」などとは言ってくれませんし、むしろ初対面で緊張していたり、格好つけていることも多いですから、簡単にはわかりません。
これが、経験とセンスを問われる部分なのです。
したがって、新人のうちは、簡単にアピールすることはできないでしょう。
そこで、少なくとも嫌な印象を与えることなく、安心して楽しめるキャバ嬢であることをアピールするのが良いでしょう。
例えば、挨拶、立ち居振る舞い、お酒の作り方、言葉遣いなどでマナーをしっかりと守り、品の良い女性という印象を与えればそれを嫌がるお客さんはいません。
下手にキャラクターを出そうとして嫌われるよりも、こちらの方がずっと効果的です。
お客さんを楽しませる
以上のことを実践出来たら、お客さんを楽しませることも心がけたいものです。
フリー客への接客はごく短時間であることから、楽しませるのも簡単なことではありません。
事前に何も考えずに接客すれば、何もできずに終わってしまう可能性が高いです。
以前、『踊るさんま御殿』を見ていたら、出演している若手俳優が、ほとんどトークをできず、さんまさんに救われっぱなしだったのを目にしたことがあります。
トークのできなさをツッコまれると、「自然体で行こうと思って何の準備もしてきませんでしたが、こんなに難しいとは思いませんでした」と力なく笑っていたのをよく覚えています。
短時間でトークを展開し、楽しませることは難しいことです。
ましてや、キャバクラは接客の場であり、お客さんがさんまさんのようにいつも面白おかしくしてくれるわけではないのです。
むしろ、お客さんの話が絶望的につまらなくて、それをキャバ嬢が面白くしてあげなければならないこともあります。
これも、経験とセンスによるところが大きいのですが、ある程度は会話の流れやネタを考えておいたり、トーク番組や芸人のラジオを聞いたりすることで、会話が上手くなるように勉強することができます。
また、お客さんを楽しませることは、経験とセンスばかりでないのが面白いところです。
というのも、会話の内容は、客観的に見れば非常につまらないものであっても、そこでキャバ嬢が興味津々のように目を輝かせたり、大袈裟に笑ったり、お客さんと話しながら幸せオーラを出したりすることで、お客さんはとても楽しく感じてくるものなのです。
テレビを見てみても、面白いなと思う時、案外その企画やネタが面白いのではなく、会場の笑い声につられて楽しくなっていることがあります。
ですから、お客さんが受けを狙っているとか、本人は笑えると思っているネタをしゃべっている時には、大いに笑ってあげましょう。
それ以外の会話でも、目を輝かせたり、幸せオーラを出しながら聞いていれば、お客さんは「俺って話がうまいのかも」という優越感に浸ったり、「この子は俺に興味があるのかも」と特別感を抱いたりするため、楽しい時間を過ごしてもらうことができます。
必死になりすぎない
楽しませることができれば、あなたが場内指名をもらえる可能性は高いです。
しかし、早い段階でそのお客さんについている場合には、お客さんは、
「この子と話すのはとても楽しいけど、まだ時間はあるし、他の子とも話してみたい」
という気持ちから、場内指名を断ることがあります。
この場合、もしその場で場内指名を受けられなくても、それ以降に接したキャバ嬢に魅力を感じなければ、次回以降の来店であなたを指名してくれるでしょう。
場内指名をどうしても欲しいと焦って、お客さんに強くおねだりすれば、場内指名をしてくれるかもしれません。
しかし、ガツガツした態度を嫌う男性は非常に多いものです。
せっかくお金を払って気分よく飲んでいるのに、場内指名してほしいと強く迫られると、気分を損なってしまうのです。
今までの好印象も台無しになります。
そうなれば、その場で場内指名をもらうことができても、次回以降の本指名にはつながらないことがあります。
「損して得取れ」ではありませんが、その場で場内指名にガツガツしないことで、次回の来店以降の本指名を取れる可能性があるということです。
場内指名でその場限りのポイントを取るよりも、本指名によって長期的にポイントを稼いだ方が良いことは、誰でもわかると思います。
ですから、あまりにもがっつきすぎないことが大切です。
連絡先を交換する秘訣
フリー客への接客法は以上の通りなのですが、忘れてはならないのが連絡先の交換です。
いくらそこで良い印象を残せても、連絡先を交換しなければ、お客さんとの関係はそこで切れてしまいます。
逆に言えば、そこまで強く印象づけられたとしても、連絡先を交換していれば、その後のメール交換などから指名につなげられる可能性もあります。
もし、メールに大した反応がなかったとしても、しばしばメールを送っておくことによって、あるとき思い出したようにお店を訪れ、指名してくれることがあります。
連絡先はキャバ嬢の大切な財産なのですから、積極的に交換して財産を増やし、折に触れて活用していくことが大切です。
どうやって聞く?
しかし、会って間もないお客さんに営業メールをすることを躊躇してしまう人も多いと思います。
単純に、好意も持っていない男性に連絡先を聞き、メールのやり取りをすることを面倒に感じて、聞かないという人もいるでしょう。
連絡先交換に積極的ではないキャバ嬢の意見を聞いてみると、以下のような意見が見られます。
- 断られたら気まずくなりそう
- 会って間もないのに、聞いていいのかどうかわからない
- 聞きたいけれどタイミングが分からない
- どうせメールしないので聞かない
しかし、上記の通り、連絡先を聞いて営業メールをすることによって、指名を増やし、稼ぎも伸ばしていくことができるのですから、連絡先は必須です(もちろん、最低の保証時給だけでのんびり働き、ヘルプに入るだけのアルバイトをしたいというキャバ嬢は除きます)。
連絡先を聞くことに苦手意識を持っているキャバ嬢のうち、聞いたら怒られそうとか、断られたら気まずいなどと感じているならば、それは余計な心配です。
もし、それがプライベートで付き合っている人ならば、「連絡先教えてくれない?」と聞いた時に「やだ」と言われればショックでしょう。
友人や知人に嫌われているかもしれないと思えば、ショックになるのも当然です。
しかし、相手はキャバクラのお客さんです。
プライベートの友達や知人とは違い、仕事に役立てるために連絡先を集めているために聞いているのです。
もし断られたとしても、なにも傷つく必要はありません。
普通の接客業をしていて、
「よろしければ、アンケートにお答えいただけませんか?」
と言ったところ、「結構です。」と断られてしまうのと何も変わりません。
いちいちショックを受けることではないのです。
聞くタイミングはいつか
しかし、聞くタイミングが分からないというのは解消すべき問題でしょう。
変なタイミングで聞いてしまうと、教えてもらえるものも教えてもらえなくなるかもしれませんし、会話が盛り下がってしまうかもしれません。
一番簡単なのが、ボーイに呼ばれて次のキャバ嬢と入れ替わる時に、
もっとお話ししたかったな。
よかったらアドレス交換してくれませんか?
と聞く方法です。
よほど悪い印象を持たれたり、何らかの事情がない限り、交換してくれる可能性が高いでしょう。
また、会話の中でも交換のタイミングは色々あると思います。
例えば、お客さんの趣味が映画だとわかれば、そこから話を広げつつ、
○○さんのおすすめの映画、もっといろいろ教えて欲しいんですけど、よかったらアドレス交換してくれませんか?
などと聞くのです。
共通の趣味を見つけられたならば、「私からもおすすめ教えますね♪」などと言って連絡先を交換することができますから、なお好都合でしょう。
フリー客と接客するときには、良いタイミングを見つけたら連絡先を聞くという意識をいつも持っていれば、会話で良さそうなタイミングが来た時に「ピン」と来るはずです。
接客に入る前から、そのように考えておき、うまく聞き出せる経験を重ねれば、苦手意識もなくなってくると思います。
ワンランク上の対応を
最近は、メールや電話以外でも、ラインなどのメッセージアプリを使う人が増えています。
若い人では、もはやメールなど使わず、ほとんどラインで済ませる人も多いでしょう。
中高年のお客さんも、ラインを使うことが増えていますし、還暦を過ぎた筆者の両親もラインばかり使っています。
お客さんとラインを交換するキャバ嬢も増えていますが、この時、お客さんがアプリの使い方を良くわかっておらず、連絡先の交換に苦労することがあります。
そのことを踏まえるならば、ボーイに呼ばれて退席する時よりも、会話の途中で聞いた方が、間違いなく交換できるといえるでしょう。
また、お客さんがよくわかっていない時には、「ここをこう押して・・・こうするんですよ」などと一緒に作業して、その過程を楽しむのも良いでしょう。
このほか、お客さんが既婚者であれば、奥さんにバレると好ましくないこともあるでしょうから、メールしていい時間帯があるかどうかなどを聞いておくようにしましょう。
もし送るべきではない時間に送り、夫婦トラブルなどになってしまえば、お客さんに迷惑をかけることになってしまいます。
まとめ
基本的な接客マニュアルと、連絡先交換のための流れを押さえておけば、フリー客との接し方がそれほど難しいものではないとわかるでしょう。
もちろん、難しい場面も色々あるのですが、少なくとも皆さんが苦手意識を抱いていたよりも、大分簡単に見えてくるはずです。
まずは、苦手意識を払しょくしましょう。
苦手意識をなくし、焦りをなくせば、大切なポイントを踏まえて、のびのびと接客できるようになります。
そうすれば、慣れていくのも早いでしょうから、フリー客の心を捉え、収入アップにつなげていけると思います。