会話術とは、人間関係を作るコミュニケーションテクニックです。
ここでは、「聞く」ことに焦点を当て、どのように聞けば相手とより良い人間関係を築き上げていくことができるのかをテーマに、話を進めていきたいと思います。
そもそも会話とは何か
会話とは、コミュニケーションをとる方法であり、会話術とは良いコミュニケーションをとる方法です。
では、良いコミュニケーションとはなんでしょうか。
コミュニケーションの本質をきちんと知らないと、良いコミュニケーションを取ることはできません。
コミュニケーションの語源は、ラテン語のコミュニスであり、その意味は「分かち合う」「共有し合う」ということです。
つまり、相手と共感したり共有したりすることが、コミュニケーションなのです。
そのためには、相手のことを深く知る必要があります。
相手のことを知らなければ、コミュニケーションをとっているとは言えません。
そして、会話はコミュニケーションをとる手段の一つです。
相手と共感・共有するために、相手が好む言葉を使い、嫌う言葉は当然使いません。
このことは、他の記事でも紹介しているところです。
この他にも、しぐさや表情を見て相手の気持ちを理解したり、声のトーンを聞いて相手の心境の変化に気がついたりするのも、コミュニケーションをとるための会話術となります。
いずれにしても、相手がどのようなことを好み、どのようなことを嫌っているのかを見極めなければ、良いコミュニケーションを取ることはできません。
例えば、無礼講でとにかく盛り上がって一緒にはしゃぐのが好きなお客様なのか、それとも節度を以てしっかりとした態度で話すのがすきなお客様なのか。
それによって会話の仕方や選ぶべき話題などが全く異なってくるのは容易に想像できるでしょう。
相手の好みがどちらかを知らず、嫌いな方の接し方をしてしまったら、たとえあなたが好意を以て接したところで、相手には伝わりにくいでしょう。
特に、出会って間もないならばプライベートなことなどを聞かれると、相手は警戒したり不快に感じたりすることがあるものなのです。
信頼できる友人と、ただの仕事仲間では話す内容や深みも違います。
話し方もおのずと変わってくるはずです。
会話術とは、人間関係を作るコミュニケーションテクニックです。
そして、会話は「話す」ことと「聞く」ことに分けられます。
ここでは、このうちの「聞く」ことに焦点を当て、どのように聞けば相手とより良い人間関係を築き上げていくことができるのかをテーマに、話を進めていきたいと思います。
話は目で聞く
「話は目で聞く」といきなり言っても、漠然としていて意味がわからないことでしょう。
詳しく解説致します。
お互いに意思疎通するには、必ず目線を合わせることが必要です。
人は、言葉や表情はごまかしたりできるものの、眼だけは嘘をつくことができないと言われています。
人間の体の中でも、目はとても正直な部分なのです。
そして、相手の正直な心を映し出す目をきちんと見る、つまりアイコンタクトをしっかり取ることは、相手を認めていることに直結するのです。
しかし、だからといって単純に、漠然と相手の目を見つめていることでは効果があるとは言えません。
大切なのはタイミングです。
相手が目線を求めているときに目線を合わせることにより、相手は自分がしっかりと受け止められている感覚を覚えます。
では、男性はどのような時に目線を求めるのでしょうか。
その思考パターンは「目的達成」優先です。
そのため、男性は目的達成のために行動した時に、その行動が効果を発揮しているかどうか、目的達成に近づいているかどうかを無意識のうちにチェックしてしまうのです。
会話でも同じことです。
男性は、自分が伝えたいことを伝えた時には相手の目を見て、自分の話がきちんと伝わっているかどうかを確認します。
伝えたいと思う気持ちが強ければ強いほど、男性が目線を送る強さも強くなってきます。
そのため、会話の流れを理解して、男性が何かを伝えようとしていると感じたり、アピールしようとしていると感じたりしたタイミングで、男性が確認のために送った目線をとらえてアイコンタクトを取るのです。
これが効果的です。
たとえば、女性に仕事や家のことなどで頼みごとやお願い事をしたとき、待ち合わせの時間や場所などの約束を取り決める時、自慢話などで自分自身をアピールする時には、ほぼ確実に確認の目線を送ります。
そのときにあなたが目線を合わせてあげないと、男性はちゃんと伝わったのだろうか、効果はあったのだろうかと不安になってしまうのです。
また、自分が話している時には女性が目線を合わせてくれることを期待する男性ですが、逆に女性が話している時には、男性は目線を合わせない傾向が強いものです。
これは、女性の話を聞いていないわけではなく、女性が行ったことを自分の中で消化しようとしているのです。
そのため、男性が話してあなたが聞く場合には目線を合わせやすいのですが、あなたが話して男性が聞く場合には目線を合わせにくいかもしれません。
もっとも、なかには女性が話しているときに真剣に目線を送って来る男性もいます。
こういう男性は、相手の女性に興味があると言っても過言ではありません。
大部分の男性は、女性の話を真剣に聞くことによって好意を得ることができることを知っています。
その目的を達成するために、女性の目を見て話を聞いている姿勢を作り、好感を印象づけようとするのです。
それでも、できるだけ目線を合わせて会話をすることが大切です。
特に相手が男性の場合には、その男性が送る目線をしっかりとキャッチすることで、それがあなたへの好意を生みます。
男性にとって、人生の価値は「自己の証明」です。
それを誰かに受け入れてもらうことが男性の満足感につながります。
そして、男性は会話の中で自己主張を伝えたい時に相手に目線を送るのです。
つまり、男性があなたの目を見ているときは、認めてほしいというサインなのです。
だからあなたが目線を合わせて挙げることによって、男性は受け入れられたと満足します。
男性と話している時には、話の内容から目線が送られるタイミングを読むことができます。
上記の通り、男性の自己主張や決めごとの確認がなされる時は、まず間違いなく目線が送られるタイミングです。
また、逆のパターンもあります。
男性の目線を感じて、話している話題の重要度を知ることも可能なのです。
もし男性が、一生懸命に目線を送りながら話している雰囲気ならば、その内容はぜひともあなたに理解してもらいたい内容だと言うことができます。
そして目線の強さに反射するように、受けた大きさに見合うだけのリターンを相手に返す。
そうすることで、相手とあなたの信頼関係は深まっていきます。
一体感を作る方法
ミラーリングという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ミラーリングと言うのはコミュニケーション技術の一つです。
信頼関係構築のための一つの技法として企業の新人研修などでもよく紹介されています。
ミラーリングとは、その名の通り鏡がキーワードとなっています。
多くの人間関係において、相手とは自分を映す鏡のようなものです。
自分が心を開くことができる相手は、飽いても自分に心を開くことができ、自分が心の底から嫌いな相手は、相手も同じく自分を嫌っている。
これを鏡の心理と呼びます。
このように理屈を述べると難しく聞こえますが、すべきことは単純です。
あなた自身が相手の鏡になると考えてください。
たったそれだけのことですが、とても効果的なテクニックです。
ミラーリングには、物理レベルのミラーリングと精神レベルでのミラーリングの2つの段階があります。
物理レベルのミラーリング
これは、実際に目で見てわかる相手の動きを鏡のように映すことです。
相手がコップに手を伸ばしたら、自分も一緒に手を伸ばしたり、相手が足を組んだら自分も足を組むというように、まるであなたが鏡に映った姿のように相手と同じ動作をするのです。
人は、行動の多くを無意識で行っています。
100%相手の動きをコピーするなどしてあなたの動きが不自然になってしまったり、大げさになってしまったりしない限り、意外と相手はあなたが自分の動作を映し出しているとは気づかないものです。
したがって、会話をしながら、相手が違和感を抱かない範囲内で姿勢、表情、態度、身振り、立ち方、座り方、行動、仕草などをコピーしていきます。
その動きから相手は無意識のうちに「なんだか自分と似ているな」という意識を持つようになります。
人は自分と似た人に安心感や好意を抱きやすいものです。
ミラーリングすることで相手は安心し、より楽しく、多くのことを話してくれることでしょう。
精神レベルのミラーリング
これは、相手の心をミラーリングするものです。
表情やしぐさといった物理レベルの動作をコピーするのではなく、相手と同じ感情レベルに持っていくものです。
例えば、あなたが嬉しい感情であるときに、一緒にいる相手もあなたと同じように嬉しい気持ちになってくれたら、さらに嬉しくなることでしょう。
これがもし、あなたが嬉しいのに一緒にいる相手が暗い感じだったら、せっかくのあなたの嬉しい感情もしぼんでしまうことでしょう。
あるいは、あなたに辛いことが合って落ち込んでいるのに、相手が元気で嬉しくウキウキとしていたら、相手に腹が立ってくるかもしれません。
相手の気持ちに合わせることが大切です。
相手の立場になって、一緒に喜怒哀楽を表現することで一体感を作り出すと、相手は心を開いてくれるはずです。
人は誰でも「わかってほしい」という願望を常に持っています。
そのメッセージをキャッチする方法が、相手の心理状態をミラーリングすることだと言えます。
このミラーリングにはいくつかのパターンがあります。
ムードコピー
これは、相手のテンションに合わせると言うことです。
明るい風に聞くか、それとも暗いか、声の大きさや声が出る時の圧力、話のスピードや会話のテンポなどを相手に合わせることで、ムードをコピーしていきます。
価値観を合わせる
お互いがYESと感じる部分とNOと感じる部分をすり合わせていくことです。
価値観には、好み、趣味、思想など多くの要素が含まれます。
それらの要素で、二人で共感できる部分があればそのポイントで盛り上がりましょう。
もしどうしても自分の価値観と合わない部分があれば、その部分については多く話さないことです。
深い関係に発展してお互いの理解が必要になる時まで、本音は黙っていても大丈夫です。
感情をなぞる
会話の時の相手の感情をキャッチして、自分もそういう感情になり、その感情を表現するということです。
相手が楽しそうな時には自分も楽しそうに笑い、相手が悲しそうな時は自分も悲しそうな目で話しを聞きます。
相手が痛い目にあった話を聞いたら自分も痛みを感じたような表情をするなど、いろいろなケースが考えられます。
このレベルのミラーリングを上手に行うためには、表情筋を鍛えることが大切です。
顔の表情でさまざまな喜怒哀楽を表現できる技術も必要になって来るでしょう。
自分の体を使った表現力しだいで、相手の心をつかむことができるのです。
エネルギーのミラーリング
人にはそれぞれ、その人が発している波動があります。
その波動によって、気が合う人と合わない人とがいます。
その波動を形成するのは、その人が持っているエネルギーです。
なぜならば、お互いに持っているエネルギーが違いすぎるからです。
あるいは、同じ会社の社長でも、苦労して社長になった人と、全て人任せで会社が回っている社長とではエネルギーが大きく違います。
これらは、つまり持っている波動が全然違うと言うことです。
そして、人は全く波動の違う人間とは行動を共にしないのです。
そういった心の中に存在するエネルギーの違いを理解して、自分の意識を相手に近いものにできないと、ただ単に「あの人と自分は合わない」という結果になってしまいます。
これを男女間で考えると、女性は自分より強いエネルギーを持つ異性を好む傾向があります。
スタート時点でエネルギーの差、波動の違いがあるケースが多くなります。
そのため、そのままでは相手との一体感を作ることが難しいです。
したがって、相手のレベルに追い付くように自分を高めていかねばなりません。
例えば、相手の男性が多趣味で、スポーツも教養も高めることに励んでいるような人ならば、自分もそのエネルギーに追いつくように、活発に動かなければならないのです。
会話における心配り
会話上手な人は、聞き上手な人です。
聞き上手な人とはどういう人かと言うと、一言でいえば相手の発言量を増やすことができる人です。
この人には話してもしょうがない、そういう風に相手に判断されたらもうその時点でゲームオーバーです。
聞き方のテクニックより前に、誠実な人間か、自分の立場になってくれるか、自分の話に興味をもってくれるか、このような心理的な部分で判断されます。
相手の発言量を増やすことができる人、つまり聞き上手になるためには、ともかく相手から信頼されることが大切です。
相手から信頼される聞き方の王道は、相手のペースで聞くということです。
プロのカウンセラーなどがいい例です。
彼らは相手がなかなか口を開かない時でも、けっしてせかしたりはしません。
10分以上の沈黙ののちに、やっと相手が口を開くと言うこともあるほどです。
相手からの信頼を得るために、徹底的に相手のペースに合わせて聞きましょう。
相手を主体に、相手が話したいと思う時まで、時の流れを止めてじっくりと待つのです。
話そうとしない相手から、無理に聞きだそうとしては逆効果です。
しかし水商売の世界では、お酒が入るのですこし事情が異なります。
会話をするには楽しい雰囲気が最も重要です。
相手の関心度合いに合わせるようにあいづちやうなずきを打って会話を盛り上げていき、相手にもっと話したい気分になってもらうのです。
波長を合わせるように、一緒に笑ったりツッコミを入れたりすることも大切です。
つまり、聞き方には「聞く体勢をつくる→アイコンタクト→アクション→リフレクション」という流れがありますが、このうちアクションの部分に力を入れると言うことです。
そしてTPOに合わせて、どのようにしたら相手が心地よく話せるか、相手を主人公として引きたてられるかに気を使います。
では、聞き上手になるための具体的な気の使い方をいくつか紹介してみましょう。
これらは、売れっ子キャバ嬢たちが実際に実践しているものです。
どのように聞くべきか
まず、相手があなたに求めているのは何かと言う部分に気を使います。
一方的に話を聞いてもらいたいのか、それともあなたにも話をしてもらって、一緒に会話を楽しみたいのか。
相手の雰囲気を見てどちらを求めているかをしっかりと判断し、相手に合わせるようにします。
聞き手から見てみると、相手は投球をしたいだけなのか、それともキャッチボールをしたいのかが見えてくるはずです。
また、相手が一方的に話を聞いてもらいたい場合でも、凄いと思われたくて話しているのか、かっこいいと思われたいのか。
オシャレと思われたいのか、仕事ができると思われたいのか、モテると思われたいのかなど、自分自身をどう見てほしいのかというツボはその人それぞれです。
こうした相手のツボを抑えるだけで、相手の言葉をどんどん引き出せるようになります。
売れっ子キャバ嬢は、こうした急所は必ずと言ってよいほど押さえているものです。
相手が急に話題を変えた時
相手がそれまで話していた内容と違う話題を急に話し始めた時には、その話題に対する気持ちが非常に強いと言えます。
それまでの会話を遮ってまで伝えたい内容なのです。
その気持ちの大きさを感じることが大切です。
急に違う話題を話す時の心理には、二通りのものがあり、このどちらかの心理に必ず当てはまります。
- 今話していた内容の拒絶
- これから話す内容に対する大きな興味
もし話し始めた内容が、その男性自身の価値観に関連するようなことならば、これから話す内容を理解してもらいたいのだと受け取ることができます。
いずれにしても、急に話題が変わった直後は、なぜその話を切り出したのかを、相手の心に大きく目を向けろ、相手の話を聞く姿勢を取れというサインです。
相手のことをより深く理解するチャンスだとも言えます。
売れっ子キャバ嬢は、こうしたチャンスを見逃しません。
言葉よりも声に耳を傾けてみる
相手の苦手に気づくことができる、また相手が自慢をしたい時に相手に合わせたコミュニケーションを取ることができる、これはキャバ嬢に要求される大切な能力です。
そのためには、相手の心の中を感じることが必要です。
誰しも、本来の自分より大きく見せたい時はあるものだし、知られると気まずい事に対しては嘘もつくものです。
そんなとき、相手の表面的な言葉や表情の惑わされず、相手の本心を知ってそれを受け入れて挙げる包容力を持っている女性には、独特の魅力があるものです。
上記の通り、目は人間の体の部位の中でも正直な部位です。
どんなに言葉や表情などを繕っても、目には本心が現れてしまうのです。
これは事実です。
しかし、よほど素直な人間でなければ、目から強いサインはなかなか出るものではありません。
目線で相手の信条をはかることができても、目そのものから相手の気持ちを読み取るには、かなり訓練を積まなければ難しいでしょう。
例えば、元気な人の目と、風邪で体調を崩している人の目をイメージしてみてください。
具体的なイメージはできないのではないでしょうか。
もし両者の目の部分だけの写真を魅せられて、どちらが元気な人でどちらが風邪の人かを言い当てるのは、かなり難しいのではないかと思います。
イメージできるのではないでしょうか。
例えば、力強く張りがあって明るい声ならば、元気ではつらつとしていると感じるでしょう。
会話の語尾が下がり、声がフェードアウトしていくように徐々に弱くなり消えていくようであれば、自身がなかったり、落ち込んでいたり、体調不良であったりするのだと捉えてほぼ間違いないでしょう。
声には、声そのものの印象だけではなく、話すスピード、声の出し方、音の高低などの様々な情報が含まれます。
それらを総合的に判断することによって、相手の心を知る手掛かりになるのです。
例えば、女性の場合には声が高くなった時は社交的な面を相手に見せようとしている瞬間です。
男女にかかわらず、話すスピードが速くなり、声が甲高くなり、単語と単語との間が極端に短くなれば、相手は追い込まれていて焦っている状況です。
このように、声から人の気持ちをくみ取ることができます。
言葉では強がりを行ったり、事実を曲げたことを言えるかもしれませんが、声まで完全にフェイクすることは至難の業なのです。
人は、思ってもいないことを口にすることがあります。
自分の弱いところに鎧をかぶせるように、言葉を選ぶのです。
鎧の中にある裸の心を見るためには、声に耳を傾ける必要があります。
銀座の一流ママは、相手の最初の一言で、仕事で疲れているのか、なにか心配事があるのか、それともうまくいっているのかなどを判断し、気のきいた言葉をかけることができます。
もしあなたが嬉しい時、相手がそれを察して、あなたの喜んでいる姿を見るために、興味津々で聞き役に徹してくれたら、さらに嬉しいと感じることでしょう。
もしあなたが辛い時、その問題の重みを言葉で伝えなくても、気持ちを理解してくれて、心の支えになってくれたら嬉しいと感じることでしょう。
それはあなただけではなく、どの人にでも当てはまることなのです。
沈黙のテクニック
沈黙は金なりという格言があります。
格言になるくらいですから、沈黙にはそれ相応の深い意味があります。
しかし沈黙も、自分から沈黙を作る時と相手から沈黙を作るときとでは、捉え方が異なります。
ここでは、会話の相手である男性がみずから沈黙した時について解説していきます。
女性にはなかなか理解しにくいことですが、男というのは自分と会話をする生き物です。
男性が自ら沈黙を作った時は、それは自分自身と対話をしている時なのです。
また、人間は一度に二つのことを同時に考えることができないものです。
つまり、会話をしているときに、なにか全く異なる別のことを考えることはできないのです。
そのため、会話中の沈黙は、沈黙する直前まで話していた内容につながる何かについて、男性が自分自身と対話をしていると言うことになります。
沈黙を気まずく感じることもありますが、気まずく思ってむやみに言葉を継いだり、話の先を急いだりする等、あなたから声を発して沈黙を破るようなことはすべきではありません。
男性にとっての沈黙は、今起きていることをかみ砕いて消化し、心の中に焼き付けている大切な時間なのです。
その沈黙が、あなたにとってポジティブな要因の沈黙か、それともネガティブな要因の沈黙かを見分けるためには、それまでの会話の内容と場の空気を読みとるしかありません。
例えば、相手が沈黙と同時に足を頻繁に組み替えたり、顔を手で触ったり、時間を気にするそぶりをするなど、ネガティブなボディランゲージが出ていたとします。
それはネガティブな沈黙としてとらえることができるでしょう。
こう聞くと難しく感じるかもしれませんが、要は大切なのは二人の間の空気を感じ取り、それに合わせた対応をするということです。
では、相手がネガティブな気持ちで沈黙を作った時にはどうすればよいのでしょうか。
その場合には、相手に質問をすると良いでしょう。
先程話した通り、人は二つのことを同時に考えることはできません。
つまり、自分の心の中で自分と対話をしているときに、その内容とは別のことを考えることはできません。
あなたと会話をしているときに考えることができるのは、あなたに話しかけている内容の事だけです。
もちろん、男性が聞き手の時には別のことを考えることができます。
これはあくまでも、男性が言葉を発している最中のことです。
そこで、質問をして相手に話をさせることによって、ネガティブ要因を相手の心に残させないようにするのです。
例えば、こんな会話ではこうなります。
昨日の夜、電話したけど出なかったよね。
この後男性が沈黙をしたら、男性は電話に出なかったあなたのネガティブイメージを心に刻み始めます。
ごめん、家に電話を忘れて外出してたの。どうすればよかった?
このように、質問で返します。
○○○○
男性からの不満や、あなたにして欲しかったことが吐き出されます。
ごめんね、気がつかなくて。そうすればよかったね。
このように、質問で返すことによって、男性の考えている内容は「電話をしたのにあなたが出なかった」
というネガティブなものから「あなたにこうしてほしかった」という建設的な別のものへと変わります。
内容が変われば別の展開が考えられますし、ポジティブな方向へと話を変えていける可能性も高まります。
それが言い訳であろうと別の話であろうと、それは男性の耳には入らず、一人で静かにマイナス要因を心に刻んでしまいます。
つまり、あなたが話すのではなく男性に話をさせることが大切なのです。
ちなみに、この沈黙の間を直感的に使えるようになると、嘘も見抜けるようになると言われています。
あなたにもこんな経験があるのではないでしょうか。
相手の男性の都合が悪くなるような質問をしたら、男性が普段以上に色々と言葉を並べて弁解し、あなたを納得させようとします。
あなたが沈黙したらその間を壊すようにさらに口数を増やしたというようなことが。
これは、自分の都合が悪くなりそうなことは早くひっくり返してしまいたいという心理から起きることです。
嘘を隠そうとするときによく出る症状でもあります。
あなたの沈黙ひとつで、相手の心情が変化し、感じた焦りが言葉に表れているのです。
話を戻しましょう。
分が悪い沈黙は質問で返しましょう。
相手がポジティブに捉えている沈黙は、相手のペースに合わせましょう。
これが沈黙を上手に使う会話術です。
また、分の悪い沈黙を壊すために合いお手に質問をした直後は、特に注意が必要です。
相手がその質問に対して答え始めたら、これまで以上に一生懸命に聞く態度を見せなければなりません。
おそらく、自分に対して心がないと感じ始めることでしょう。
さっきの質問は単なる話題探しの一つにすぎなかったのだなという印象を持つはずです。
これでは、せっかくネガティブな沈黙を打ち消したのに、また別のネガティブが生まれるだけです。
自分が質問した直後は、聞く姿勢をきちんと取って、相手の話を一生懸命に聞きましょう。
これは、相手に対する誠実な関心を見せることと同じになります。
質問した時ほど、より相手の表情に目を向けて、話しを聞かなければならないのです。