水商売の世界に生きる女性は、一般社会に生きる女性と違いがあります。
色々な違いがありますが、最たるものは価値基準、言い換えれば常識の違いでしょう。
ここでは、水商売の常識を勉強しましょう。
昼の世界と夜の世界の違い
例えば、会社でたまに行われる飲み会でその違いが分かります。
男性が10人で居酒屋の座敷を貸し切り、コンパニオン替わりにキャバ嬢を呼んだとしましょう。
キャバ嬢たちは立場が様々な社員たちの間を忙しく動き回ってお酌をしながら、時には部長と思われる人の話に笑い声をあげたり、真剣に聞き入ったりしました。
そのキャバ嬢のおかげで飲み会は盛り上がりました。
では、このキャバ嬢がその会社に所属するOLだったとしたら、どうなるでしょうか。
男性社員の間を歩き回ってお酌をしたり、大して面白くもない話に笑い声をあげたり大げさな反応をしたりすれば、同僚のOLから「八方美人」「ごますり」「恥知らず」などと散々な評価をされることでしょう。
これが水商売と一般の商売の価値基準の違いです。
さんざんな評価を受けたOLは、キャバ嬢に当てはめるならばなんらおかしな存在ではないのです。
むしろ、今後のOL生活を有利に進めるために、現在すでに地位を確立している部長や、今後昇進する可能性がある有望な若手の間を動き回って、愛想を振りまいたわけです。
特に部長に比重を置きましたが、こうすることで部長が気持ちよく飲んでくれれば、他の社員も楽しく飲むことができます。
女性たちはこれを分かっていたのだ、大したものだと高評価を受けることになります。
一般の女性ならこの2人にひどい評価をするのが普通ですが、水商売の視点での評価を見てみると「なるほど」と思った人も多いのではないでしょうか。
しかしながら、このように動ける女性は大したものだと思ったとしても、一般のOLがその後この2人の様に動くかというとそういうわけにもいきません。
おそらく自分たちもひどい評価を受けるということを知っているからです。
このように、お酒の場での評価を見てみると、OLは女性としての自分からの視点で物事を評価し、同僚の女性からの評価を考えています。
しかし、キャバ嬢は男性客の視点から見て、男性客からの評価を考えて行動します。
なぜなら、キャバ嬢の最大の仕事は男性客を楽しませることであり、男性客から高く評価されてナンボだからです。
もしあなたのお店に新人キャバ嬢が入店し、その子にいまだ水商売の経験がないならば、おそらく女性目線で物事を考えてしまうことでしょうから、一般社会と水商売の考え方の違いを教えてあげると良いでしょう。
キャバクラのルール
キャバクラ店をはじめとした水商売では、縁起をとても大切にします。
例えば「お店で爪を切ると暇になる」などといいますが、これを固く信奉してキャバ嬢に徹底しているお店は確かにあります。
爪を切ると客がさーっといなくなるからお店で爪を切ってはいけないというのではなく、おそらく爪くらい自宅で切って、身だしなみを整えてから出勤しなさいという意味でしょう。
このように、水商売には長い間受け継がれてきたルールがあります。
ルールには色々なものがあります。
例えば、彼氏はいないことするなどはその最たるものです。
客によっては、キャバ嬢をアイドル視したり、疑似恋愛の対象としてお店に通う人もたくさんいます。
アイドルのほとんどは恋愛禁止が暗黙の了解となっています。
それと同じで、いくら彼氏との間に面白い話題があったところで、それを客に話すのはNGです。
もしそのような話をしたいならば、何年も前の話として話します。
ほかにも、好ましくない話題があります。
野球の話、政治・経済の話、宗教の話です。
野球や政治・経済の話は、時事ネタとして軽く触れるならば問題ないため、仕事前にそれらの情報をワイドショーなどで仕入れてネタにするキャバ嬢はいます。
しかし、ネタの範疇を超えて、自分はどこの球団が好きだと力説したり、増税問題を熱く語ったりしてはいけません。
例えば、絶烈なタイガースファンに「私はジャイアンツが好きです」と力説したら嫌悪感を抱かれるのは当然のことですし、税金に関しても人それぞれで主義が違いますから、トラブルになることがあるからです。
これと同じように、簡単に変えられない主義が絡む話題は避けるべきです。
お酒が入っていることもありますから、衝突を生む可能性があります。
宗教の話は特に避けるべきです。
宗教はその人にとって生き方の根幹をなしている場合があるものなので、信仰を抱いている人は、その宗教にかなりの思い入れがあるものです。
これらの話題を客が一方的に話すならば問題がないと思うかもしれませんが、そうでもありません。
なぜならば、その客が大きな声で自分の主義主張を話し、それが他の席の客に聞こえたならば、他の客が腹を立ててしまうからです。
そのため、客がこれらの話題を持ち出したときには、できるだけ自然な流れで話を変える必要があります。
このほか、「してはいけない話題」というわけではありませんが、客が好きと言ったものは基本的に否定しないというのが基本です。
例えば、客が感動した映画の話をしたとします。
もし、あなたはその映画をつまらない、感動できないと思っていたとしても、そう言ってはおしまいです。
無理に話題を合わせてもボロが出る可能性があるので、「私も見たよ!どこに感動した?」と興味津々に聞いてみましょう。
客は感動した部分について喜んで話してくれるでしょうから、あなたも「ああ、あそこが感動するポイントだったのね」と分かります。
そこで、「なんだかもう一回みたくなってきた!」などと言っておけばスムーズです。
キャバ嬢の仕事は、あくまでも客を楽しませることです。
決して客と議論することではありません。
だからこそ、この様なルールを守る必要があるのです。