マイナンバー制度が始まり、あらゆる職業で税金逃れが困難になっていると言われる昨今、キャバ嬢は税金とどのように付き合っていけばいいのか分からないという人も多いと思います。
そこで本稿では、確定申告の基本的なことや、キャバ嬢ならではの税金に関する注意点などを解説していきます。
キャバ嬢の立場
まず明らかにしておきたいのが、キャバ嬢はお店と雇用契約を結んだ従業員ではないということです。
この点が理解されにくいことなのですが、お店とキャバ嬢には雇用関係はなく、キャバ嬢はあくまでもお店の業務を請け負い、店舗内で個人的に営業を行なっている「個人事業主」なのです。
とはいえ、雇用関係がある仕事と同じように、お店はキャバ嬢を管理しているものですし、お店から給料が支払われますし、いまいちピンとこないと思います。
細かいことは考えず、キャバ嬢は個人事業主であるという部分だけでも覚えておくと良いでしょう。
個人事業主であるならば、雇用主が確定申告をしてくれるわけではありませんから、自分で確定申告を行なうことになります。
お店は報酬の中から、源泉徴収として10%を差し引いています。
キャバクラで受け取った報酬を所得税の累進課税に照らし合わせて、所得税が何%であるかを把握した時、源泉徴収を納めすぎていれば税金の還付を受けることができ、足りない分は追加で支払う必要があります。
例えば、キャバクラで年間500万円の報酬を受け取ったキャバ嬢がいたとしましょう。
この場合、源泉徴収として51万500円を支払っています。
しかし、所得税の累進課税は、
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
となっており、本来ならば年収500万円のキャバ嬢は20%の課税になるわけです。
となると、源泉徴収の10%ならば、半分しか納税していないことになり、追加で51万500円の納税を求められることになります。
本来ならば追加徴収をされるキャバ嬢は多いだろうと思います。
しかし、追加で税金を支払ったという話はほとんど聞かないと思います。
なぜそれをしているキャバ嬢が少ないのかと言えば、今は見逃されているか、経費を計上してうまく切り抜けているかのどちらかです。
マイナンバー制度が始まったばかりの今、確定申告をせずに源泉徴収だけで済ませていたとしても、国税に突っ込まれることはあまりないと思います。
しかし、それが何年も続いたり、効率化が進んで摘発が容易になったときに摘発を受け、本来払うべき追加徴収よりも多い「追加徴税」を支払わなければならない可能性も出てきます。
だからこそ、キャバ嬢も個人事業主として立ち回り、できるだけ多くの経費を計上して節税に努めたほうが良いでしょう。
今後、確実にそのような流れになっていくことと思います。
今は、あまりキャバクラ業界でも確定申告がやかましくありませんが、キャバクラ業界でも2020年くらいまでにはマイナンバー制度が浸透すると考えられています。
それまでには、確定申告に慣れておきたいものです。
領収書ってどんなもの?
経費に計上できる領収書には色々あります。
仕事に関する出費ならば、何でも経費に計上できるからです。
ヘアメイク代やドレス代、お客さんへのプレゼント代、営業用の携帯代、タクシー代など仕事にかかった出費は何でも経費で計上できます。
筆者も個人事業主として、節税には普段から心がけています。
領収書による節税のポイントは、ちょっとどうかな?と思う内容でも、とりあえず領収書をもらっておくことです。
例えば、同僚のキャバ嬢と外食などをした場合にも、お客さんの情報交換をしていたなどの名目で領収書をもらえば、領収書を切ることができます。
色々な雑誌を買っても、お客さんとの会話のネタを仕入れるためだという名目ならば、十分に通用します。
お客さんにプレゼントを買う時に、親や彼氏にもプレゼントを買ってあげて領収書を紛れ込ませれば、おそらくバレることはありません。
もちろん、社会通念に照らし合わせて、問題のない範囲内であることが重要ですが。
このように考えると、色々なことを経費にできることが分かると思います。
年収500万円のキャバ嬢が、色々なことを経費に計上して、年間200万円の経費があったとします。
そうすれば、実質的な年収は300万円ですから、追加徴収を受けなくても良くなります。
贈与税に注意
所得税以外で注意したいのが贈与税です。
贈与税とは、物をプレゼントされたり、現金をもらったりした時に課税されるものです。
誕生日などにプレゼントのやり取りをしたとしても、それで確定申告をした経験はないと思います。
しかし、キャバ嬢ともなってくると、ブランド品や貴金属をもらい、プレゼントの金額が桁違いになりますから、贈与税の問題が出てきます。
贈与税が課税対象となるのは、年間で110万円以上の贈与を受けた場合です。
もしこの規制がなければ、遺産相続の際にかかる相続税の対策として、死ぬ前に財産をごっそり移してしまうこともできるわけですが、贈与税があることによってそれができなくなっています。
また、贈与税は贈与する側と贈与される側がいて、初めて成立します。
キャバ嬢の誕生日にはお店でイベントを開き、たくさんのお客さんが集まってプレゼントをし、受け取ります。
誕生日を前提に物品の授受が行われるのですから、これは明らかに贈与する側とされる側の関係が成り立ち、贈与税の課税対象になります。
しかし、もらったプレゼントをキャバ嬢が自分で保管したり、使ったりしているだけならば、国税庁はプレゼントの種類や個数や総額を把握することは不可能ですから、申告しなくてもバレることはありません。
バレるとすれば、以下のような場合が考えられます。
- マンションや高級車をプレゼントされて、キャバ嬢名義になっている
- 現金をもらって振り込んだ
- プレゼントを大黒屋などのショップやネットオークションで売りさばいた
まず、マンションや高級車の名義がキャバ嬢名義になっているならば、確実にバレます。
名義変更の内容を見れば、お客さんからキャバ嬢の名義に変えられている、つまりプレゼントされていることが分かるからです。
次に、現金をプレゼントしてもらい、それを口座に振り込んだ場合にもバレる可能性があります。
多額の現金が振り込まれ、申告されている所得に見合わなければ、それがプレゼントされたものだと分かるからです。
同様に、買い取りショップやオークションなどで転売した場合にもバレます。
転売して得た多額の現金を振り込めばバレます。
また、国税庁がその気になって調べれば、売った商品や受け取った金額をすべて把握することができます。
つまり、派手なことはするべきではないということです。
たくさんのプレゼントをもらえばもらうほど、できるだけ目立たないようにしておいた方が、贈与税の観点からは好ましいです。
まとめ
マイナンバー制度が始まり、国民の資産状況が筒抜けになりつつある今、キャバ嬢も確定申告をしないまま働いたり、高額のプレゼントをもらって贈与税を無視したりしておくことが難しくなってきています。
とはいえ、本来ならば、キャバ嬢だからと言って確定申告を無視し、国民の義務である納税を怠ってきたような事実そのものが問題であったと言えます。
今後は、税金に関する取り締まりが厳しくなっていくと思われますから、きちんと確定申告をしながら働くことをお勧めします。