キャバ嬢として働いている女性には二種類おり、キャバ嬢一本で頑張っている専業キャバ嬢がいるほか、キャバクラを副業としている兼業キャバ嬢もいます。
兼業キャバ嬢の中には学生をしながらアルバイトをしながらキャバ嬢をしていたり、昼も働いているものの給料が少ないためキャバ嬢として働いて補っていたりします。
学生キャバ嬢は意外と多い
昼は学生をしているキャバ嬢は案外多く、私の友達にもいます。
私が大学在学中、社会人の先輩に連れられてキャバクラに行き、私についたキャバ嬢と話していると同じ大学であることが分かり、さらに話すと同じ学部の違う学科であったことが分かりました。
それがきっかけで仲良くなり、友達として付き合うようになりました。
話を聞いてみると、彼女は実家が貧しく大学に通うお金を払ってもらえなかったため、自分で稼いで通うと決めました。
しかし、コンビニバイトなどの一般的なアルバイトで学費を捻出しようとするとどうしても無理が出てしまう(学校以外ほぼバイトになってしまう)ため、キャバクラで働くことにしたのです。
彼女は偉かった。自分で稼いで学費や生活費をすべて支払い、きちんと4年間で大学を卒業しました。
なんでそこまでするのかと聞けば、「勉強がしたいから」という事でした。
当時の私はすでにその学部での勉強を諦めており、ライターになるための勉強ばかりしていました。
ある日、彼女と喫煙所で会った時、私は文章の勉強の教材としていた本一冊だけを脇に抱えていたのですが、それをみた彼女から「教科書は?え、買ってないの。授業できないじゃん。お金もったいない!」と言われたのをよく覚えています。
私たちが就職活動をした時期は就職氷河期と言われる時期でした。
私の友人たちも余程優秀な人が数社受けて内定をもらったほかは何十社と受けていました。
私はフリーライター志望だったため一切の就職活動をしなかったのですが、皆えらく苦労している中でキャバ嬢の彼女はすんなりと内定をもらうことができました。
彼女の話を聞いていると、どうもキャバ嬢としての経験が就職に有利に働いたようです。
なぜキャバ嬢は就職に強いのか
なぜキャバ嬢の経験が就職活動に役立つのか私なりに考えてみたところ、なんとなく分かりました。
それを解説しましょう。
キャバ嬢たちが仕事を始めるきっかけは色々あります。
友達に誘われてなんとなく、楽しそうだから、生活費を稼ぐためなどなど。不景気な昨今では、親の仕送りがゼロの女子大生が学費や生活費を稼ぐためにキャバ嬢をしていることが多くなりました。
ストレス耐性が高い
キャバクラの求人を見てみると、「お客様と楽しく話し、お酒を飲んで時給5000円の仕事です!」などと書かれていますが、実際は違います。
本当に楽な仕事ならば時給は安くなるのが自然です。
色々な苦労があるからこそ高時給なのです。
マナーの良い客ばかりではありません。
高いお金を払って飲んでいるのだからとセクハラをしてくる客は当たり前のようにいますし、一気飲みをさせようとしてくる客や、エッチに持ち込もうと必死の客もいます。
「おいブス!」と外見をからかって楽しむ客もいます。
体臭や口臭が非常にきつかったり、フケがすごかったりといった生理的に受け付けない客もいることでしょう。
それでも、キャバ嬢は嫌な顔ひとつせずに笑顔を振りまいて楽しませなければならないのです。
このほか、女性の世界ですから妬み嫉みで苦労することもあります。
そのような環境で生き抜いた経験があるキャバ嬢は、まずストレス耐性が非常に強いのです。
多少嫌なことがあってもほとんど動じることがありません。
このようなところが面接に活きます。
非常に多くの客と色々な会話をしてきた海千山千の彼女たちは、多少いじわるな質問をされても受け答えすることができますし、ストレス耐性が高いので圧迫面接にもへこたれないのです。
そこが面接で高く評価されることとなります。
顧客ニーズを把握できる
このほか、キャバ嬢たちは顧客ニーズを把握する能力に長けています。
その友達が話すには、客の席に着いたらまずは話を聞くことに集中するとのことです。
その中で、団体客ならば客同士の関係を把握してタイプを見極めていきます。
そして、タイプごとにニーズを把握して接客していくのです。
例えば、上司からいじられ役の若手社員がいたとします。
いじられタイプであると把握したならば、その客はおそらくいじられるばかりではなく認められたい気持ちを持っていると推測し、その客に接する時には「○○さんだって頑張ってるんですよね。きっと上司の方も、わざわざキャバクラに連れてきてあんなふうにいじるのは○○さんのことを可愛がっているからだし、評価してくれてるはずですよ」などとささやくのです。
そうすると、いじられ役の若手社員は「この子は分かってくれるんだな」と思い、指名してくれるようになるというわけです。
以上のように、キャバ嬢たちは相手の話を聞き、相手が喜ぶものを提供する技術に長けています。
そして、その技術は社会に出てからも必要となる技術です。
売れっ子になりたいキャバ嬢たちは、これを身に付けるために自己啓発書やビジネス書を読んで勉強しています。
もちろん、社会が水商売の女性に対して偏見を持っていることを彼女たちは知っています。
そのため、履歴書にキャバ嬢をしていたことを書きませんし、面接でいう事もありません。
しかし、多少のことで動じないハートを持っており、顧客のニーズをつかむことができ、上昇志向がある彼女を会社が捨て置くはずはありません。
もっとも、キャバクラはストレスがすごい世界ですから短期間で辞めてしまうキャバ嬢も多く、そのようなキャバ嬢たちは就活の時に有利になる可能性は低いでしょう。
しかし、そのような厳しい世界で長く務めたキャバ嬢は確実に有利に就活を進めることができることでしょう。