キャバクラに来るお客さんの目的は様々ですが、共通して言えることは「満足したいと思っている」ということです。
満足しなければ繰り返し指名することはありませんし、満足すれば何度でも指名したくなるものなのです。
ですから、キャバ嬢はお客さんの満足度を高めるために、いろいろなテクニックを知っておく必要があります。
お客さんの心理を汲んで、満足度を高めるためのテクニックを紹介していきます。
お客さんの満足度の大切さ
どのような商売にでもいえることですが、顧客の満足度が100%であれば、その顧客は間違いなくリピーターとなります。
それはキャバクラでも同じことです。
キャバ嬢はお客さんの満足度を可能な限り100%に近づけて、リピーターを増やしていかなければなりません。
それぞれのお客さんから得られる指名こそがポイントの中で大きな割合を占めており、時給に反映されていくシステムなのですから、これは当然のことです。
キャバ嬢の中には、バイト契約をしていることから、指名や同伴の本数に関係なく一定の時給を保証され、それほど熱心に接客していないキャバ嬢もいます。
もちろん、売れっ子に比べると時給はかなり低くなっています。
しかし、ほとんどのキャバ嬢は指名や同伴の本数によって時給が決まってくるシステムで働いていることでしょう。
ですから、お客さんの満足度を高めてリピーターを得ることは絶対に欠かせません。
真剣に働いているキャバ嬢は、接客にも一生懸命です。
もしお客さんの満足度が低ければ、次の指名はなくなってしまうからです。
ひとつ余談ですが、私は先日、あるクラブに行きました。
気に入ったホステスがいるわけではなかったため、初対面の状態で話をすることになったのですが、ホステスの接客には感心しました。
こちらが望むならば、たいていの話についてくることができるし、その日の新聞のネタなども間違いなく頭に入っています。
キャバ嬢のほうが若いというのがホステスとの大きな違いなのですが、それでも非常に心地よい時間を過ごすことができました。
私は、執筆のための調査を兼ねていったわけですが、それを汲んでいるかのようでした。
キャバ嬢においても、お客さんが何を求めているのかを素早く察知できれば、非常に満足度の高い接客をすることができることでしょう。
お客さんが
- キャバ嬢を口説きたいと思っているのか
- 恋人気分を味わいたいのか
- 癒されたいのか
目的はいろいろでしょう。
キャバ嬢は基本的にルックスやスタイルでは一般の女性より優れているのですから、お客さんの目的を察知し、敏感に反応することができれば、お客さんは大切にされていると感じますし、高いお金を払っても不満に感じることはなくなります。
逆に、自分のポイントを伸ばすことばかりを考えて接客していると、お客さんは不満に思います。
お客さんは満足すれば、そこで過ごした時間に相応の対価を喜んで払い、またお店に足を運びます。
お客さんの満足度を高めることは、非常に大切なことなのです。
お客さんとのギブ・アンド・テイク
成績のいいキャバ嬢は、人間の心理をよく知っており、お客さんをお店に引き寄せるテクニックさえ持っています。
人間の心理を操るというと聞こえが悪いかも知れませんが、キャバ嬢たちはお客さんをだましているわけではありません。
満足を提供すれば、お客さんは自ら進んでキャバクラに通ってくれるのです。
言い換えれば、満足とお金のギブ・アンド・テイクであるともいえます。
キャバクラにおいて、キャバ嬢とお客さんの間でギブ・アンド・テイクがどのように行われているか、いろいろな形があるのはもちろんですが、このことに関してひとつの例を見ていきましょう。
以前、キャバ嬢とこんな会話をしたことがあります。
○○さん、今週お店でポイントコンテストがあるの。
明日なんだけど、お店に来てくれないかな。
ごめん、明日は忙しいんだ。
どうしてもやってしまわなきゃいけない仕事があるから。
それならいいよ。
もし都合がよかったらって思っただけだから。
協力できなくてごめんね。
今度暇なときまた来るから。
じゃあ、木曜日か土曜日に食事しない?
うーん、それなら土曜日がいいかな。
ありがとう!
これもギブ・アンド・テイクの一つの形です。
人間は何かを頼まれたとき、イエスを出すと次の頼みごとにノーと言いにくくなるものです。
逆に、一回ノーと言うと、なんだか罪悪感に似たものを感じ、次にイエスと言いやすくなってしまいます。
お店に来てほしいという頼みにノーといった私は、次に一緒に食事をしたいという頼みにノーと言いにくくなったのです。
このキャバ嬢は売れっ子キャバ嬢なのですが、「木曜日か土曜日」という選択肢を出しているのは感心です。
選択肢を用意すると、相手はどちらかを選ぼうとしてしまうものだという心理を利用しているのです。
このような頼み方をされると、木曜日も土曜日もどうしても忙しいという場合を除き、承諾してしまうものです。
もちろん、ここでいう「一緒に食事」は、言うまでもなく同伴のことですから、キャバ嬢は同伴ポイントと指名ポイントを稼いでしまったことになります。
直接同伴といわずに誘うのも、できるキャバ嬢のテクニックの一つです。
余談になりますが、売れっ子キャバ嬢たちは、他にもいろいろなテクニックを持っているのです。
同伴とか指名といった言葉を使わずにお店に来てもらうテクニックも持っているのです。
たとえば、夏の晴れ日ならば
今日も暑いね。
夜はビール大会にしない?
などと言ってきます。
もし、これが
今日も天気がいいね!
同伴してくれない?
となれば、断りたくなってしまいます。
イエスとノーの心理を利用したギブ・アンド・テイクの例をもう一つ紹介しておきましょう。
これは、やや高度なテクニックであり、「譲歩的依頼法」というものです。
売れっ子キャバ嬢でも、どうしてもポイントが足りずに同伴してほしいと思うことがあるものです。
そんなとき、この譲歩的依頼法を使っているキャバ嬢は少なくありません。
それは、こんな風に行われます。
ねえ、私、来週は仕事頑張らないとまずいの。
○○さん、こんなことお願いしにくいんだけど、来週毎日、ちょっとでいいから顔出してほしいな。
毎日なんて無理だよ。
いくら○○ちゃんの頼みでも。
ごめん、そうだよね。
ちょっと○○さんに甘えてみたかっただけ。
じゃあ、一日だけでいいから同伴してくれない?
一日だけならいいよ。
ちょっと極端な例ですが、わかりやすく言うならばこのようなことです。
最初のお願いは、よほど時間とお金に余裕があるお客さんでなければ不可能なお願いです。
キャバ嬢も、このお願いが聞き入れられないことははじめからわかっています。
万が一OKと言ってもらえればラッキーですが、十中八九、無理な話です。
キャバ嬢の本当の狙いは、一日の同伴です。
いきなり同伴をお願いしても、受け入れられない可能性もあります。
しかし、譲歩的依頼法を利用すれば、お客さんは最初の依頼にノーを出しているので、次はイエスを出してしまうのです。
ギブ・アンド・テイクは単純な助け合いというよりは、駆け引きの側面も持っているものです。
できるキャバ嬢はお客さんの心理を理解し、操り、ポイントを稼いでいるのです。
売れっ子キャバ嬢は業界用語を使わない
売れっ子キャバ嬢のテクニックにはいろいろありますが、テクニックのあるキャバ嬢とないキャバ嬢を比較すると、成績に大きな差が表れるのは当然のことです。
売れっ子キャバ嬢の特徴の一つに、業界用語を決して口にしないというものがあります。
業界用語とは、強制同伴やノルマといった、お客さんには全く関係ない用語のことです。
ギブ・アンド・テイクのくだりでも言ったとおり、「同伴して」という頼み方をしません。
そのような頼み方をすれば、お客さんは「同伴に付き合わされた」という意識を持ってしまい、満足度が下がってしまうからです。
そこは、同伴と言わずに「ビール大会」などと言い、一緒に楽しんで満足できるように配慮するのです。
どちらも、実質的には同伴をしているのですが、それでもお客さんの満足度は違います。
売れないキャバ嬢は、同伴を頼む時にこんな言い方をしがちです。
今度の月曜日は強制同伴の日なんだけど、ノルマがきつくていつも困ってるの。
同伴してくれたらうれしいな。
強制同伴やノルマということは、お客さんには全く関係のないことです。
「そんなこと知らんわ」「それはそっちの都合でしょ?」と思われても仕方のない言い方をしているということがわかるでしょう。
私にもこのような体験があります。
一回指名したことがあるだけのキャバ嬢から、こんなメールが来ました。
今、指名コンテスト中です。
○○さん、私どうしても優勝したいんだけど、今すごく微妙なところなんです。
○○さんからの指名をお待ちしています。
このようなメールは、ちょっとありえないレベルです。
非常に付き合いが長く、いつも応援してくれるお客さんであれば、関係によってはこのようなメールもあり得ます。
しかし、それほど親しくないお客さんにこのようなメールを送ったのでは、お客さんは離れてしまいます。
私は、「俺は君のコマじゃないから」と返信し、それ以降指名していません。
しばらくしてからそのお店に行くと、彼女はお店をやめていました。
おそらく、このメールは名前の部分だけを変えて多くのお客さんに送り、指名客が急速に離れていったのだと思います。
お客さんに「指名してください」という意味のメールをやたらと送るキャバ嬢がいるものですが、そのようなキャバ嬢が売れた例を見たことはありません。
だまされたつもりで1回くらいは顔を出すお客さんもいるでしょうが、メールを受け取った時点で満足度は下がっているのですから、長続きしないことは目に見えています。
売れっ子キャバ嬢は、そんなヘマはやらかしません。
こんな風に誘います。
ビールがおいしい季節になったね。
私、安く飲めるところ見つけたんだけど、一緒に行かない?
いいねえ、どんな店?
○○ホテルが今年からビアガーデン始めたんだよ。
へぇ、じゃぁ行ってみようか!
うれしいな!
来週はどう?
そうだなあ、金曜日なら大丈夫かな。
この会話では、ビールを一緒に飲むという約束を取り付けて、いつ飲みに行くかを聞いています。
一緒に飲みに行くことにOKを出した以上、いつかと聞かれればあいまいにしにくいものですから、約束することになります。
また、キャバクラに飲みに来るお客さんでビールが嫌いという人はあまりいませんし、新しいビアガーデンと聞けば飲みに行ってみたくなるものです。
その心理を利用しているのも感心です。
売れっ子キャバ嬢からしてみれば、ビールを飲みに行くと言ってもらえた時点で、同伴は受け入れられたも同然です。
お客さんのほうも、実際には同伴することになると分かっていても、いやな気分にはなりません。
デート気分で楽しめることでしょう。
専門用語でいえば、このような誘い方を段階的依頼法といいます。
お客さんを持ち上げるテクニック
譲歩的依頼法と段階的依頼法を紹介しましたが、このどちらも使わないテクニックもあります。
これは、簡単に言うならば、お客さんを持ち上げたり自分を下げたりしながら、自分の要求を通そうとするテクニックです。
ナンバーワンになるような売れっ子キャバ嬢の中には、このテクニックを使いこなしていることが多いものです。
たとえば、大箱のキャバクラにおいて、ショーに出ているキャバ嬢がお客さんに頼むときに、普通ならばこんな頼み方をすることでしょう。
来週、うちの店でショーがあるんだ。
私も出るんだけどね。
毎日お店が終わってから練習してるんだけど、よかったら○○さんに見に来てほしいな。
しかし、これではちょっとストレートすぎます。
ショーに興味がないお客さんであれば「なんでショーなんか見に行かなきゃいけないの」と反発心を起こしてしまうかもしれません。
しかし、売れっ子キャバ嬢はこれを熟知していますから、お客さんの心理をくすぐって来店を促します。
いつも指名してくれてありがとう。
私のことを真剣に考えてくれてるの○○さんだけだよ。
最近、あんまり気乗りしなかったんだけど、今度ショーメンバーに選ばれたから大変だよ。
人に見せられるレベルのものじゃないんだけどね(笑)
もし時間があったらでいいんだけど、ちょっとでいいから見に来てほしいな。
下手で恥ずかしいから、こんなことお願いできるの○○さんだけなの。
いろいろアドバイスもらえるとうれしいな。
まず、お客さんにお礼を言っていい気分にさせます。
そこからショーに来てほしいと頼むわけですが、自分を卑下する言葉をはさむことで、「だからこそ見にきてほしいと頼めるのはあなただけ」、と言っているのです。
いわば、褒め言葉で本題をサンドイッチしているわけです。
お気に入りのキャバ嬢にこのように言われて、断れる男はなかなかいないでしょう。
疑似恋愛を使ったテクニック
また、キャバクラに来たお客さんが、次回もまた指名してくれるよう、売れっ子たちは他にもいろいろな努力をしています。
キャバクラは、疑似恋愛を楽しむ場ともいえます。
お客さんは、セット時間という短い時間の中で、お気に入りのキャバ嬢と恋人気分に浸っています。
人は誰でも、自分が持っていないものをほしいと思う心理を持っています。
いわゆる「隣の芝生は青く見える」ということです。
売れっ子キャバ嬢たちは、お客さんとの会話の中でお客さんが置かれている状況を把握すると、お客さんが日常で接する女性とは違うタイプの女性を演じるようにします。
たとえば、奥さんと子供がいるお客さんに対して、結婚したくなるような女性を演じたところで、魅力的とは思えません。
すでに結婚しているのですから、深い付き合いをする意味はないと思われる可能性もあります。
それよも魅力的に感じるのは、不倫相手や愛人にしたいと思えるような女性です。
逆に、独身のお客さんに対しては、結婚したらいい奥さんになりそうな女性を演じるのがよいでしょう。
演じ方はキャバ嬢によって異なりますが、たとえば相手が独身男性ならば、
私、料理が趣味なんだ。
というように、家庭的な奥さんになれる一面を見せていきます。
そうすると、お客さんはいろいろな方向に良い想像をかきたてられていきます。
いつしか、
この子と結婚したら、きっと楽しい毎日を過ごせるんだろうな。
と思うようになります。
そのキャバ嬢が理想の女性像になってしまうことさえあるのです。
お客さんにとって理想の女性を演じる方法は、他にもいろいろなものがあります。
ある売れっ子キャバ嬢の例を紹介しましょう。
そのキャバ嬢は、お客さんが吸っているたばこをあらかじめ覚えておきます。
そして、そのお客さんがお店にくると分かっている時には、常にバッグのなかにたばこを忍ばせておきます。
そして、お客さんがたばこを切らした時に、さりげなくバッグから取り出して渡すのです。
このような気遣いは、お客さんを大いに満足させるものです。
他にも、いろいろなことが挙げられます。
- 風邪気味のお客さんにのど飴をあげる
- 飲みすぎているお客さんに薄い水割りを作ってあげる
などであり、「かゆいところに手が届く」接客をすることが大切なのです。
これを続けていると、お客さんはいつしかキャバ嬢に対して、自分のことをよく知って尽くしてくれる恋人のように錯覚してしまいます。
そうなると、疑似恋愛は真実味を増し、お店に長く通って指名し続けてくれるようになります。