キャバクラで働くキャバ嬢たちの名前は本名ではなく、店内だけで用いる名前、すなわち「源氏名」と言われるものです。
源氏名はなぜ存在するか考えたことがあるでしょうか。
源氏名はなぜ存在するのか
キャバクラは基本的に異空間です。
普段は女性と縁がない人でも、自分のタイプの女の子を指名することができ、どんな会話でもたいていは受け入れてもらえ、時には手を握ったりしながらお酒を飲むことができるのです。
そして内装はこれまた普段は縁がないクラブ風の内装です。
その他にもキャバクラが異空間であることを演出するさまざまな仕掛けがあるのですが、本名は日常空間で利用するものであり、源氏名は異空間で利用するものであるという区別を付けるために、源氏名が存在しているのです。
芸能人の芸名や文筆家のペンネームと変わりないものです。
キャバ嬢の源氏名、AV女優の女優名、芸能人の芸名、文筆家のペンネーム、これらすべてに共通することですが、別の名前を使うことでその人物の人格になりきることができるという効果があります。
複数のペンネームを使い分けている文筆家がペンネームによって全く異なる文体を使い分けたり、映像の中ではドSを演じて人気を集めているAV女優が本当はドMであったり、コワモテのVシネ俳優が本当は気優しかったりと色々なケースが考えられます。
ベテラン俳優に至っては、映画で与えられた名前の時には設定された人物になりきることができるため、生涯に何十、何百という人格になりきることになります。
名前を変えることにはこのような効果があり、キャバ嬢もキャバクラという異空間で働くにあたって魅力的な女性になりきるために、源氏名の自分を作り出すのです。
キャバクラでは、同じ名前のキャバ嬢が同じお店に存在することはありません。
そのため、中には本名を用いるキャバ嬢もいますが、たいていは自分が使いたい名前であり、なおかつ現在他のキャバ嬢が使っていない名前を使うことになります。
女性は特に、本来の自分ではない別の自分になりきることが上手い性質を持っています。
整形手術を受けた女性が、整形前はコンプレックスの塊であったのに対し、整形後は自信に満ち溢れた別の自分になりきることがあります。
これと同じように、昼間はあまりパッとしない地味な「梅子」が、夜になると源氏名「美優」などという名前になり、メイクをして派手な身なりになり、性格もとても明るく周りを楽しませる女の子に変身することができるのです。
このように、本来の自分と夜の自分が不一致というキャバ嬢はいるものです。
もっとも、売れるキャバ嬢になると、昼と夜の自分の両方が本当の自分というケースもとても多いものです。
つまり、本名の自分から源氏名の自分へのスイッチの切り替えが無意識に行われているというものです。
売れるキャバ嬢にはこの様なケースが顕著であり、色々な自分を客に合わせて器用に使い分けることで、人気を集めています。