本稿で紹介するテクニックは上級編ともいえるものです。
もしあなたが経験の浅い新人キャバ嬢や、まだテクニックを身に着けていないキャバ嬢であるならば、まずは当サイトの他の記事で初歩的なテクニックなどを読んでから、本稿を読むと良いでしょう。
上級テクニックも学ぼう
さて、キャバ嬢に限らず色々な職業において色々なテクニックがありますが、テクニックを習得するときの一番のテクニックは、ひとつのテクニックに集中して練習するという事です。
多くのテクニックを同時に習得するなど、よほどセンスがある人や頭のいい人にしかできないことですから、ひとつずつ習得していくほうが却って近道です。
アメリカを代表する偉人であるベンジャミン・フランクリンでさえも、13の習慣を身に着けるにあたっては、ひとつの習慣だけを1週間にわたって徹底的に心がけるということを繰り返した結果、13の習慣を身に着けることができました。
あなたも、今週はうなずき方だけを徹底的に練習する、来週はあいづちだけを徹底的練習する、その次はミラーリングだけを徹底的に練習するという塩梅です。
「三日会わざれば括目してみるべし」の言葉の通り、人間が本気になって一つのことに取り組めば、3日で変わってくるものです。
専業のキャバ嬢であれば1週間に5~6日間の勤務ですから、変わるには十分です。
兼業のキャバ嬢であれば1週間に3~4日間の勤務ということが多いでしょうから、これまた変わることができる時間があります。
また、1週間で難しければ2週間かけても良いのです。
1ヶ月かけたっていいでしょう。
1ヶ月に1つのテクニックを身に着けていけば、1年間で12のテクニックを身に着けることができ、確実に成績は良くなっていきます。
大切なのは、テクニックは1つずつ忍耐強く、着実に身に着けていくという事です。
当サイトには初歩的なテクニックから、本稿のような上級テクニックまで色々掲載していますから、簡単そうなものから取り組んでみると良いでしょう。
初級~中級のテクニックでは、主にお客さんの話しを一生懸命に聞くことや、理解していると伝えること、話を促すこと、盛り上げることなどがメインとなります。
しかし、上級テクニックになると、キャバ嬢側から会話をリードしていくテクニックです。
最初は少しずつ、気づかれないように会話をリードするよう仕向けていきます。
もっとも、リードすると言えばキャバ嬢もたくさん話すようになると思われがちですが、あくまでもお客さんの話の内容の範疇でリードしていきます。
初級から上級のテクニックに至るまで、喋りすぎは一貫して禁止です。
会話をダンスに例えるならば、最初はお客さんの性質を知るためにお客さんにリードしてもらいながらダンスを踊り、中級になると息をぴったりと合わせて踊ることができるようになり、さらに上級になると必要に応じてリードできるといった感覚です。
会話の具体例
本稿で紹介するテクニックは、サバイバル・クエスチョンというものです。
苦しさや悩みを抱えているお客さんに元気を与えるテクニックです。
もちろん、少しうまくいかないことがあるという程度のお客さんに対しても使えます。
このテクニックは、その名の通り質問を通して行われますが、質問には裏のメッセージを含ませて送ります。
例えば、以下のような会話が典型的な例です。
どこにテクニックが隠れているかを探しながら読んでみてください。
最近、仕事にやる気が出なくてね。
昔はもっとバリバリやってたんだけど。
上司もやる気がないことを知ってて、『このままだとクビだぞ』って言ってるくらいなんだ。
やる気がしないんですね。
でも、クビってなるとプレッシャーすごいですよね。
うん。
自分でもやる気が出ない理由がわからないから考えるんだけど、そうするとそのことばかり考えてまた仕事が手につかなくなるっていう。
どうしてか考えてもわからないんですね。
他にはどんなことをしてみましたか?
他って?
やる気がでないままだとまずいから、私に話したんですよね?
本当はやる気を出していつものように仕事がしたいんですよね。
う~ん、もうここまでくるとやる気の問題じゃなくて、俺が実は能力のない人間だったんじゃないかって思ってきてるよ。
自分に能力がないと思っているんですね。
そう思うまでにはどんなことがあったんですか?
実は最近大きなプロジェクトが終わったよ。
もしかしたら緊張の糸が切れたのかな。
大きなプロジェクトが終わった後なんですね。
お疲れでしょう。
体も心も休みたいのかも。
やる気が出ないのも無理ないですよ。
だよね。
少しくらいゆるむ時期って考えると無理ないか。
その発想はなかったな。気合い入れたくてジムでトレーニングしたりしてたよ。
え、やる気あるじゃないですか!(笑)
でもトレーニングに気合い入れても、仕事で気合いが入らないとね(笑)
あんまり焦らずにゆっくり仕事するとかどうですか?
いや、それはしてない。
いかにやる気を持ってバリバリやるかしか考えてなかったよ。
それなら、明日はお試しでゆっくりやってみたらどうですか?
じわじわやる気が出てくるかも。
そうしてみるよ。
少し休んでいい時期だし、気が楽になったよ。
憂鬱な気分で仕事してもやる気が出ないのは当たり前だから、明日からは気楽にやってみるよ。
このような会話はキャバクラではありがちなものです。
では、この会話の中でテクニックはどこにあったのでしょうか。
考えていきましょう。
サバイバル・クエスチョンはカウンセリングの手法としても使われるものです。
つまり、辛さを感じて心療内科や精神科にカウンセリングに来て、自殺願望を持っていたり、DVを受けていたりといった危機的状況にある人に対して行うテクニックです。
この手法では、まず相談者がその危機的状況に対してどのような対処をしてきたかを質問します。
多くの場合、相談者は自分の状況が危機的であるかを熱弁するはずです。
多少被害妄想が大きくなっている部分があるものですが、そこは指摘せずに相手の状況に理解を示してねぎらい、どうやって対処してきたかを質問し続けます。
そうするうちに、それまでは危機的状況を伝えることで精一杯だった相談者も、次第に「どうやって乗り切ってきたのか?」という質問に答えるために考え始めます。
すると、意外にできることがあることに気づき、相談前は絶望していたにもかかわらず、なにか対処していこうという前向きな姿勢が生まれてくるのです。
この質問の良い所はそれだけではなく、「どうしてきたか」を聞いていることがポイントです。
つまり、相談者が何もしてきておらず、「なにもしていない」という以外は、「こんなことをした」「あんなことはできた」というポジティブなものしか出てきません。
また、ほとんどの人は些細な事でも何らかのもがきはしているものですから、前向きな答えが得られる可能性が高いのです。
さて、上記の会話から、例文ではどこにサバイバル・クエスチョンがあったのかわかってきましたか?
まずは「どうしてか考えてもわからないんですね。他にはどんなことをしてみましたか?」で、これまでにどのような対処をしてきたかを質問しています。
その前の会話でお客さんが「自分でもやる気が出ない理由がわからないから考えるんだけど」と言っているのですから、何かしらの対処をしてきた可能性があると考えての質問です。
そして、その後の質問でもお客さんが何をしたかを重点的に聞こうとしています。
この時、お客さんの頭の中では自分は何を考えて何をしたかということを思い起こそうとしています。
すると、最近大きなプロジェクトが終わったことが分かりました。
その労をねぎらい、「体も心も休みたいのかも。やる気が出ないのも無理ないですよ」と休むこと、やる気が出ない状態を受け入れることを提案しています。
すると、お客さんは安心感を得ることができ、さらに「ジムでトレーニングをしていた」という対処を思い出します。
お客さんは、それまでは自分が何に対しても無気力状態であるかのように思っていたのですが、タイミングによってはきちんとやる気が出せるのだということに気づいて元気になります。
そして、お客さんが「自分もやる気あるじゃん」と気づいて元気になったところで、「ゆっくりやってみたらどうですか?」というアドバイスをしています。
本来焦っているお客さんですから、最初からこんなことを言えば「この子は俺のことを理解してくれていない。クビがかかっているのに、ゆっくりなんてできるはずがない」と思うに違いありませんが、一連の流れの中で休みたいと思っても仕方ないこと、やる気がないわけではないことなどを知ったお客さんは素直に受け入れることができるのです。
たいていのキャバ嬢ならば、このような会話では初めの段階で「そうなんだ。少し休んだ方がいいよ」などとアドバイスをしてしまうのですが、焦っている段階でそれを言うと信頼関係は崩れてしまいます。
サバイバル・クエスチョンのまとめ
サバイバル・クエスチョンの公式とでも言うものを挙げるならば、以下の通りです。
① (その困難の対処のために)どんなことをしてみましたか?
② これ以上悪くならないためには、どのようにしていますか?