キャバ嬢の仕事は、お客さんと会話をして楽しませることです。
その会話は、特に中身のない雑談になることも多いでしょう。
雑談といえば簡単そうですが、人見知りをするキャバ嬢や、初対面のお客さんと話すのが苦手なキャバ嬢にとっては、簡単なことではありません。
そこで、人見知りなキャバ嬢や初対面が苦手なキャバ嬢でも、うまく雑談するためのテクニックのを教えます。
売れるキャバ嬢の特徴は?
本稿をお読みの方の中には、キャバ嬢という仕事に興味を持っているものの、どのような仕事であるかということはそんなに知らない、という人も多いと思います。
そのような人にお聞きしたいのですが、キャバクラでナンバーワンになる女性って、どんな人だと思いますか?
・・・なるほど。お店で一番の美人と思うわけですね。
もちろん、そういう場合も多いのは事実です。
世の中の男性の多くは、美人を好みます。
このことは、世に出てくる女優やモデル、あるいはアイドルといった女性には、ブサイクのほうが圧倒的に少ないという事実からも明らかです。
ルックスというものは、女性にとって必ず武器になるものであり、ブサイクよりは美人の方がいいに違いありません。
キャバクラにおいても、美人が好まれます。
しかし、それは「ブサイクか美人かでいうなら、美人の方が当然いいでしょ」というくらいのものであり、「キャバ嬢は美人じゃなきゃ話にならない!」というようなことではありません。
キャバ嬢にとって、美貌は絶対条件ではないのです。
実際、キャバクラのナンバーワンを見てみると、必ずしも美人とはいえない(もちろんブサイクではないですよ、そのお店にはもっと美人がたくさんいるのに・・・というくらいの意味です)キャバ嬢がナンバーワンになっていることが多いのです。
では、ルックスがナンバーワンになるための絶対条件でないならば、なにが条件なのでしょうか。
それは、ずばり「気配りができるかどうか」です。
お客さんに対する気配りはもちろんのこと、お店のスタッフや同僚のキャバ嬢に対しても気配りができるキャバ嬢は、総じて売れっ子になりやすい傾向があります。
売れっ子の雑談の傾向
キャバクラにも色々あって、大衆キャバクラ、中級キャバクラ、高級キャバクラがあります。
大衆キャバクラや中級キャバクラでは、そこで働くキャバ嬢にもアルバイト感覚の女性が多く、お店もあまりやかましくノルマを課すことは少ないものです。
しかし、高級キャバクラになるとノルマが課せられることも多く、キャバ嬢たちも結構必死です。
キャバ嬢同士が指名の取り合いをしているような雰囲気さえ感じる人もいるかもしれません。
しかし、実際のキャバクラの経営においては、スタッフやキャバ嬢同士がチームとして機能しているケースも少なくありません。
そのようなお店では、色々なメリットがあります。
例えば、あなたを指名してくれるお客さんが4組、同時に来店したとしましょう。
そのような場合には、あなたは4つのテーブルに同時につくことはできませんから、テーブルをひとつずつ回っていくことになります。
その時、自分が接客しているお客さん以外の3組のテーブルでは、指名を受けていないキャバ嬢がヘルプとして接客をすることになります。
その時、ヘルプのキャバ嬢たちがきちんと協力してくれなければ、自分の力の及ばないところでお客さんを不快にさせてしまい、お店から足が遠のいてしまうことも十分にあり得ます。
しかし、気配りができるキャバ嬢は、そのようなことになりにくいものです。
なぜならば、普段から同僚のキャバ嬢に気配りができるため、ヘルプに着くキャバ嬢たちも「一肌脱ごう」という気持ちでヘルプをこなしてくれるからです。
指名が多くなれば多くなるほど、ヘルプの力を借りなければならない機会は増えるわけですから、このことから「気配りのできるキャバ嬢こそナンバーワンになれる」ということがわかるでしょう。
いくらとびきりの美人であるからといって、周りの協力が得られなければ、到底ナンバーワンになることなどできないのです。
では、売れるキャバ嬢の気配りは、具体的にはどのようなところに現れるのでしょうか。
わかりやすいのが、そのキャバ嬢の雑談のときの姿勢です。
雑談中の振る舞いを見てみると、その人の性格や姿勢・態度が非常によく現れるものです。
気配りができる人というのは、総じて聞き上手です。
相手が話している時に口を挟まないということから始まり、あらゆるところで真剣に聞いています。
相手が思い切り話せるように、気を配っているのです。
お客さんが話しをしている時には、それがどのような話題であろうとも、人一倍真剣に聞いています。
もちろん、キャバ嬢になったばかりの女性が、初めから聞き上手になるのは難しいでしょう。
ただ聞いているだけでは、本人は一生懸命聞いているつもりでも、相手は「ちゃんと聞いているのかな?」と思われることもあります。
そこは、視線の向け方や相槌の打ち方によって、真剣に聞いている姿勢を現す必要があります。
最初は聞き上手になれなかったキャバ嬢も、先輩キャバ嬢の相槌や視線を真似していき、経験と照らし合わせて習得していくうちに、絶対に聞き上手になることができます。
私がこれまで訪れたキャバクラのナンバーワンを思い出して見ても、例外なくみんな気配りができて聞き上手でした。
しかし、彼女たちも最初は聞き上手ではなかったのです。
キャバ嬢になったばかりの女性は、なれない空間で知らない人と話をしなければならないのですから、緊張して表情が硬くなるのはあたりまえです。
人見知りのキャバ嬢はどうする?
しかし、うまく雑談をするとか、聞き上手になるといったことが重要だと言われても、なかなか難しい人もいます。
知らない男の人と楽しく話すというのは案外難しいことで、最初は笑顔もうまく作れず、お客さんの印象にも残らないキャバ嬢も結構いるのです。
キャバ嬢にとって「印象に残らない」というのは最悪です。
印象に残らないキャバ嬢を指名しようと思うお客さんなんていませんから、印象に残らない=指名がもらえない=お給料が増えないということに繋がってきます。
印象に残らないキャバ嬢は、お客さんの眼中になく、いってみいれば空気。
存在しているのやらしていないのやら、よくわからない存在なのです。
あるとき私は、取材をかねてあるキャバクラに足を運びました。
そのお店に行くのはしばらくぶりのことで、働いているキャバ嬢も結構変わっていました。
指名するキャバ嬢もいないのでフリーで入ると、新人のキャバ嬢が付いてくれました。
新人よろしく、表情は硬くて笑顔が引きつっていましたし、あんまり会話が盛り上がりませんでした。
印象は薄く、その時に話したことなどはほとんど覚えていません。
「この子、キャバクラは合わないんじゃないかな。すぐ辞めそうだな」と思ったことは覚えています。
それから少し期間が空き、またそのお店を訪ねてみると、そのキャバ嬢はまだ働いていました。
それどころか、指名もついているようで、ボーイに聞くとそこそこの売れっ子になっているようでした。
すぐに辞めると思っていた私は、おもしろいなと思って場内指名をしました。
すると、前回接客とは打って変わって、元気よく挨拶もできますし、なにより自然な笑顔を見せてくれました。
僕のこと覚えてないよね。
君がまだ新人の頃にきたんだけど。
全然仕事できてなくて、すぐ辞めるのかなと思ってたのに、よく続いてるね。
笑顔も出るようになったじゃん。
といい、どうして変われたのかを聞いてみると、彼女はこのように語ってくれました。
始めてから1ヶ月目くらいだったと思うんですけど、もう辞めようかなって思ってたとき、あるお客さんと長所とか短所の話になったんですね。
私、人見知りだし、多分キャバ合ってないし、短所はあるけど長所とかよくわからないって言ったんです。
そしたら、そのお客さんが『君は君のままでいいんだよ。僕は喋り倒す子より静かに話を聞いてくれる子が好きだし、人見知りも裏を返せば長所だよ』って言ってくれたんです。
なるほどと思いました。
彼女はおそらく、自分の中で「キャバ嬢とはこうでなければならない」というようなイメージがあって、それを演じようとしていたのでしょう。
しかし、そのイメージというものが、彼女のキャラクターと合っていなかったために無理が生じて、「自分はキャバ嬢に向いていない」と思い、自信を持てずに表情も硬くなっていたのです。
しかし、お客さんの言葉によって、そのように演じるのではなく自然のままに接客すればいいんだということに気づきました。
すると、自然に笑顔も出るようになり、人見知りを転じて聞き上手になり、お客さんにウケるようになっていったのです。
食事に誘われることも増えて、同伴もよくこなせるようになりましたし、指名ももらえますから給料は上がっていきました。
満足のいく給料を得られて、無理のない姿勢で働くことができるのですから、仕事が楽しくて仕方ないと言った様子でした。
今では、彼女はベテランたちと同じように、お店の中心的な存在になりつつあります。
人見知りのキャバ嬢は、お客さんと雑談をしているとき、最初は聞くことに徹していても、沈黙してしまうと非常に焦ってしまうものです。
「次、私が話す番なの?なに何話せばいいの?」と思って焦るのです。
聞き手が緊張してしまうと、そのことはお客さんにも伝わってしまうものですから、お客さんまでなんとなく緊張を感じるようになります。
お互いが緊張の中で話さなければならないなんて、最悪ですよね。
不快です。
楽しむためにきているお客さんを不快に思わせてしまうと、もう絶対に指名なんてもらえません。
人見知りのキャバ嬢は、まず肩の力を抜くことから始めてください。
聞き上手に徹して、自然体で話すことを意識していれば、少なくとも焦っているよりはいい会話ができるはずです。
初対面のお客さんと距離を縮める
キャバ嬢という仕事は、他の色々な仕事と比べて、初対面の人に会う機会が多い仕事です。
そのお店に初めてきたフリーのお客さんに接客するときは、必ず初対面になるわけですし、そのお店で働きたてのキャバ嬢にとっては、全てのお客さんが初対面です。
慣れてしまえばなんてことはないのですが、新人のキャバ嬢や人見知りのキャバ嬢にとって、初対面のお客さんとの接客は緊張するものです。
あなたが緊張すればお客さんも話しにくく、聞き上手になることもできません。
では、初対面の客さんと距離を縮めるためには、どうすればいいのでしょうか。
すぐに実践できる一つのテクニックとして、「自分の言葉に相手の名前を入れる」というものがあります。
そのお客さんが常連さんの紹介などでなければ、初対面のお客さんと接客するときは、お互いに名前を知らないのが普通です。
お客さんが、「名前はなんていうの?」と聞いてくることもあるでしょうし、あなたから自己紹介をすることもあるでしょう。
そのとき、自己紹介に続いてお客さんの名前を聞き、把握します。
すると、自分の発言のいたるところにお客さんの名前を入れることができます。
〇〇さんは、お酒は何が好きなんですか?
〇〇さんは、キャバクラにはよく行かれるんですか?
〇〇さんの時計、おしゃれですね。どこの時計ですか?
など、名前をいれながら会話することができます。
不思議なもので、人は自分の名前を呼ばれると、無意識のうちに親近感を抱くようになります。
これは、いろいろな業界で知られ、実践されているテクニックの一つです。
例えば、上司が部下に何か頼みごとをするとき、
おい、取引先に連絡入れといてくれ。
というのと、
〇〇さん、取引先に電話をしておいてくれないかな。
というのでは、どちらがいい気持ちになるでしょうか。
前者ならば、悪い気がすることはあっても、決していい気持ちがするものではありませんね。
嫌われている上司ならば、「なんだよおっさん!あの頼み方!」と怒りを買うことにもなりかねません。
しかし、後者のように頼まれたならば、嫌な気分はしないものですし、むしろいい気分さえしてくるかもしれません。
私も、このことの大切さは痛感したことがあります。
先輩の一人は、私のことを名前では呼ばず、いつも「お前」呼ばわりでした。
それに対して、もう一人の先輩は、私のことを必ず名前で呼んでいました。
前者の先輩から小言を言われると、「なめんなよ!」とはらわたが煮えくりかえるのですが、後者の先輩から小言を言われても、不思議と腹が立たないんですね。
なんでだろう、と思っていた時に、心理学の本で「人は名前を呼ばれると親近感を抱く」ということを知り、なるほどと思いました。
また、たまに会う関係ならば、これはもっと効果的になります。
これも手前味噌になりますが、私には年に1〜2回しか合わない大先輩(もうおじいちゃん)がいます。
私の名前を覚えている人はそれほどおらず、そんな先輩が私を呼ぶときは「すみません」「おぉい」「そこの若いの」「学生さん」などと呼ぶものです。
社会人の私に対して「学生さん」はちょっとあんまりですが、そう呼ばれたのは20代前半のことですし、名前を覚えていないのですからこんな呼び方にもなります。
しかし、そのような大先輩のうち、何人かは私の名前を覚えて、名前で呼んでくれます。
それだけでも結構うれしいのですが、もっと嬉しいのは苗字ではなく下の名前で呼んでくれる人です。
下の名前で呼んでいるということは、フルネームで覚えてくれているということです。
「僕のような末輩に・・・」と、感動すら覚えます。
なぜ感動すら覚えるのでしょうか。
それは大先輩が名前を覚えてくれていたということもあるでしょうが、それ以上にたまにしか会わないのにフルネームで覚えてくれていた、ということが大きいでしょう。
このように、相手の名前をきちんと覚えるということは、距離を縮めるために非常に役立つことなのです。
キャバクラでは、1ヶ月に1回、あるいはそれ以上の期間をあけてお店に来る(例えば年に数回の出張の時に決まってお店に足を運ぶなど)というお客さんも多いものです。
そのようなお客さんに対しては、初対面の時は会話に名前を入れて距離を縮めるのが効果的です。
また、できるだけフルネームで覚えておきましょう。
そのお客さんが久しぶりにお店に来た時には、きちんと名前で呼んであげます。
フルネームで覚えていたならば、下の名前で呼んであげましょう。
きっと、お客さんは感動するはずです。
1ヶ月に1回しか来なかったお客さんが、もっと頻度を増やして来店し、あなたを指名するようになるかもしれません。
名前を入れて会話をする、きちんと覚えて活かしていくというのは、雑談力がなくてもできることです。
また、名前を呼ぶことで距離が縮まれば、お客さんは楽しくなってたくさん話してくれるでしょう。
そうすれば、あなたは聞き役に回ればいいのであって、あなたはそれほど発言をせずとも、雑談は成り立つようになるのです。
会話が途切れたら?
最後に、聞き上手の最大の敵である沈黙について話しておきます。
初めのうちはお客さんもいろいろな話をしてくれて、聞き上手に徹することができるかもしれませんが、あるとき会話のネタがなくなり、沈黙してしまうことがあるのです。
これは当然のことで、お客さんと接客している間中、ずっと話を続けられることなどほとんどないでしょう。
途中で数秒間、なんの会話もなくなるというのはよくあることなのです。
そのような時に、焦るのはいけません。
沈黙を受け入れるようにしましょう。
沈黙に耐えられずに下手に喋り出してしまうと、雰囲気が壊れてしまうこともあります。
そうするよりは、あえて沈黙を受け入れてみるのです。
もちろん、その時間が何十秒も何分も続くならば、接客として成り立ちませんから、なんとかしなければなりません。
しかし、あまりにも長い沈黙はあまりありませんから、まずは10秒くらいは待ってみましょう。
その間にお客さんがまた喋り出したならば、再び聞き役に回ればいいのです。
しかし、お客さんがなかなか喋り始めないときは、あなたがその状況を打開しなければなりません。
そのとき、焦って「何か話さなきゃ」と考えたのでは、失敗することが多いものです。
そうではなく、「何を聞こう?」と考えてみましょう。
これまでの会話で聞き上手になっていたのですから、ヒントはいくらでもあるはずです。
そして、何か質問をしてみれば、お客さんは「それはね・・・」と話し始めると思います。
そしたら、また聞き役に回りましょう。
会話は言葉のキャッチボールと言います。
相手がボールを投げ返すのに時間がかかっても「はやく投げ返して!」というのではなく、一呼吸置いているのだと考えて待ちましょう。
投げ返すのが遅くておかしいと感じたならば「どうかしたの?」と相手に質問をすれば、「ちょっと肩が痛い」「思いっきり投げてみたいんだけど、もうちょっと距離とらない?」などの返答が得られますから、それに対応していくのです。
売れっ子になる基本は気配りであり、会話における気配りは聞き役に徹することです。
そうすれば、人見知りのキャバ嬢でも、初対面が苦手なキャバ嬢でも、会話に詰まってしまったときでも、困ることなくうまく会話をすることができるのです。