キャバクラにおけるキャバ嬢同士の人間関係

キャバクラというのは女の世界であり、お店側はモチベーションを高めるために、成績ランキングを公開するなどして競争心を煽ります。

指名が取れないキャバ嬢は待機スペースに待機させられますが、待機スペースからは客席が丸見えであり、指名を受けて接客するキャバ嬢の姿を見せつけられることになります。

また、客席からも待機スペースが丸見えであるため、待機するキャバ嬢たちは活躍できない自分の姿をさらすことになります。

このように、キャバ嬢同士は指名をめぐって争うライバル同士でもあります。

キャバクラの人間関係はよくない

特にフリー客への接客などでは、場内指名を獲得するために激しく争われます。

そのため、キャバ嬢同士が親密になることはあまりなく、お互いの性格がマッチするなどしてごく少数のキャバ嬢と仲良くなるくらいが関の山です。

また、他のキャバ嬢と浅い付き合いに終わるならまだしも、キャバクラで女の汚さをまざまざと見せつけられたことによって、軽い人間不信に陥ってしまうキャバ嬢も多いようです。

実際に、あるキャバ嬢へインタビューをしたとき、こんなことを聞いたことがあります。

私、キャバで働いてから人間不信になりました。

へえ、キャバクラだけが原因で?

うーん、元々そういう気持ちがあったのかもしれないですけど、キャバで働いてから強くなったのは間違いないです。

そうなんだ。どうして?

女の子同士の関係が悪いんです。なんか気持ち悪いんですよ。

どんなふうに気持ち悪いの?

なんか、あっちで言ってたこととこっちで言ってることが全然違うみたいな。

なるほど、それは気持ち悪いね。でも、それって人間不信になるほどかな?

だって、私なにも言ってないのに他の女の子の悪口を言ってたことになってたり、全然事実じゃないことを店長が信じ込んでたりするんです。

彼女のように、人間関係で気持ち悪い思いをして人間不信に陥るキャバ嬢は多いようです。

このことは私の知っているケースが特殊というわけではありません。

何故ならば、キャバ嬢のバイブルである『小悪魔Ageha』においても、よく「お店の人間関係を円滑にする方法」という見出しが頻繁に見られたり、キャバ嬢の本音を聞くコーナーでは「他のキャバ嬢と友達になれば」「うわべだけの付き合いばかりでつらい」などの悩みがよく見られます。

しかし、考えても見ればこれは当然のことなのかもしれません。

なにしろ、キャバクラという空間のみでの同僚であり、お互いのことを源氏名で呼び合い、お互いに本名さえも知らないのです。

このほか、専業のキャバ嬢は少数派であり、夜の世界でずっと生きていこうと考えている女性など一握りです。

多くのキャバ嬢は一時的なアルバイトであり、いつかはキャバ嬢を辞めて他の仕事に就いたり、結婚して家庭に入ることを考えています。

学生もしているキャバ嬢は卒業と同時にキャバクラを辞めて普通の仕事に就くでしょうし、昼職と兼業しているキャバ嬢はいずれは昼だけにシフトしたいと思っていることでしょう。

お店としてもキャバ嬢が長く続けることを求めておらず、それよりは適度に入れ替わってお店の新陳代謝を促した方がよいと考えています。

 

 

キャバ嬢たちの身の振り方

キャバクラの人間関係の希薄さは、キャバ嬢同士が競争しているということのほかに、彼女たちにとってキャバ嬢が一生の仕事と考えられていないことにも関係しています。

その点に関して、興味深い話がいくつかあります。

あるお店のキャバ嬢Bのケースですが、Bはキャバ嬢になる前は保育士をしていました。

しかし、最近は保育士の給料が労働内容に見合わないとよく言われる通り、彼女も生活が厳しくなってキャバ嬢になりました。

将来的にはどうするべきか、具体的なプランはないものの、とりあえずキャバクラでお金さえ貯めて置けばいずれ何かしたいと思ったときにすぐ動けるという思いから、お金を貯めることを目標としてキャバ嬢になりました。

夜の仕事は楽しいものの、やはり自分はどちらかというと昼側の人間であるとの自覚があり、夜でずっと生きていくのは難しいと感じました。

結婚は考えておらず、子どもが好きなのでやはり保育士に戻りたいという考えです。

しかし、今の時点では保育士に戻ってもまた困窮する可能性が高いことから中々シフトすることができず、悩んでいました。

ほかにも、キャバ嬢のCの話では、キャバ嬢のキャリアにまた別の考えを持っていました。

結婚することをきっかけにキャバ嬢を辞める人もいますが、大体の人は結婚を機に辞めるのではなく、OLになっているとのことでした。

結婚するにしても、キャバ嬢を辞めてOLなどを経てから結婚するのが望ましく、男性からするとキャバ嬢と結婚というのは避けたいケースが多いようです。

このように、多くのキャバ嬢は昼職をしたり、時には結婚したりしてキャバクラを卒業します。

しかし、昼職にシフトしたものの生活が厳しくキャバクラに戻ってくる女性もいれば、結婚したもののうまくいかずにシングルマザーになり、キャバクラに戻ってくる女性もいます。

このように、ほとんどのキャバ嬢にとってはキャバクラは仮の仕事であり、深い人間関係を築くことが少ないのです。

 

 

キャバ嬢の関係の悪い場合と良い場合

深い人間関係になりにくいうえに競争関係にあるのですから、「チクリ」と呼ばれる行為によって他のキャバ嬢を解雇に追い込むこともあります。

キャバ嬢には守るべきルールが厳しく定めてあり、そのルールを破っているキャバ嬢を見つけたらお店に報告するように言われています。

つまりチクリを推奨しているのであり、チクられる可能性があると知っていることから、キャバ嬢たちはルールを守ろうと思うようになるというわけです。

チクられたキャバ嬢は精神的にもダメージを受けることでしょうから、これは紛れもなくキャバ嬢の人間関係における悪い部分であると言えます。

もっとも、キャバ嬢同士の関係は全て悪いものであり、誰もかれもが常にいがみ合っているとも言えません。

少数のキャバ嬢と仲良くなって、出勤前に待ち合わせて食事に行くこともあれば、一緒に買い物に行くこともあります。

新人キャバ嬢がキャバ嬢風メイクを他のキャバ嬢から習うこともありますし、更衣室や待機スペースではキャバ嬢同士が仲良く話をする光景も見られます。

といっても、これはそれぞれのキャバクラ店の風土が大きく影響しており、非常に殺伐としているキャバクラもあれば、比較的仲良くなっているキャバクラもあります。

キャバ嬢同士がいがみ合わずにある程度の仲を保っておくということは、仕事に大きく影響してきます。

例えば、団体客への接客などで複数のキャバ嬢が席に着いた時、仲良くなければ一緒になって盛り上げることはできません。

一緒に盛り上がることができれば、接客するキャバ嬢全員がドリンクを振る舞って貰えることもあります。

このほか、仲の良いキャバ嬢同士が仲のいい男性客のコンビとダブル同伴をすればお店にとってもプラスになります。

このように、キャバ嬢同士がある程度仲良くしておくことは、キャバ嬢にとってもお店にとってもプラスなのです。

他のキャバ嬢の悪口を言うことに対して罰金を科しているお店もあるほどです。

また、殺伐としたキャバクラではイジメなどがおきてすぐにやめてしまうキャバ嬢が出てきますが、ある程度仲の良い雰囲気があればイジメは起こらず、悩みがあれば先輩キャバ嬢に相談するなどできるため、キャバ嬢がお店をすぐにやめてしまうことを防ぐこともできます。

実際、新人キャバ嬢が「先輩たちが色々教えてくれたからすぐなじめました」と言っていたり、長く続くキャバ嬢が「皆とかんばると楽しいから続けられる。ライバルだけど敵じゃないですから」と言っているのは、しばしば耳にすることです。

 

 

お店の考え

以上のように、キャバ嬢同士は競争関係にあることと長く務める仕事ではないと考えられていることから、キャバ嬢同士が親密になることはあまりありません。

しかし、ある程度仲良くしておき、少なくとも足を引っ張り合う事がなければ、連携プレーによって売上を伸ばすこともできるため、お店にとっても良い効果をもたらします。

そのため、お店によっては親睦会を開いて人間関係をよくするように努めていることもあります。

しかしながら、お店は本来キャバ嬢同士が必要以上に仲良くすることを嫌うものです。

連携プレーができ、空気が悪くならない程度に仲良くすることは良いことなのですが、仲良くなりすぎるとお互いを助長し合って悪い方向に行く(一緒にホストクラブにハマる、一緒に無断欠勤をするようになる、一緒にやめてしまうなど)こともあるからです。

あるお店ではマニュアルの中に「キャスト同士で仕事に支障が出る付き合いをしないこと。仲良くするのはいいことですが、度が過ぎるとお互いの足を引っ張り合うことになります」という一文が設けられていました。

これからキャバ嬢になりたいと考えている皆さんは、いじめなどがなく、人間関係が悪くないキャバクラに勤めたいと思っていることでしょう。

キャバクラは総体的にみて、人間関係が悪いことの方が多いものです。

しかし、お店をキチンと選べば人間関係が良いキャバクラを見つけることもできるでしょう。

 

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