会社という組織に一生涯身を捧げるという価値観はすでに崩壊した昨今、独立を考えている人も多いと思います。
そして、本稿を読んでいる人は、独立の手段としてキャバクラ経営を検討していることでしょう。
しかし、キャバクラ経営をしたいと考えたところで、開店のための手続きはどのようにすればいいのか?人材確保はどうすればいいのか?価格設定は?集客方法は?などといった情報があまりにも少ないのが現状です。
キャバクラ関連書籍を見てみても、多くはキャバ嬢あるいは消費者向けに書かれたものばかりなのです。
そのような状況でキャバクラ経営を始めてしまうと、必要な手続きが不十分な状態で初めて無許可営業店として摘発され、営業停止に陥ってしまったり、キャストの管理や価格設定や集客など、経営のために必要となる要素が分からずに、利益を出せずに閉店に追い込まれる可能性が高いです。
そこで本稿では、キャバクラ経営に必要となる要素を網羅することを目指しました。
本稿を読んで実践すれば、あなたもキャバクラ経営で利益を挙げ、真の独立を達成することができるでしょう。
キャバクラの経営環境を知る
キャバクラ経営を始めたい人に限らず、どのような業種で経営を始める場合にも共通していることとして、「その経営環境を知る」ということが非常に重要です。
つまり、キャバクラ業界を取り巻く環境、それによって生じるリスク、ニーズの変化などを把握することによって、その業界への進出は果たして適当であるか、リスクは許容できるか、利益を出すための具体的な対策が見出せるかなどを確認しておくのです。
「案ずるより産むがやすし」と言いますが、これは経営には当てはまらないでしょう。
このような検討をせずに下手に経営を始めてしまうと、大きなリスクを抱えることにもなりかねないからです。
したがって、先ずはキャバクラ経営の前提として、キャバクラを取り巻く環境を学ぶことにしましょう。
それによって、キャバクラ経営の方向性が見えてきます。
キャバクラを含む風俗業界の状況
そもそも、キャバクラとはキャバレーから派生した業種です。
昔は、女性の接客を受けながらお酒を飲む場所として、価格が安いキャバレーと、価格が高いクラブの2種類がありました。
そこで、安くてクオリティの高い接客を受けたいというニーズに応えるために、キャバレー並の料金でクラブ並の接客を受けられる業種として、キャバクラ(キャバレークラブ)が誕生したのです。
キャバクラが誕生したのは1980年代のことです。
その後、女の子が上半身裸で接客するセクキャバ(セクシーキャバクラ)というものも登場しました。
これは、風営法から見てかなりグレーゾーンの業態であり、実際に無許可営業のお店が多数を占めています。
キャバクラ店の営業所数の推移を見てみると、近年は減少傾向にあります。
無許可営業のお店を含めた実体は把握することができませんが、少なくとも許可を得て営業している店舗数は減少しています。
この一方で増加傾向にあるのが、性風俗店です。
特にデリヘル(デリバリーヘルス)という派遣型の性風俗店が、近年爆発的に増加しています。
風営法の改正に伴って、デリヘルが認められたことで、デリヘルの店舗数が増えているのです。
このことは、キャバクラなどに通ってお金を使うよりも、デリヘルをはじめとした性風俗店で手っ取り早く性欲を満たした方がコストパフォーマンスが良いと考える人が多くなっているとも考えることができます。
しかしながら、手っ取り早く性欲を満たせる性風俗店が増えている一方で、キャバクラで疑似恋愛を楽しむ人がいることも確かです。
つまり、キャバクラ店で働くキャストと疑似恋愛を楽しみ、あわよくば口説き落とし、その暁に性欲を満たそうという人です。
手っ取り早く性欲を満たせる性風俗は、女性を落としてセックスに至るわけではないため、疑似恋愛の範疇を出ることがありません。
しかし、キャバクラでは、キャストを落としてセックスに至るため、ある意味で究極の風俗であると考えることができます。
そのような望みを持つ人がいる以上、キャバクラという業態が無くなる可能性は極めて低く、またきちんとした経営を行なうことができれば、確実にもうかる業種であるとも言えます。
キャバクラの経営リスク
しかしながら、キャバクラ経営にもリスクがあります。
それを少し詳しくお話ししておきましょう。
2005年4月、当時の東京都知事である石原慎太郎によって、「東京都迷惑防止条例改正条項」が施行されました。
これによって、キャバクラを含む繁華街の風俗店は客引きをすれば取り締まり対象となるため、大打撃を受けることになりました。
都内のキャバクラ店は、繁華街に密集しているものです。
それだけに、そもそも過当競争に陥りやすく、さらに行政がその気になれば取り締まりやすいという状況です。
これからキャバクラ経営を始めたい人が、このような過当競争かつ取り締まりの厳しいエリアに出店するのは、あまりにもリスクが高すぎると言えるでしょう。
また、歌舞伎町や六本木と言った繁華街を避けたとして、中野や立川に出店したならばどうかと言えば、これはこれでまた問題です。
なぜならば、競争の質が悪いからです。
歌舞伎町や六本木では稼げないキャストが流入していますし、価格競争が激しいのです。
これはもちろん、市場規模よりも店舗数が多く、店舗の差別化が難しいことが原因です。
原因を知って経営戦略を立てれば、リスクは下がります。
しかし、何の経営戦略もなしに競争を続けていけば、経営が上手くいくはずはありません。
なんにせよ、過当競争と取り締まりの強化によって、最近では閉店に追い込まれるキャバクラが増えています。
資本力のあるチェーン店が生き残っていく状況が出来上がっており、キャバクラ経営にはこのようなリスクがあることをきちんと知っておかなければなりません。
スカウトも難しく
取り締まり強化となってから、禁止されたのは客引きだけではありません。
スカウト行為も禁止されるようになりました。
スカウト行為が難しくなれば、スカウトによって質の良いキャストを集めにくくなったということです。
キャバクラにとって女の子は商品なのですから、スカウト禁止というのは、一般企業でいえば「仕入れ禁止」のようなもので、大変なことなのです。
そこでスカウトマンたちは、東京都内でスカウトすることなく、東京近郊の街でスカウトするようになりました。
埼玉県や神奈川県では、キャバクラ店が特定のエリアに密集していません。
したがって、一斉に取り締まることが難しく、スカウトもしやすいのです。
キャバクラの商品であるキャストは、ルックスを売り物にしています。
そして、入れ替わりが激しいという特徴があります。
そのため、東京都内でスカウトマンが声をかけると、すでにどこかのお店で働いているというケースがほとんどとなります。
つまり、都内のキャストたちは、その多くがプロのキャストなのです。
プロのキャストたちは、自分の固定客を持っており、営業の方法も知っているため、お店に在籍すればコンスタントにお客さんを呼んでくれるため、ありがたい存在です。
しかし、そのためにどこか擦れたところがあり、華やかさが薄れてくるのも事実です。
また、自分の価値や給料の相場を知っているため、高い給料を要求してきます。
経営戦略から見れば、このようなプロのキャストを在籍させるのではなく、キャバクラとは縁がなかった可愛い素人の女の子をスカウトし、売り出す方がはるかに魅力的です。
その意味でも、郊外でスカウトするメリットがあると言えます。
良い商品を揃えて売り上げを伸ばしていくためには、郊外の女の子たちをスカウトする流れができていることを知っておくべきでしょう。
初めてキャバクラで働く女の子は、時給が安いため、人件費を低く抑えることができ、お店の儲けが大きくなります。
また、素人っぽい初々しさがウケやすく、お店のプロモーション次第で収益性に大きく貢献してくれるものです。
もっとも、郊外在住の女の子が都内で働くとなると、交通費がかかること、勤務時間に制限が出てしまうことなどのデメリットが生じてきます。
そこでポイントとなるのが、都内に固執せずに、郊外に出店することです。
郊外に出店すれば過当競争に巻き込まれることなく、取り締まりも受けにくく、郊外で質の良い女の子を獲得していくこともできます。
また、都内の客層は、目が肥えているものです。
それに比べて、郊外のお店ではそのような傾向が薄く、地元で楽しく飲むくらいであれば、それほど高いレベルを求められません。
だからこそ、素人の女の子を雇うことによって接客レベルが下がったとしても、大きな問題にならないことが多いのです。
夜の業界の動向、取り締まりのリスク、スカウトの難しさなどを踏まえて経営戦略を考えていけば、「郊外に出店する」という方向性を見出すことができました。
このことからも、前提となる情報を積極的に集めていくことの重要性が分かると思います。
女性の就労を考えてみる
しかし、それまでキャバクラ業界とは無縁であった素人の女の子が、果たしてキャバ嬢になるのでしょうか。
結論から言うと、今やどのような女性でもキャバ嬢になる時代です。
その理由の一つが、雇用状況の悪さです。
現在、高校や短大を卒業してから就職する女性の就職率は低迷しています。
そして、都心部を避けて郊外に出店することを考えた場合、そのような地域には短大が多いというケースもしばしばですから、好都合となることもあります。
キャバクラ業界が就職率の低迷の受け皿になっていることは、経営側から見てみれば、お店の商品を安く仕入れられる状況が出来上がっているとも言えます。
実際、郊外で繁盛しているキャバクラ店のキャストの内訳を見てみると、高卒あるいは短大卒でキャバ嬢になった女性が8割以上を占めているケースもあります。
一般企業に就職できずにキャバ嬢になった女性もいますが、一般企業に就職することを馬鹿らしいと考えて、キャバ嬢になる女性もたくさんいます。
というのも、女性が一般企業に就職した場合、その初任給があまりにも安いからです。
男女平等が叫ばれて久しいとはいえ、まだまだ女性の稼ぎにくさは変わっていません。
高卒や短大卒の女性の初任給は15万円くらいのものです。
キャバクラであれば、1日で1万円や2万円は稼げますから、その倍以上を稼げる見込みが十分すぎるくらいにあるのです。
また、キャバクラ店とキャストは日雇いのアルバイトとして契約を結ぶため、源泉徴収が難しく、キャストたちは額面通りの金額を受け取ることができます。
月に10日も働けば、普通に就職してもらう給料よりも稼げるのです。
となると、彼女たちが一般企業に就職することを馬鹿らしいと考えるもの無理はありません。
もちろん、昼間は一般企業でOLとして働き、週末の夜だけキャバクラで働くという女性もいます。
OLだけではなく、普段は大学生として勉強している女性もいます。
このような女性たちも、キャバクラが忙しくなる週末に働き手になってくれるため、お店にとっては貴重な存在です。
このように、現在の就職難は、キャバクラの商品であるキャストを採用しやすい土壌を作り上げています。
それによって、経営側は人件費を抑えながら、比較的容易に人材を揃えることができます。
つまり、キャバクラを取り巻く環境として、リスクが高まった部分もあるのですが、そのリスクを避けて郊外などに出店することによって、リスクを避けながらメリットを享受できる可能性もあるのです。
客層の変化
次に、客層の変化も知っておきましょう。
都内のキャバクラに来るお客さんは、そのほとんどがサラリーマンです。
しかし、近年では昔ほど接待費として領収書を切ることが難しくなっており、お小遣いも減っています。
特に、会社の接待交際費は年々減っており、企業が使う接待交際費は、バブルの頃と比較して半分以下にまで落ち込んでいます。
また、サラリーマンのお小遣いが減り、領収書を切れなくなれば、部下にキャバクラを奢るということも難しくなります。
したがって、以前は同僚や部下を連れ立ってキャバクラに来るお客さんが多かったのですが、最近では一人で来るお客さんが圧倒的に多くなっています。
これはつまり、主要な客層であるサラリーマンが、昔ほどお金を使ってくれない状況となっているということです。
実際、歌舞伎町や六本木、銀座と言った繁華街のお店の売り上げは確実に減少傾向にあります。
では、郊外はどうでしょうか。
郊外のキャバクラにおける主要な客層はサラリーマンだけではありません。
もちろんサラリーマンも多いのですが、それ以外にも中小企業の経営者、日雇い労働者、フリーターなどが主要な客層となっています。
また、地元の仲間たちと連れ立って団体客が来ることも多いものです。
このことからも、郊外は都心部に比べて、キャバクラ経営が成功する可能性が高いと考えられます。
そして、このような客層の変化に合わせて、お店も変化する必要があります。
つまり、会社のお金ではなく、自分のお金で遊びに来る人が顧客層になっているのですから、その顧客層に合わせた価格設定が求められるのです。
そして、その価格設定で運営を維持できるのが、すなわち郊外なのです。
都内は土地が高いものです。
そして、プロ意識の高いキャストが多数を占めます。
そして、顧客が使うお金は減ってきています。
こう考えると、どうしても都内での経営は難しいと言わざるを得ません。
トレンドを踏まえれば、出店すべきではないエリアは明白なのです。
埼玉県、神奈川県、千葉県などの郊外では、年々人口が増加しています。
これは、市場規模の拡大が見込まれるということでもあります。
郊外のキャバクラは、客層が多彩であり、土地や人件費が安く、市場規模にも期待が持てるため、非常によい環境なのです。
お客さんのニーズを知る
最後に、お客さんのニーズを把握しておきましょう。
キャバクラに縁がない人から見てみれば、キャバクラという空間は、複数で遊びに行ってお酒を飲み、楽しもうとする人が多いように見えるものです。
しかし実際には、一人で来てキャストとの会話で癒されたいと考える人の方が圧倒的に多いのです。
ただワイワイ楽しみたいというお客さんは、世間が思っているほど多くはありません。
例えば、会社では女性社員から邪険に扱われ、寂しい思いをしているサラリーマンのおじさんなどはその典型です。
自分の娘と同じくらいの年齢のキャストに説教臭いことを話したりするわけですが、ただ会話をするだけで癒され、それ以上の願望はないというケースも多々あります。
もちろん、そのような人も男ある以上、「あわよくば・・・」という感情が無いわけではないのですが、ただ会話をしたいという願望の方が圧倒的に強いのです。
その会話をすることにお金を支払っています。
つまり、キャバクラに行けば、どのような男性でも会話を楽しむことができるため、自分の存在を認めてもらうことができるわけです。
その期待があるからこそ、キャバクラが成り立っています。
キャバクラに来る自営業者は、従業員を引き連れて来店し、店長を呼んでテーブルに就かせることがあります。
これは、お金を使うことによって従業員に権威を見せつけとしているのです。
都内ならば、その目的を果たすためには高級店に行くことになるのでしょうが、郊外ならばそのような高級店がないため、一般的なキャバクラでその目的を遂げることになります。
フリーターの若者は、同世代の女の子との会話の機会を求めて来店することが多くなります。
フリーターという属性では、同世代の女の子からモテないことが多いわけですが、キャバクラには話し相手がおり、自分の存在意義を確認することができます。
アフターに誘う率も高くなります。
年配のサラリーマンは、話を聞いてもらいたいというニーズです。
郊外のスナックで一人で飲むような客層なのですが、近年、そのようなスナックはどんどんと潰れており、結果的にキャバクラに流れてくるようになっています。
若いサラリーマンも一人で来るケースがほとんどですが、彼らはいつも同じキャストを指名することによって、会話を楽しみます。
この場合、若いフリーターとは少々異なり、煩わしい人間関係を忘れるために一人で飲みに来ているケースが多いようです。
このことを見ても、郊外のキャバクラは、変化しつつある客層とニーズに応えられる条件がそろっていると考えることができるでしょう。
土地と人件費の安さ、顧客の多彩さとニーズとのマッチがあるため、集客とキャストを揃える努力を的確に行えば、確実に儲けられるビジネスであると言えます。
キャバクラ経営の本質
次に押さえておきたいのが、キャバクラ経営の本質的な部分です。
「キャバクラ経営で最もお金をかけるべき部分はどこなのか?」、「キャバクラで売るべき商品は何なのか?」などといった本質を的確に押さえることは、キャバクラ経営の前提知識として必ず必要になるものです。
キャバクラ経営の要とは?
キャバクラ経営でも、企業経営でも、その経営がうまくいくためには、その企業が持つそれぞれの部門に対して、どれだけの資金を投入するかを的確に判断することが非常に重要です。
そして、その判断は経営戦略によって変わります。
つまり、経営戦略において重点を置くと決めた部門にこそ、多くの資金を投じることになるのです。
ならば、キャバクラで最も投資すべきは何なのでしょうか。
それはキャストです。
投資対象は色々あるでしょうが、最も重要なのはキャストをおいて他にはありません。
なぜならば、キャバクラの運営は他の企業とは異なり、工場などの生産設備、あるいは開発のための研究施設などが必要なく、サービスを提供する空間と優秀なキャストがいれば、確実に売り上げを出すことができるからです。
したがって、キャバクラではキャストを集める努力さえできれば、利益も大きくなっていきます。
その上で、需要を正しく把握し、お客さんの来る時期や時間帯に合わせてきちんとキャストを提供すれば、経営が破たんするということはまずないと言ってよいでしょう。
キャバクラの唯一の商品はキャストです。
良い商品を売れば顧客満足度は上がり、業績は伸びていきます。
だからこそ、そこへの投資は惜しむべきではないのです。
もちろん、お客さんのニーズに合う女の子をスカウトすることは求められますが、それがキャバクラに求められる最大の企業努力と言ってよいでしょう。
キャストを仕入れる
では、キャストを仕入れる、つまり募集するためには、どのようなルートがあるのでしょうか。
最も手っ取り早い方法は、求人広告誌で募集をかけることです。
募集のためには、知名度の高いフロムAやanといった雑誌に掲載するという方法がありますし、風俗専門の求人雑誌に掲載することもできます。
しかし、実際にこのような求人雑誌に掲載すると、かなりの費用がかかってしまうという問題があります。
もちろん、資金力のあるキャバクラグループなどでは、お金をかけて有名な求人雑誌に広告を掲載し、キャストを集め、それでも十分に採算が取れる体制を築いています。
求人雑誌に募集を任せることによって人的資源を浮かせ、それによって集客などに力を注いでいるのです。
このほかにも、ホームページを開設して顔写真などを掲載し、出勤状況、指名や同伴に関する情報なども掲載し、時にはキャストのブログもリンクしていることがあります。
このようなホームページがあれば、お客さんはホームページを閲覧することによって、自分の好みのキャストがいるか、自分が指名しているキャストはいつ出勤しており、どの時間帯ならば指名しやすいかなどの情報を確認することができます。
したがって、このような企業では、求人雑誌を利用して人材確保にお金をかけると同時に、集客にもかなり力を入れ、たくさんのお金を投じていると考えることができるでしょう。
しかしながら、キャストの募集を求人雑誌だけに任せてしまうと、お金以外の面でもデメリットが生じることがあります。
というのも、求人雑誌を見て応募してくる女の子は、レベルが低いということです。
そもそも、求人雑誌を見て応募してくる女の子の多くは、経験者であったり、予備知識を持っている人であって、素人っぽさがあまりないものです。
希望する給料も高くなる傾向があります。
また、ルックスやスタイル、華やかさと言った点でも、望むクオリティが得られないことが多々あります。
一方、求人雑誌に頼らずにスカウトしたらどうでしょうか。
スカウトでは、スカウトを職業としているプロが、質の高い女の子に声をかけていくものです。
したがって、求人雑誌ではなくスカウトに任せることによって、必然的にレベルの高い女の子が多くなるのです。
また、ここでいうレベルの高さというのは、ルックス・スタイル・華やかさといった要素はもちろんのことですが、スカウトマンの長年の経験から、「この子は売れる!」と感じた女の子をスカウトするため、そのような直感レベルでの高さも含みます。
だからこそ、求人雑誌に頼るよりも、スカウトを経由したほうがいいキャストを集めやすいのです。
募集にかかる費用をどうするか
しかし、スカウトを経由してのキャスト募集にも、それなりにお金がかかります。
というのも、スカウト経由で入ったキャストの売り上げの中、一定額がスカウトマンの報酬になると決められているからです。
入店した女の子が在籍している間は、いつまでもスカウトマンにマージンが入る仕組みになっています。
したがって、その女の子が売れっ子になり、しかも長期間在籍したならば、非常にコストがかさむことにもなりかねないのです。
そこで、コスト削減の一つの手段として、フリーのスカウトマンを利用するのではなく、キャバクラ店の男性社員のうち、有能な人材にスカウトに当らせるという方法が考えられます。
そもそも、キャバクラ店の男性社員の給料というものは、一般的なサラリーマンの水準よりも高くなっているため、社員にスカウトをしてもらうことによって、大幅に費用の削減になります。
もちろん、フリーのスカウトマンと比較すれば、スカウトの能力は落ちるかもしれませんが、それでも連れてくる女の子の質は安定しますし、採算が取れやすくなるのです。
さらに、社員としての責任感から、自分が連れて来た女の子の面倒はできるだけ見ようとするものです。
それでいて、フリーのスカウトマンのように長期間にわたってマージンが発生するわけでもありません。
社員がスカウトするという方法は、あたかも小売店において、社員自身が仕入れる商品を選び、責任をもって仕入れ・管理・販売を行なうようなものです。
様々な点でメリットがあるやり方だと言ってよいでしょう。
キャバクラでは何を売るか
キャバクラで何を売るか、ということを深く考えてみると、キャバクラ経営の本質が見えてきます。
キャバクラでは、スーパーやデパートのように物を売るわけではありません。
本や新聞のように、知識や情報を売るわけでもありません。
ならば飲食物なのかといえば、たしかにそういう要素も無いわけではありませんが、単に料理とお酒を楽しみたいだけならば、居酒屋にでも行った方がずっと安く済ませることができます。
性的な要素もゼロではありませんが、それは女の子と話して多少興奮するとか、あわよくばエッチがしたいというくらいのもので、性的な要素だけを求めるならば性風俗店に行った方が手っ取り早く、安く目的を達成できます。
ならば、キャバクラでは何を売るのでしょうか。
それはズバリ、心の満足です。
癒しなどと言い換えることもできるでしょう。
心の満足というのは、目に見えないものです。
接客の中から生み出されるもので、いわば原価はゼロです。
だからこそ、キャバクラ経営は、当たれば非常に高い利益率で稼働することができるのです。
また、どうすれば心の満足を提供できるのかということを考えていけば、お店の利益はぐんぐんと伸びていくのですから、これもキャバクラ経営の基礎知識に含まれる要素です。
アンケートを活用しよう
では、どのようにすれば心の満足を提供できるのでしょうか。
一人一人のキャストに、お客さんの心を満足させるための接客を教え込むというのも一つの方法ですが、一口に「心の満足」と言っても、何を以て満足するかはお客さんによって異なります。
どれだけ考えたとしても、それがお客さんの満足にマッチしないならば、経営サイドやキャストの自己満足に過ぎません。
したがって、心の満足を提供し、儲けを伸ばしていくためには、お客さんの心を知ることが第一歩となります。
そのための最も手っ取り早い方法は、お客さんに聞くことです。
つまり、アンケート調査をすればいいのです。
このような取り組みは、多くの企業がやっているものであり、キャバクラ店でも当然取り入れてよい方法なのです。
アンケート調査の方法は、お店で遊び、会計をし、帰る際にアンケート用紙に記入してもらうのが良いでしょう。
とはいえ、気持ちよく帰ってもらうことが大前提ですから、お客さんが書きたくないと言えば無理強いはしないことです。
お酒を飲んだ後ですから、あまり面倒なことはしたくないというお客さんも多いものですが、10人の中2人でも3人でも書いてくれれば、それは着実にデータとして蓄積されます。
お客さんの満足度や求められているサービス、不満などを知ることができるでしょう。
その中から、お客さんにもっと楽しんでもらうためのサービスを考えていけば、経営側の自己満足で終わる確率は低くなります。
アンケートの内容は、以下のようなものが良いでしょう。
- 今回の利用は何回目か(初めて、2回目、3回以上)
- お客さんの年齢
- キャストの笑顔(よい、普通、悪いの三択)
- キャストとの会話は楽しめたか(楽しめた、普通、楽しめなかったの三択)
- キャストの接客態度はどうであったか(よい、普通、悪いの三択)
- 従業員のサービスはどうであったか(よい、普通、悪いの三択)
- お客さんの好みの芸能人は誰か(これによって、そのお店の客層が好む女性の傾向を知る)
- 不満などはないか
- メールアドレス(お店からクーポン券やイベント情報を送るためのもの。流れで記入してもらうことができれば、お店からも営業をかける機会を作ることができる)
このアンケートからデータを収集し、読み取り、問題点を抽出して対応していけば、お客さんの望む店に変えていくことができ、売り上げアップに役立てることができます。
書いてくれないお客さんもたくさんいるかもしれませんが、やればやるだけ必ずプラスになるのがアンケート調査です。
つけ回しの技術
とはいえ、アンケート調査を行なって店づくりをし、お客さんの心の満足を高め、売り上げを伸ばしていくのには時間がかかるものです。
そこで、キャバクラ経営を始めた人がすぐに活用できる方法としては、「つけ回し」を的確に行う必要があります。
つけ回しとは、ホールの切り盛りをする男性社員が、指名をしないフリー客にどのキャストを振り分けていく作業のことです。
お客さんにも色々で、自分の権力や財力を見せつけたい人、楽しく飲みたい人、キャストと疑似恋愛を楽しみたい人、キャストを口説きたい人など様々です。
そこで、「あのお客さんにはあの子をつけたらうまくいきそうだ」という判断をしてつけるのが「つけ回し」です。
つけ回しが上手くできるか、できないかによって、お客さんの心の満足と店の売り上げは大きく変化します。
一つ具体例を挙げてみましょう。
キャストの中には、押しが強い女の子がいると思います。
お客さんへのおねだりがうまい女の子です。
そのような女の子は、成績の締め日が近づいた時、来期の時給を少しでもアップさせるために、お客さんにうまくおねだりをします。
セクシーな勝負ドレスを着て、権力や財力を見せつけたい見栄っ張りなお客さんにドンペリニヨンなどをおねだりするのです。
このようなキャストを、つけ回しの采配によって、うまく見栄っ張りなお客さんに付けたとします。
そうすれば、ドンペリの注文を取ってお店の売り上げが伸びる可能性は高まります。
また、セクシーなキャストに高いお酒をおねだりされ、それに応えることによって自分の財力を証明することができれば、お客さんの満足度も高まります。
このように、つけ回しの担当社員がうまくつけ回しをすることによって、お客さんの満足度やお店の印象は変わります。
しかし、実際のところ、お客さんが満足できるかどうかということは、キャストが席についてみて、初めて分かることでもあります。
お客さんの中には、キャストが少々気に入らなくても、それを露骨に出す人は少ないものです。
そこで大切なのは、つけ回しの社員が、客のちょっとしたサインを見逃さないことです。
キャストが気に入っていないサインが見られたならば、なるべく早い段階でキャストをチェンジさせ、別のキャストを試みることにします。
その中からお気に入りのキャストが見つかり、固定客になってくれれば、お店の売り上げは伸びていきます。
「キャストとお客さんのつながり」よりも「お店とお客さんのつながり」を
さて、キャバクラ関連の書籍などを読んでいると、キャストとお客さんのつながりを重視する本がほとんどです。
これは、お客さん側の視点に立って、キャストを落とすテクニックを紹介する本、あるいはキャスト側の視点に立って、お客さんを捕まえてたくさん稼ぐテクニックを紹介する本なのですから、キャストとお客さんのつながりが重視されるのも当然のことです。
しかし、これらのテクニックがそっくりそのまま、キャバクラ経営に活用できると考えてはいけません。
キャストとお客さんのつながりを重視することは、必ずしもキャバクラ経営にはプラスにならないのです。
確かに、キャストとお客さんのつながりがあれば、在籍するキャストがお客さんとたくさん呼んでくれますし、お店の売り上げも伸びていくことでしょう。
しかしそれだけでは、そのキャストがお店を辞めて他店に移ってしまったとき、お客さんたちは皆そのキャストについていき、お店の売り上げが大きく落ちてしまうことになります。
ですから、キャバクラ経営者の視点に立つならば、「キャストとお客さんのつながり」ではなく、「キャストとお店のつながり」を重視することが重要です。
そうすれば、キャストが辞めた時に売り上げへの影響が小さくなりますし、特定のキャストの出勤状況に左右されず、コンスタントな来店が期待できるようになります。
すなわち、お店とお客さんとのつながりを重視した経営によって、経営体質が強化されるということです。
お店をブランド化する
では、どのようにすればお店とお客さんとのつながりを作ることができるのでしょうか。
そもそも、人間は本質的に集団で生活する生き物であり、集団への帰属意識を持っているものです。
生まれ育った国、住んでいる都道府県、働いている会社、卒業した学校など、自分が所属している組織・集団を強く意識するものなのです。
最近では、そのような組織への帰属意識が弱まりつつあります。
しかし、組織への帰属意識が弱まっても、やはり本質的な帰属意識が失われたわけではありません。
例えば、ブランドへの帰属意識です。
あなた自身にもあると思います。
家具はイタリア製がいい、車はベンツが好き、バッグはダンヒル一択というようなものです。
人は、そのようなブランドを所有することによって、ブランド価値に大きなお金を使い、帰属し、満足を得ているのです。
だからこそ、ブランド品は高い価格で売買されているのです。
キャバクラもこれと同じです。
あなたが経営するキャバクラ店をブランド化すればよいのです。
ブランドを構築し、ブランド価値を高め、維持していくためには、商品価値を高める必要があります。
お客さんが求める商品価値は、それを通じて得られる心の満足です。
この満足感を生み出すのが、キャストの接客や会話のスキルです。
キャストごとに接客や会話のスキルに差がありすぎれば、生み出される満足感にも差が生じ、ブランド価値を保つことが難しくなります。
だからこそ、キャストに対する教育も重要となり、「この会話をすれば満足感が一定以上に保たれる」という会話術を教えるなどすることが重要となるのです。
営業許可の申請方法
以上のことを読めば、キャバクラ経営に大きく失敗しないだけの、基礎の基礎を押さえることができたと思います。
本質が分からずに的外れな経営をし、上手くいかずにたちまち倒産という可能性も、限りなく低くなることでしょう。
実際は、稼ぎを伸ばすために知っておくべきことは他にもたくさんあるのですが、それはひとまず置いておいて、ここで営業許可の申請方法を見ておこうと思います。
無許可営業店が多い理由
現在のキャバクラ業界では、無許可で営業している店舗がかなり多い(実態の把握は不可能)とされています。
なぜ無許可営業店が多いのかと言えば、理由は簡単で、申請から許可までの期間が長いからです。
キャバクラの申請のためには、キャバクラ店の内装が済んでからのことになります。
そして、許可を得るまでに平均で2~3ヶ月の期間を要します。
東京で申請する場合、東京都風俗環境浄化協会の審査を受け、その後所轄の警察署が正式に許可をしてから、初めて経営が可能となります。
ただし、これらの処理が2ヶ月以内に終わるケースはほとんどありません。
つまり、お店の内装を完了させてから、実際に営業を始めるまでに、3ヶ月程度も売り上げゼロの期間があるということです。
それに耐えられずに営業を始めてしまえば無許可営業店になり、その期間に警察の摘発を受ければ営業停止となります。
ならば、最初から無許可で営業を始め、摘発を受ければ閉店して逃げ、また新たに無許可で開店して稼ぐというお店が増えるのです。
だからこそ、無許可営業店の数は多く、実態も把握しにくい状況なのです。
しかし実際には、このような無許可営業は思うようにいかないことが多々あります。
摘発を受ければ逃げ、不動産を契約し、キャストを募集し、また逃げ・・・ということを繰り返していたのでは、経費がかかりすぎるからです。
キャバクラ経営によって独立することを目的とするならば、安定経営は絶対条件です。
したがって、収入ゼロのまま2~3ヶ月は待てるだけの資金を準備しておき、営業許可を得てから営業を開始する必要があります。
どうやって申請するか
キャバクラ営業の申請は、所轄の警察署の生活安全課に提出します。
この時の提出書類は、フォーマットを警察署でもらうことができますし、インターネットから手に入れることもできます。
とはいえ、それらを自分で処理するよりも、できるだけ行政書士に依頼したうえで申請したほうが賢明です。
というのも、この申請は少しの不備で許可が下りないことが多く、自分でやるには労力がかかりすぎるからです。
営業許可が下りるまでの大まかな流れは、以下の通りです。
調査を行なう
出店予定地の調査を行なう。
都市計画法上、キャバクラ経営ができる用途地域であるか、風営法上、保護対象施設が近隣に有るか無いか、営業所の内部構造は風営法・消防法・建築基準法などに問題が無いかを調べる。
また、申請者と管理者と役員が風営法での人的欠格事由に該当しないか。
準備
キャバクラ店の内装工事を行なう。
同時に、必要な書類の収集を行い、書類と図面を作成する。
申請
所轄の警察署の生活安全課に、必要書類を提出して申請を行なう。
申請が受理されてから、約10日で風俗環境浄化協会によって営業所検査が行われる。
区役所と消防署の検査も行われる。
許可
申請書類と営業所検査で問題がなければ、申請が受理される。
目標は60日以内とされているが、3ヶ月近くかかることもある。
許可が下りると、所轄の警察署から許可証が交付される。
申請に必要となる書類は、以下の通りです。
- 許可申請書類
所轄の警察署の生活安全課窓口でもらうことができる。
また、警視庁のホームページからダウンロードすることもできる。
ダウンロードの場合、プリントする用紙の指定があるため、注意する。
- 添付書類
営業方法を記載した書類
使用承諾書(営業所の使用に関する権限があることを証明する書類)
営業所の平面図
営業所周辺の略図
飲食店営業許可証(飲食物提供に伴う許可証)の写し
このほかの添付書類は、申請者が個人の場合と、法人の場合とで異なります。
- 申請者が個人の場合
住民票の写し(外国人の場合は外国人登録証明の写し)
人的欠格事由に該当しないことを誓約する書面
「成年被後見人」と「被保佐人」の登記がされていないことを証明する書面
申請者が管理者を兼ねる場合は、6ヶ月以内に撮影した証明写真(3cm×2.4cm)
※申請者とは別に管理者を置く場合には、管理者に関して上記の書類が必要となる
- 申請者が法人の場合
定款
商業登記簿謄本
役員に関する、個人の場合と同様の書類
その他の申請
実際に、キャバクラ店を営業するためには、風俗営業の申請以外にも、必要となる申請があります。
例えば、キャバクラでは軽食やお酒などの飲食物を提供することから、食品衛生責任者と防火管理者の届け出が義務付けられています。
食品衛生責任者
食品衛生に関する規定は都道府県によって異なりますが、食品衛生責任者として認められるためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 調理師であること
- 製菓衛生師であること
- 出店する地域の自治体が行う、食品衛生責任者養成講習を修了していること
- 食品衛生監視員の資格を取得するための要件を満たしていること
- 短期大学または大学において、栄養学などの食品衛生に関する学科を終了していること
- 食品衛生管理者、食鳥処理衛生管理者、船舶料理士のいずれかであること
- 各都道府県の社団法人食品衛生協会の食品衛生指導員であること
- 上記の条件と同等以上の知識があると都道府県知事が認めた人物であること
防火責任者
防火責任者として認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 各都道府県、市区町村ごとに実施する、甲種と乙種の講習を受講していること
飲食店営業許可
このほか、キャバクラを開店するためには、飲食店営業許可の申請も必要となります。
これは、営業開始の約2週間前に、出店する地域の保健所に対して申請するもので、書類を提出して施設検査の予約を入れます。
これによって、飲食店を開店する際には、その施設が飲食物の提供に適当な基準を満たしているかどうかを確認するのです。
営業施設基準に適合しない場合には、基準を満たすように改善しない限り許可を受けることができず、したがってキャバクラ店の営業もできないということになります。
飲食店営業許可の申請では、以下の書類を保健所に提出し、施設検査日を予約します。
- 食品営業許可申請書
- 施設の平面図
- 施設周辺の略図
- 食品衛生責任者の資格の証明書類
- 申請者が法人の場合には、法人の登記簿謄本
- カラオケを設置する場合には、深夜営業騒音指導結果報告書
- 井戸水を使用する場合には、水質検査成績書
- 新規申請手数料の納付
これらの書類を提出し、書類と施設検査で問題が無いとされれば、営業許可証が交付されます。
深夜営業のために
このほか、「深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届出手続き」という手続きもしておかなければなりません。
なぜならば、風俗営業の申請だけで営業を開始した場合、深夜12時までの営業しか認められず、それ以降の営業は法律違反になってしまうからです。
これでは、遅くまで飲みたいお客さんを顧客にできないわけですから、キャバクラ経営は成り立ちません。
そこで、この届け出をするのです。
この届け出をしておけば、深夜12時を過ぎても飲食物を提供し、営業することができます。
この届け出の窓口も所轄警察署の生活安全課であり、営業開始の10日前までに書類を提出する必要があります。
必要となる書類は、以下の通りです。
- 深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届出書(個人の場合には申請者個人の氏名と住所、法人の場合には代表者指名と住所、営業所の名称と所在地、営業所の構造と設備の概要を記載する)
- 営業の方法を記載した書類
- 営業所の平面図
- 個人の場合は住民票の写し(外国人の場合は外国人登録証明書の写し)
- 法人の場合は定款、登記簿謄本と役員の住民票
以上で、キャバクラ経営を開始するための申請は全てそろうことになります。
申請のコツ
申請から許可までに時間がかかること、またちょっとした不備でも許可が下りないことから、キャバクラ店の営業許可は一筋縄ではいきにくいことが分かると思います。
そこで行政書士に依頼するわけですが、できるならば警察とつながりのある行政書士を探して依頼したほうが良いでしょう。
そのような行政書士は、電話帳の行政書士の欄において、「風俗営業申請」という記載があるならば、警察とつながりがある可能性が高いです。
また、インターネットで「行政書士 風俗」などのキーワードで検索しても、申請を請け負ってくれる行政書士を見つけることができるでしょう。
ただし、行政書士を見つけただけでは、すぐに協力してもらえるとは限りません。
そもそも、取り締まりが厳しくなりつつある昨今、風俗業の申請をしたがらない行政書士が増えているのです。
そのような状況の中で協力してもらうためには、まずはキャバクラ経営を真面目に考えていることを真剣に話、協力を依頼する所から始めるべきでしょう。
キャバクラを規制する法律は、風営法(風俗営業法)と都市計画法のふたつです。
しかし、これらの法律は互いに目的が異なる法律であり、規制の方法も異なります。
そのため、実際の営業許可に当っては、所轄警察署の生活安全課の担当者の判断にゆだねられることになります。
だからこそ、警察につながりがあり、申請のポイントを的確に押さえている行政書士に依頼すれば、許可が下りやすくなるのです。
キャバクラ店の人事
ここからは、キャバクラ経営の細かい部分、テクニック的な要素を解説していきます。
まずは、キャバクラにおける人事に関することを述べていきます。
ここでいう人事とは、人材に関する全般的なことであり、キャバクラで働く男性従業員に関することです。
キャバクラに必要な人材
キャバクラの運営で必要となる人材について見ていきましょう。
キャストも人材であると言えますが、ここではキャストは商品であるとみなし、男性従業員に関して述べていきます。
基本的に、キャバクラ店の運営は、経営者、店長、ボーイによって回されます。
大きなお店になると、この他にもマネージャーなどの役職も設けられますが、基本的な運営に必要となるのは経営者、店長、ボーイです。
ここでの経営者とは、キャバクラ経営によって独立したいと考えているあなた自身です。
したがって、店長やボーイなどの従業員を雇っていくことになるわけですが、それらの従業員に求められる資質は何なのでしょうか。
最も基本的で重要な資質は、「その従業員は、果たしてお客さんに対して愛情のこもった接客をする能力があるか?」ということです。
キャバクラが究極の接客業である以上、これはどうしても必要になる資質です。
この資質を十分にそなえた、優れた店長やボーイがいるお店では、しばしばお客さんが「店長と飲みたいからテーブルに呼んでよ」とか、「ボーイの○○くんいるかな」と言ったように、キャストではなく男性従業員がお客さんから指名を受けるケースがあるほどです。
これらの男性従業員に対するお客さんの評価というものは、お店に対する評価にも直結するものです。
キャストは指名をうけた時、フリー客に付けられたときヘルプでついた時など、目の前のお客さんに対して接客する存在です。
しかし、男性従業員はお店に来るすべてのお客さんに接客する存在であるため、ある意味キャスト以上にお店の印象に関わる存在となります。
店長やボーイの仕事は、お店全体に気を配り、キャストをサポートし、時には自らお客さんを楽しませる存在です。
これらを全てこなせることも従業員としての資質となります。
特に店長に関しては、現場の総監督を任せる人材なのですから、経営者が信頼できる人物でなければなりません。
キャバクラ経営の現場では、店長が売り上げを持ち逃げしてしまうケースもありますから、しっかりと信頼できることを確認したうえで、初めてお店全体の管理を任せる必要があるのです。
店長の採用基準の絶対条件が信頼できることであるのに対し、ボーイについては、明確な採用基準を設けるのは難しいと言えます。
採用の流れとしては、アルバイトとしてのボーイを募集し、応募してきた人に2週間程度の試用期間を設けるのが良いでしょう。
2週間程度も実際に働かせてみれば、ボーイとしての資質があるかどうかが見えてくると思います。
その上で、問題ないとわかれば採用するのです。
お客さんに愛情をもって向き合い、お客さんの要求を察知してきびきび動くということは、なかなか教えられてできるものではありません。
感情の機微に疎い人は、「もっと周りに気を配れ」とか、「もっとお客さんの要求に敏感になれ」とか言ったところで、それができるようにはならないのです。
つまり、その人の持つ素質によるところが大きく、才能的な要素なのです。
したがって、試用期間の2週間でそれができる人材ならば、本採用しても役立つ人材になる可能性が高く、逆に試用期間でできない人材ならば、本採用しても役立たない人材で終わる可能性が高いと言えます。
この視点を以て、経営者は応募者をよく吟味し、レベルの低い人材が漫然と働く状況を作らないようにしなければなりません。
レベルの高い人材を発掘し、大切に扱うことこそが、キャバクラ経営の基本なのです。
男性従業員にお金をかける
男性従業員にはお金をかけるべきです。
多くのキャバクラは、男性従業員を使い捨てのように考えており、社員教育を満足に行わず、給料もそれほど満足できる状況ではなく、労働は過酷で、それゆえに接客態度が悪くなるケースが少なくありません。
キャバクラ店の商品はキャストです。
店長やボーイは、その商品を販売する販売員です。
いくらいい商品を揃え、その商品が魅力を放っていても、販売員が販売努力をしなければ、売れ行きは悪くなります。
つまり、キャストが頑張って営業して客を呼び込み、頑張って接客したところで、店長やボーイの態度が悪ければお客さんは定着しません。
いくらお気に入りの子がいるからといって、そのお店に行くことで店長やボーイから不快にさせられるならば、そのお店でお金を使う気にはなれないのです。
ですから、キャバクラ経営では、キャストと従業員の両方の質が非常に重要なのです。
お店とお客さんが良好な関係を築くためのキーポイントとなるのは、男と男の信頼関係です。
例えば、お客さんが店長を信頼していれば、「せっかくキャバクラでお金を使うなら、○○くん(店長)のお店でお金を落とさなきゃ、義理が廃るな」とか、もっと俗っぽい例では、「あのお店の店長は知り合いだから、行けばいい子をつけてくれるだろう」といった信頼感です。
これがあれば、お客さんは他のお店に流れることなく来店してくれるものです。
これは、言うまでもなく、従業員のハイクオリティな接客から生まれるものです。
したがって、経営者になるあなたは、従業員の採用には特に気を使い、従業員の給料や福利厚生などにも気を使うべきです。
従業員の努力が報われる、夢のある、魅力的な職場づくりのために、お金をかけることを厭うべきではありません。
価格設定をどうするか
次に解説したいのは、価格設定です。
価格設定によって売れ行きが大きく左右されるのは、どの商売でも同じことであって、キャバクラも例外ではありません。
一般的に、価格設定を行なう際には、販売までにかかったコスト・需要・競争によって設定します。
つまり、需要と競争を考慮しつつ、コストに利益額を上乗せする形で設定していくのです。
これをキャバクラに当てはめるならば、価格はお店の料金、原価はキャストの人件費、需要はお客さんのニーズ、競争はそのエリアにおけるキャバクラ店の相場料金であると言えます。
価格設定は、コンスタントに売り上げ、さらに儲けを伸ばしていくために重要なことです。
高すぎても安すぎても売り上げが伸び悩みます。
そこで、的確に価格設定を行なうための要素を一つずつ解説していくこととしましょう。
目標を設定する
価格設定のために、最初に考えるべきは目標の設定です。
一口に価格設定といっても、ともかくお店が存続するための価格設定、利益を最大化するための価格設定、売り上げを最大化するための価格設定、顧客満足度を最大化するための価格設定など色々あり、その目標によって実際の価格は変わってきます。
例えば、お店の存続を目標にするならば、様々な経費を確実にカバーする価格設定にするべきですし、顧客満足度の最大化が目標であれば、高品質であることをお客さんにアピールするために、多少高い価格設定になるでしょう。
多くのキャバクラ店では、利益の最大化が目標になることだろうと思います。
いや、これはキャバクラ店に限らず、多くの企業でそうでしょう。
利益を出すために経営していることがほとんどだからです。
それは決して悪いことではありません。
利益の最大化を目標にした場合には、その達成のために、コストと需要、そして価格の関係を最良のバランスにもっていき、そのバランスを保つ工夫が求められます。
例えば、需要とコストのバランスという点で見れば、曜日や時間帯に応じたお客さんの需要を分析し、それに対して過不足ないようにキャストの数を調整すれば、需要とコストのバランスが保たれ、コスト管理につながります。
また、このようにバランスを保てば、お客さんのニーズは満たされ、満足度も高まります。
コスト管理をしながら満足度も高まるため、利益を挙げていくための近道であると言えます。
データの収集・管理はキャバクラ経営の基本
多くのキャバクラ店では、科学的経営がなされていません。
それだけに、これからキャバクラ経営を始める人にとって、データを用いた科学的経営をしてこそ、勝機も見えてくるのです。
では、何についてのデータを集めるのでしょうか。
基本的なデータとしては、曜日と時間帯ごとのお客さんの数や滞在時間、キャストのシフト・ポイント・給料などが基本的なデータとなるでしょう。
しかし、このような基本的なデータは当然のこととして、より細かいデータがあれば、経営の最適化に利用しやすくなります。
例えば、キャストAのある日におけるデータとして、お客さんに就いた時間とドリンク数、本指名や場内指名を受けた本数などをデータとして蓄積しておきます。
そして、毎月1~2回データを開示してキャストに見せるようにすれば、キャスト自身はそのデータから「私は他の子よりもドリンクが少ないから、そこに力を入れよう」とか、「私は出勤時間は長いのに、日給は低いな。同伴が少ないからだろうな」など、自身の改善点を知ることができます。
また、経営側もそのデータをもとに、的確なアドバイスができるようになります。
男性従業員に対しても、類似したデータを開示するのが良いでしょう。
キャストや従業員にそのようなデータを開示することは、お店の一人ひとりがお店の運営に関わっているという意識を持たせるためにも有効です。
この他、お客さんからアンケートを取っているならば、その結果も全てパソコンで入力して管理することも重要です。
とにかく、経営に活かせそうなデータは蓄積しておけばどこかで活用できるものです。
このような情報は、お店の経営に活かすことができる「貴重な財産」であると考えましょう。
これからキャバクラ経営を始める人は、経営を始めた当初からデータを取り、データはいつまでも取っておくと考えましょう。
そうすれば、数年後には数年分のデータを読むことができます。5年分のデータを蓄積すれば、「過去5年における同月の売り上げの推移」などによって、売り上げの予測を立てることができます。
売り上げ予測が立てば、キャストのシフト調整が可能となり、それによってコスト管理に役立ちます。
また、お客さんの需要分析もできるのですから、需要が落ち込むとわかっていればイベントを行なったり、割引サービスを行なったりといった対策も可能です。
ここに至って、需要とコストのバランスが保たれ、利益の最大化も見えてくるのです。
つまり、「利益を最大化する」という目標を設定した場合、その目標の達成のためにはデータの蓄積が不可欠であるということです。
コストの算定
ただし、データの蓄積をすればすぐにコスト管理が完璧になるわけではありませんね。
シフトを的確に調整するだけではなく、キャストの給料をどうするのか、あるいは社員の給料をどうするのか、リース料はどれくらいか、店舗家賃はどうなのか・・・一口にコストといっても、色々なコストがあるからです。
コストは大きく分けると、固定費と変動費の二つがあります。
固定費とは、店舗家賃、融資を受けて経営を始めた場合の支払金利、減価償却費、リース料、事務所費用、男性社員の本給などがそれに当たります。
つまり、そのキャバクラ店が営業していくうえで、必ず発生する一定の費用のことです。
営業日数や営業時間に関わらず支払い続ける必要があるものですから、売り上げが落ち込んで固定費を割り込むと、赤字になって経営が困難になってしまう危険性もあります。
次に変動費ですが、これは材料費(販売したドリンクやつまみ、それに伴う氷など)、キャストの給料、男性社員の能率給や残業手当、その他の諸経費(水道光熱費など)がそれに当たります。
つまり、稼働率に応じて変動する費用です。
中でも大きな割合を占めるのがキャストの人件費であり、これに次いで大きくなるのが水道光熱費です。
これらのコストに関するデータも、必ず記録しておくべきです。
そうすれば、その月にどれくらいのコストが発生しているかを確認することができ、また予測以上にコストが発生した場合には、その原因を特定することも容易になります。
コストが悪化して経営を圧迫している場合には、早急に問題の悪化を防ぐ必要がありますが、データの蓄積がなければどうしようもありません。
ここでも、コスト管理のためにデータが重要であることがよくわかります。
上記の通り、キャバクラ経営においては、利益の最大化が目標となるだろうと思います。
適正な利益を確保していくためには、そのために必要となる売上高はいくらなのか、経費はどの程度に抑えるべきなのかを、具体的な数値とともに考えなければなりません。
単に、「売上高-経費=利益」と考えていたのでは、思うように利益を確保できない可能性が高まるのです。
これは、利益を追求するための経営の基本的な姿勢です。
そのためにも、やはりコストを把握することから始めるべきなのです。
利益の最大化のためには、売り上げが常に支出を超えているのはもちろんのこと、売り上げを伸ばす努力と、コストを厳しく管理していく努力の両立が必要です。
キャストの給料をどうするか
変動費の中、もっとも大きな割合を占めるのがキャストの給料です。
この費用は、キャストの出勤人数、出勤日数、出勤時間によっても変動しますが、お店の売り上げの4割程度に抑えるべきです。
この割合は、それ以下でもそれ以上でもいけません。
なぜならば、この費用の割合が低いということは、キャストの稼働率が低いということであり、お客さんよりもキャストの人数が少ないという状況も出てきます。
これでは、顧客満足度は低くなってしまうのです。
お客さんの満足度を下げずに経営するためには、お客さん10人に対してキャストは12人か13人くらいは揃えておくべきなのです。
キャストにかかる費用が大きすぎるのも好ましくないでしょう。
なぜならば、経営を圧迫してしまうからです。
理想的なのは40%程度であり、その範囲内でお客さんの満足度を下げない運営をするように、給料やシフトを的確に調整していくべきなのです。
ここでも、データの重要性が見えてきます。
前年同月のデータを参考にすれば、毎日の来店客数を大まかに算出することができ、その来客予定よりもキャストを若干多めに出勤させておくという対策ができるからです。
このような調整をすれば、キャストの人件費の合計は40%程度にすることができるでしょう。
変動費といえば、大きくなる可能性があって厄介なものと考えられがちですが、固定費とは違い、経営側の意識でコントロールできる費用でもあります。
データに基づいてコントロールしていけば必ず利益を増やすことができるのです。
キャバクラ経営とポイント制
ほとんどのキャバクラにおいて、キャストの給料はポイント制となっています。
ポイントの構成はお店によって異なりますが、本指名、場内指名、同伴、ドリンクの4種類が基本となっています。
この中でも、最も高いポイントとなるのが同伴です。
同伴をすれば、開店間もない時間帯でのお客さんを確保することができるため、お店にメリットが大きいのです。
本指名は、お客さんから電話で指名を入れられる場合と、入店した際に入れられる指名があります。
指名のないお客さんには、従業員の采配で「つけ回し」が行われ、15分程度でローテーションさせていき、その中で気に入られたキャストが指名されることがあります。
これが場内指名です。
本指名は場内指名に比べて、キャストの待機時間が少なくなりますから、ポイントが高くなります。
ドリンクは、お客さんがキャストに飲み物を奢ることです。
例えば、1杯一律1000円などで設定されており、1杯ごとにキャストのポイントが加算されたり、あるいはポイントに加算されず、ドリンク料金のうち一定の割合でキャストにキックバックされたりします。
多くのキャバクラでは、半月ごとに給料計算をしていきます。
最初の半月は契約した保証時給で働き、その間にポイントを貯めておき、ポイントに応じて残る半月の時給が決まるという仕組みになっているのです。
ポイントに応じた時給の変動を見てみると、1ポイント=10円として100ポイントごとに1000円ずつ時給が上がっていくというシステムのお店が多くなっています。
都心部のキャバクラ激戦区で働くプロのキャストならば、このようなシステムの元で大きく時給をアップさせ、月に100万円以上も稼ぐようなキャストもいます。
ただし、これからキャバクラ店を始めるあなたが、郊外に出店する場合には、ポイントはもう少し細かく刻んだ方が良いでしょう。
なぜならば、郊外のキャバクラで働くキャストは、都心部とキャストに比べてプロ意識が低いからです。
したがって、100ポイント稼げば1000円時給アップとすると、時給アップまでのハードルが高く、なかなか意欲的にポイントを稼いでくれない可能性が高いのです。
そうなれば、お店の売り上げも伸び悩んでしまいます。
そこで、10ポイント稼げば時給100円アップといったように、ポイントが小刻みに時給に反映されるようにすると、プロ意識を伴わずとも、ちょっと頑張ってみようという気を起こさせやすく、売り上げも伸びやすくなります。
このほかにも、ポイント制度をうまく活用すれば、売り上げのコントロールも可能です。
なぜならば、本指名、場内指名、同伴、ドリンクの4種類のうち、どの項目にどの程度のポイントを振り分けるかによって、キャストが意欲的に取り組む項目が変わるからです。
例えば、ドリンクによって付くポイントを増やしたならば、どうでしょうか。
ドリンクは1杯1000円ですから、お客さんはあまり気にすることなくキャストに奢りますから、キャストが多少おねだりしてもお客さんの満足度は変化しません。
そして、原価は100円くらいのものです。
つまり、ドリンク1杯でお店には900円の利益があり、ドリンクがたくさん注文されればお店の利益は伸びていきます。
ですから、売り上げよりも利益が欲しい月などには、ドリンクのポイントを高く設定することによって、利益の確保に役立てることができるのです。
このように、ポイント制はキャストのヤル気を引き出すために有効であり、さらには経営戦略を成功させるためにも有効であり、キャバクラ経営に大いに役立つ制度であると言えます。
需要分析
需要分析とは、キャバクラ店に足を運ぶお客さんはどれくらいいるか、お客さんが増えない理由はなぜか、お客さんは何を求めているのかなどといった、様々な需要を分析し、明らかにし、経営に役立てていくことです。
このような分析によって得られた情報は、商品となるキャストの改善、サービス内容の改善、価格の適正化、集客のための宣伝などに活用することができます。
いわば、より良いキャバクラ経営のためには、需要分析は必要不可欠です。
経済の原理の一つに、需要と供給の原理があります。
これはすでにご存知の人も多いと思いますが、価格が下がると需要が上がり、価格が上がると需要が下がるという原理です。
安ければ買いたいと思う人が増え、高ければ買いたいと思う人が減るということです。
利益の最大化を目指すキャバクラ経営では、価格を大幅に下げれば利益も薄くなるわけですから、大きな値下げは不可能です。
したがって、キャストやサービスの質や、イベントの活用などによって、価格を下げずにお客さんの需要を高めるような取り組みが重要となります。
経営の基本「損益分岐点」を知る
キャバクラ経営にかかわらず、これから経営を始める人が、必ず知っておかなければならない基礎知識として、「損益分岐点」という考え方があります。
これは、利益と損失がゼロになるポイントのことであり、売上高と経費総額が一致するポイントのことです。
つまり損益分岐点における売上高は、経営を続けていくために最低限達成しなければならない売上目標であるとも言えます。
この売上高を確保し、さらに利益を最大化するためには、コスト管理が重要です。
コストの中、変動費は売上高に連動します。
つまり、お店の売上高を伸ばすためには、たくさんのお客さんに来店してもらう必要があり、そのためにはキャストの出勤人数も増え、飲食物の提供も増えるため、売上高に応じて変動費も高くなるということです。
したがって、利益を伸ばすためには、売上高とは無関係に発生する固定費をキープしつつ、いかに効率的に稼働させるかということが重要となります。
このような考え方を知らない、経営の知識に乏しいキャバクラ店経営者は、ともかく売り上げを伸ばすことだけを考え、さかんに販促を行ないます。
その結果、お店で対応可能なキャパシティを超える来客が生じ、それをカバーするために人員を増やして固定費がかさみ、経営の基盤が不安定になってしまうのです。
したがって、安定的に高い利益を出していくためには、稼働率が100%を超えない(つまりキャパオーバーにならない)ようにし、できるだけ100%に近い稼働率を目指すことが重要となります。
そのためには、闇雲に販促をしないということも必要になります。
もちろん、経営規模を拡大していくためには、販促を行なって固定費が高まることもやむを得ないものです。
しかし、そのような固定費の引き上げはかならず後付けとして行われるべきものです。
販促を盛んに行い、一時的な売り上げ増加に応じて固定費を引き上げてしまえば、後で売り上げが下がった場合に固定費を簡単に引き下げることはできず、経営が傾きます。
具体例を挙げてみましょう。
販促によって稼働率が一時的に200%になり、とても1店舗では賄いきれないからといって、面積が2倍のお店に移り、稼働率を100%で回すことを図ったとします。
しかし、移転に伴って、家賃や人件費などの固定費も非常に大きくなり、その後も稼働率100%で稼働し続けることが困難になれば、経営は厳しくなります。
そうなるよりも、調整しながら販促し、どうしてもお客さんが入りきらなかった場合に限って、2店舗目を開店したり、面積の広い店舗に移ったりするべきなのです。
これはなにも、極端な例ではありません。実際のキャバクラ経営の現場でも、夏の間に売り上げが大幅に伸びたため、それに対応するべくキャストの数を大幅に増員したところ、秋には売り上げが落ち着いて人件費がかさんで潰れてしまったという話がよくあります。
また、大企業にも似たようなケースは見られます。
代表的なのはたまごっちでしょう。
バンダイはたまごっちが大ブームになったため、大量に増産したところ、ブームの沈静化に伴って大量の不良在庫を抱えて60億円もの損失を出したのです。
大企業でさえも、一時的な過熱によって需要を正しく分析できなくなると、このような事態に陥ることがあります。
健全なキャバクラ経営のためには、需要分析による売り上げ予測が重要です。
過去のデータから売り上げを予測し、予測が外れた場合には検証するということを繰り返すことによって、売り上げ予測が適正になり、コスト管理を徹底することができ、利益を最大化していくことができます。
価格の設定方法
では、価格設定の方法を見ていきましょう。
価格設定の方法には、主に以下の方法があります。
コストによる価格設定
これは、利益を安定的に得ることを目的とした価格設定です。
コストに一定の利益を上乗せして価格設定を行なうことによって、安定した利益を得ることができます。
需要による価格設定
コストではなく、お客さんの需要によって価格を設定するものです。
お客さんの意識や所得に合わせて価格を設定していきます。
競争による価格設定
同じエリアにおける他のキャバクラ店と競争することを考えて価格設定を行ないます。
そのエリアの相場を調べ、それよりも安い価格に設定したり、付加価値を設けたりします。
キャバクラ店では、多くの経営者が競争による価格設定を行なっています。
競合する他店と同じくらいの料金設定にしているのです。
しかし、この方法で価格設定をするのでは、お客さんはどのお店に行ってもそれほど変わらないのですから、利益を伸ばすことは難しくなります。
利益を伸ばすために本当に大切なことは、経営におけるコストを把握し、お店の規模に合わせて価格設定を行なうことです。
また、価格を高く設定しても、クオリティが伴っているならば、お客さんは「高いだけに質が良い」と考えるものですから、そのような要素も考慮した上で価格設定を行なっていく必要があります。
キャバクラ店の立地と内装
企業経営においては、流通チャネルというものが重要となります。
流通チャネルとは、その企業が提供する製品やサービスが、提供者から消費者に届くまでの流通経路のことです。
例えば、あなたがこれから経営するキャバクラ店の内装を作るにあたり、テーブルを卸売業者に注文したとします。
卸売業者はメーカーにテーブルを発注し、メーカーは卸売業者にテーブルを売り、メーカーの物流センターからあなたのお店にテーブルが届きます。
これが、流通チャネルというものです。
キャバクラ店の経営のためには、キャバクラ店経営にふさわしい、効率の良い流通チャネルを構築する必要があります。
流通チャネルは、一度構築してしまえば、そのチャネルによって長期的な経営が可能となりますが、変更するとなると膨大なコストがかかります。したがって、最初の設計が肝心となります。
では、キャバクラ経営にふさわしい流通チャネルとは、どのようなものなのでしょうか。
キャバクラ店における商品はキャストです。
キャストが提供者であるキャバクラ店から、消費者であるお客さんに届くまでの流通経路だけを見れば、特に経路と呼べるようなものはないでしょう。
しかしながら、提供場所となる店舗は重要です。
キャバクラ経営の成功のカギは立地と環境
立地条件がふさわしいかどうか、これは多くの事業で重要となるポイントです。
最適な立地条件というものは、業種や客層によっても異なります。
例えば不動産経営ならば、人口が多いエリアで、駅から近い物件であれば、うまくいく可能性は高いと言えます。
しかし、キャバクラ経営においては、繁華街にあるとか、メインストリートにあるといった条件だけでは不十分です。
実際、繁華街から離れているキャバクラ店や、路地裏にあるキャバクラ店でも、繁盛しているケースがあります。
繁華街という条件だけで店舗を選んでしまうと、店舗の賃料が高くなったり、保証金が高くなったりします。
お客さんの入りは悪くなかったとしても、店舗の賃料や保証金が大きくなってしまうと、損益分岐点も高くなり、利益が薄くなったり、赤字になったりする危険性もあるわけです。
かといって、いくら家賃が安くても立地が悪ければ、やはり好ましくありません。
では、キャバクラ経営を成功させるための立地条件と環境は、どのようなものが好ましいと言えるのでしょうか。
キャバクラ経営を始める人の資金力などによっても異なりますが、以下のような条件を満たしていればおおむね安全であろうと思われます。
- 1坪単価1万円程度の賃料であり、40坪以下であること
つまり、1か月あたりの賃料が40万円ということで、年間にして480万円となります。
それなりの準備金がある人ならば、仮に1年間売り上げがゼロでも持ちこたえられる水準を意識しています。
したがって、資金力がない人ならばこの坪数以下を狙う必要がありますし、資金力が豊富な人ならばこの坪数以上でもよいケースもあります。
これまで、データ収集を元に予測を立てることの重要性を解説してきました。
しかし、これからキャバクラ経営を始める場合にはデータの蓄積が無いわけですから、予測を立てることも困難です。
開店して見なければ、お客さんの数や売り上げが分かりません。
しかし、どんな状況であろうとも家賃は支払い続けなければならないのですから、無理のない賃料の店舗を選ぶことは重要です。
- 居抜き物件であること
次に、居抜き物件であることも大切な要素です。
居抜き物件とは、前に入店していたお店の内装がそのまま残っている物件のことです。
すでに述べた通り、キャバクラ店の営業申請が可能となるのは、お店の内装が完成してからです。
物件がスケルトンの状態であり、内装工事から始めなければならないならば、内装工事と営業許可までに3ヶ月以上を要するでしょうから、まず3ヶ月は売り上げゼロで賃料だけを支払う期間が生じます。
したがって、契約後にすぐ営業申請ができる居抜き物件が望ましいのです。
キャバクラ店の居抜き物件を見つけることができれば、非常に良いスタートになるでしょう。
開店のための基本的な要素がすでにそろっているからです。
その上で、独自の要素を盛り込んでいくのであれば時間と労力がかかりますが、それにしてもやはり効率が良いことには間違いありません。
このほか、お客さんの流れも無視してはいけません。
賃料が安い居抜き物件を見つけたとしても、お客さんが来なければ売り上げは上がらず、利益は得られないからです。
そこで、物件選びのポイントとして注目したいのが、以下のような要素です。
- 同じビルに飲食店があること
- 駅から住宅街までに飲み屋街があること
- 近くに繁華街があること
- お客さんがハシゴをする途中にお店があること
飲みに出かけて、1軒目からキャバクラに入るお客さんはほとんどいません。
だからこそ、同じビルに飲食店があったり、繁華街が近くにあったり、ハシゴする途中にお店があったりといったことが重要になるのです。
物件選びは経営を大きく左右するのですから、妥協すべきではありません。
何度も現地に足を運んで調査をし、「これならば間違いない」と思える物件を見つけるまで、粘り強く探し続けることが大切です。
物件に関する法律
物件を決めるにあたり、法律もチェックしておきましょう。
キャバクラを出店するにあたって、その物件は以下の条件を満たす必要があります。
- 商業地域ないしは近隣商業地域であること
- 半径200m以内に学校や児童施設、病院、図書館などがないこと
商業地域あるいは近隣商業地域であることは、その地域における市役所や区役所の都市計画課に行くことで、確認することができます。
周辺施設に関しては、風営法で定められている条件であり、詳しくは「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」で確認することができます(長いため、ここでは割愛します)。
このほかの条件として、その物件には2つ以上の避難経路が確保されていることも確認しておかなければなりません。
というのも、消防法の定めによって、避難経路が2つ未満の物件では営業許可が下りないからです。
キャバクラ店の内装は
さて、上記のような条件を元に物件を見つけたとして、話を進めていきましょう。
居抜き物件を見つけたとしても、それをそのまま活用できる部分もあれば、活用できない部分もあるものです。
例えば、床の状態が良くない、壁紙が良くない、冷暖房設備が不調である、照明を変えるべきといったことがあるでしょうし、他にも接客に必要となるテーブル、ソファ、ステレオといった機材をそろえる必要もあります。
飲食店やキャバクラ店の居抜き物件を狙えば、厨房の工事が不要であるため、経費は大幅に削減されますが、それでもリフォーム費用がゼロで済むことはほぼありません。
また、内装を整えておくことは、キャストのモチベーションアップにも役立つことです。
そのエリアにおける他店が、内装にあまり気を使っていないような場合には、内装をきれいに整えることで差別化を図ることができますし、きれいなお店で働きたいというキャストのニーズも満たすことができます。
内装を整えた、立派なお店で働いているということは、キャストにとってステータスの一つになります。
そもそも、キャストはキャバクラにおける商品であり、主役であり、女優のようなものです。
商品がいくら素晴らしくても、お店が立派でなければ商品の魅力は落ちます。主役を演じる女優がいくら美しくても、演じる舞台が立派でなければ、女優のモチベーションは下がります。
内装にある程度のお金をかけておくことによって、キャストのモチベーションは上がります。
給料が少し高くて汚いお店か、給料が少し安くてきれいなお店を選べと言われれば、後者を選ぶキャストが多いものです。
つまり、内装に多少のお金をかけたとしても、適正あるいは割安の保証時給で働いてもらうことができ、さらに辞めていくキャストを減らすことができるならば、長期的に見て利益を高めることにつながります。
また、店内をきれいにすれば、お客さんの印象を良くすることもできます。
内装が立派ではない夜のお店というものに対しては、どうしても怪しい雰囲気を感じてしまうお客さんが増えてしまいます。
しかし、清潔感があり高級に見える内装であれば、そのような不安を感じさせることもありません。
これらのことから、お店の内装に多少のお金をかけることによって、売り上げと利益を確実に伸ばすことができます。
売り上げの予測が立たないだけに、開店前の内装工事でお金をかけることに、躊躇してしまうかもしれません。
もちろん、費用はできるだけ抑えるのが基本です。しかし、効果が見込めるものに対してはお金をかけるべきです。
省くべきものを省き、使うべきところに使ってこそ、費用対効果は上がるのです。
内装に関する法律
とはいえ、どれほど工夫して内装をこしらえたとしても、それが法律に引っかかってしまうならば、営業許可が得られないのですから本末転倒です。
したがって、内装に関する法律を押さえておく必要があります。
風営法における構造基準では、
「営業所の構造または設備が風俗営業の種別に応じて国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合しない場合には、営業を許可してはならない」
という定めがあります。
このことをかみ砕くと、キャバクラ店の内装では以下の条件を満たす必要があるということです。
- 客室床面積は1室に付き66㎡以上であり、そのうち客用ダンスフロアが5分の1以上あること
- 営業所の客室が外部から見えないこと
- 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと(高さ1m以上の仕切りや衝立、背の高い椅子などを置かないこと)
- 営業所内の照度が5ルクス以下にならないよう維持できること
- 風俗を害する恐れのある写真や装飾などの設備を設けないこと
- 騒音または振動の数値が条例で定める数値以下に維持できること
- 客室の出入り口に施錠設備を設けないこと(営業所外に直接通じる出入り口は除く)
これらの条件のうち、多くの条件は皆さんも知っていたこと、あるいは予想通りのことだと思います。
しかしながら、問題になりやすいのが照明に関する条件です。
なぜならば、照明はお店の雰囲気を大きく左右する要素であり、特にキャバクラ店などでは落ち着いた雰囲気を演出するために、またキャストの容姿や雰囲気を落ち着いたものに見せるために、薄暗くするのが好ましいからです。
実際、程よく薄暗い空間は、人の心を落ち着かせることができ、居心地よく感じさせるものですから、キャバクラには好ましいのです。
しかし、上記のような定めがあるため、5ルクス以下に切り替えるスイッチなどがあると違反になってしまいます。
とはいえ、5ルクスに近い明るさをであれば、それなりに薄暗くなるものですから、雰囲気の演出では問題ないでしょう。
あくまでも、薄暗いのが良いからといって、5ルクス以下にできる設備をつけてしまい、違反を指摘されて変更しなければならなくなるような失敗をしないようにすべきです。
集客方法
キャバクラ店に限らず、どのような企業においても、集客のためにはプロモーションが必要です。
そのために活用される代表的な媒体は、テレビ、ラジオ、雑誌、広告、新聞、イベント、ダイレクトメールなどがあります。
これは、一度利用してくれたお客さんにリピートを促すためにも、未だ利用したことが無いものの興味を抱いている潜在的なお客さんを掘り起こすためにも、役立つものです。
このような情報を届けるにあたっては、4W1Hの考え方、すなわち
- Who だれに
- What なにを
- When いつ
- Where どこで
- How どのように
という要素が必要となります。
通常5W1Hと呼ばれ、上記の要素の他に「Why なぜ」が含まれますが、ここではプロモーションのためという目的が明確なのでWhyは含まれていません。
この4W1Hによってプロモーションを組み立てていくわけですが、とりわけHowについては、「広告」「販売の促進」「人的販売」「パブリシティ」の中から最適なものを選んでプロモーションを展開していくことになります。
では、これをキャバクラのプロモーションについて考えてみましょう。
まず、リピーター獲得のためのプロモーションですが、これは潜在顧客の掘り起こしよりも簡単です。
なぜならば、キャストがすでにお客さんと連絡先を交換しているでしょうから、営業メールと一緒に情報を流すことができるからです。
それによって、リピーターを獲得することができます。
難しいのは、潜在顧客の掘り起こしです。
新規客を呼び込むというのは、なかなか容易ではありません。
潜在顧客の獲得のために、捨て看板(電柱などの公共物に看板をつける行為)を利用するキャバクラ店が少なくないのですが、これは違法です。
また、捨て看板にはお金がかかるため、それによって新規客を呼び込めたとしても、採算が取れない可能性が高いです。
特に、本稿の冒頭部分で紹介した通り、風俗営業店を取り締まる風潮が強くなっている昨今、違法行為は避けるべきでしょう。
そこで、どのようにプロモーションしていくのかと言えば、以下のような方法が有効と考えられます。
口コミで営業する
それは、経営者自身の知り合いに、口コミで営業するということです。
例えば、飲み屋で営業するという方法があります。
これを4W1Hに当てはめるならば、
- Who キャバクラ店周辺の飲み屋の店主やお客さんに
- What キャバクラ経営をしていることや料金システムなどを
- When 一緒に飲むなどして伝えられる関係になったときに
- Where その飲んでいるお店で
- How 自らの口頭で伝える
ということです。
そもそも、飲み屋というのはお酒を飲むことが好きな人が集まっているものです。
不特定多数に宣伝するよりも、自分のお店に飲みに来てくれる可能性が圧倒的に高い人たちということです。
そして、多くの人は飲みに出かけた時、1軒目からキャバクラなどに行くことはなく、1軒目や2軒目は居酒屋などで料理を楽しみながらお酒を飲み、その後の流れでキャバクラに来るものです。
同じ飲み屋でも、居酒屋とキャバクラでは目的が異なり、店内で自分が経営するキャバクラ店のことを話したところで、居酒屋に迷惑をかけることはありません。
むしろ、同じお客さんをそれぞれが顧客にすることができます。
また、居酒屋などの飲み屋と組んでおけば、居酒屋の店主がお客さんから「この辺でいいキャバクラないかな」などと聞かれたときに、紹介してもらうこともできるわけですから、効率的に新規客を獲得できるのです。
実際、私の知り合いであるキャバクラ店の経営者も、日頃から周辺の飲み屋に足を運んで店主やスタッフ、お客さんと顔なじみになり、次第に自分がキャバクラ経営をしていることが知られていきました。
その結果、それらの飲み屋のお客さんの多くがキャバクラ店に足を運んでくれるようになりましたし、キャバクラ店の情報を聞かれればそのお店を紹介してもらえるようになりました。
これによって、新規の顧客の獲得も、リピーターの獲得も効率的に進めていくことができたのです。
もちろん、飲み屋を介した営業は非常に効率的ですが、飲み屋に捉われる必要はありません。
キャバクラ店に足を運んでくれそうな人が多いコミュニティに飛び込んで、関係を深める中で口コミによる宣伝をすればいいのです。
例えば、これも実際の例ですが、あるキャバクラ店の経営者は自分の卒業校の同窓会の役員になることで、効率的に宣伝を進めました。
高校の同窓会の役員ともなると、その地域において顔が利く人が多く、紹介の紹介、さらにまたその紹介という形で新規客とリピーターが増えていったそうです。
同窓会の役員になる以前と以降では、売り上げの増加率が明らかに改善され、経営が安定したと言います。
様々な宣伝方法がありますが、それらの多くはお金のかかるものであったり、場合によっては違法行為となるものです。
費用対効果を考えた場合には、何らかの手段によって口コミによる宣伝を行なった方が、圧倒的に効率が良いのです。
これからキャバクラ経営を始めるあなたも、飲み屋に介しての宣伝を試みても良いでしょうし、その他のコミュニティによる宣伝を試みても良いと思います。
口コミが口コミを呼ぶという環境を一度作り上げてしまえば、経営は安定するものです。
リピーターは収益性が高い
次に、新規客ではなくリピーターについて考えてみましょう。
何といっても、リピーターは収益性が高いというメリットがあります。
新規客を呼んだ場合、新規客はまだ指名するキャストがいないわけですし、そこが自分のホームという感覚もありませんから、様子見程度の気分で、できるだけ出費を抑えようとする傾向があります。
一方、リピーターには指名するキャストがいるわけです。
また、店長などとも顔なじみで、アットホームな感覚がありますから、警戒心などはなく、安心してお金を使ってくれます。
したがって、リピーターは新規客に比べると、圧倒的にお金を使ってくれやすいのです。
収益を伸ばすことを考えるならば、何といってもリピーターの囲い込みが重要です。
リピーターを囲い込むための最も有効な手段として、メールが挙げられます。
お店の負担するコストは通信費だけですから、宣伝費も非常に安いです。
多くのお店では、キャストに指名客への営業を指導しているものです。
これもリピーターの獲得のために重要な要素ですが、基本的にキャスト任せになりますから、あまりお店が関与できることではありません。
差別化のためにできる取り組みとしては、基本的な内容は同じでも、メールの文面にはお客さんの個人名を入れることです。
それによって、お客さんの自己承認欲求を満たすことができれば、いくらかの差別化になります。
とはいえ、このような営業メールというものは、どのお店のキャストも等しくやっていることです。
イベント時の集客など、その場だけの集客では大きな効果を上げることもありますが、キャストが個人的に送るメールですから、お店にはデータが残りません。
キャストが移籍してしまうと、お店はそのキャストが営業をかけていたリピーターを丸ごと失ってしまうことになります。
ナンバー入りしているキャストが移籍すると、売り上げが大きく下がるお店が少なくありませんが、主たる理由はここにあります。
そこで重要となるのが、顧客データをお店に残すシステムを作ることです。
そのために必要なのは、お客さんのメールアドレスの収集です。
とはいえ、キャストに教えるのとは異なり、お店がお客さんのメールアドレスを知るのは簡単ではありません。
プロモーションのメールを受け取ることを快く思わない人もいるからです。
収集の方法としては、すでにアンケートのくだりで述べた通り、お店のアンケートにメールアドレスを記入してもらうという方法があります。
これならば、記入したお客さんはメールを受け取ることを希望しているのですから、非常に好都合です。
しかしながら、アンケートに記入してくれるお客さんは、全体の2~3割程度であるというのが問題です。
アンケートだけでは、顧客データがなかなか蓄積されていきません。
多少の投資が必要となりますが、より効率的にお客さんのメールアドレスを収集する方法があります。
それは、会社名義で携帯電話を契約し、キャストに貸すという方法です。
キャストがお客さんとメールアドレスを交換する際には、その携帯電話を使ってもらうようにすれば、お店の携帯電話にお客さんのメールアドレスがどんどんたまっていくことになります。
さらに、キャストがお客さんに個人の連絡先を教える必要がなくなりますから、プライバシーを守るという点でも役に立ちます。
キャストに対しては、ストーカーその他の被害への対策のために、キャストにお店の携帯電話を貸し出すようにしていると言えば、安心感を与えることができるでしょう。
また、その携帯電話から営業メールを送れば、お店からのプロモーションであっても、受け取ったお客さんとしては、自分のお気に入りのキャストからのメールになるのですから、営業効果もばっちりです。
したがって、お店から送る営業メールの文面は、決してお店から送っていることを悟られないように、女性的な文面で送ることも考えなければなりません。
キャストに扮してお店から送るプロモーションのメールは、アドレスを教えてもらった日はその夜の中に送り、その後は週に1回程度が好ましいでしょう。
プロモーションの内容と時期
とはいえ、キャストからお客さんに送る営業メールだけではなく、お店自身がお店として営業メールを送ることもあります。
そのような営業メールでは、どのような内容のものを、どのような時期にかけるべきなのでしょうか。
内容には、様々なものがあります。
例えば、新しくキャストを雇ったときには、「今日から新人が入ります」といったメールを送れば、お客さんが興味を持って足を運んでくれるかもしれません。
また売り上げの低下を防ぐためのプロモーションも重要です。
例えば、雨が降っている日の早い時間帯にはお客さんが入りにくくなりますから、そのような時は「今日は雨の日につき、サービスデーと致します。〇時までにご来店いただいたお客様には、最初のワンセットを半額にてご利用いただけます」といったプロモーションを行なうのです。
他にも、数年のデータ分析によって、売り上げが落ち込むという予測が立てられた月には、「〇日は浴衣イベントを開催いたします」「〇日はコスプレデーと致します」というように営業メールを送ります。
このようなイベントの時は、お客さんの入りは明らかに良くなるものですから、活用しない手はありません。
このように、時期を計って営業メールを送る場合には、一つの守らねばならない鉄則があります。
それは、売り上げが落ち込んでいる時に限って、このようなメールを送るということです。
この視点を持たないキャバクラ店では、売り上げが良い時期にもプロモーションをかけてしまいます。
もともと100%近い稼働率であるにもかかわらずプロモーションをかけた結果、稼働率が100%を超えてしまい、キャストの人数が足りなくなり、お客さんの満足度が低くなり、将来的に売り上げが落ちていくということになります。
売り上げが落ちてから、これはマズイと思って一生懸命にプロモーションをかけても、「あのお店は、イベントの時に行くと客が多すぎて楽しくないからな」ということになり、挽回が困難になってしまうのです。
したがって、普段はイベントなどにはあまり頼ることなく、それ以外の面で稼働率を100%に近づけることに努力することが大切です。
その上で、稼働率が80%を下回ってしまうような月に限定して、プロモーションをかけていきます。
そうすれば、イベントを理由として足を運んだお客さんを受け入れるキャパシティがあるのですから、キャパオーバーに陥る可能性は低く、稼働率を100%に近づけていくことができます。
すなわち、効率の良いプロモーションであると言えます。
まとめ
ここまで、キャバクラ経営に必要となる本質的・基礎的な知識を始めとし、実際の経営を効率化するための知識についても解説してきました。
本稿を元にキャバクラ経営を始めれば、大きな失敗を犯すことなく、キャバクラ経営を軌道に乗せ、独立を達成することができるでしょう。
とはいえ、長文になりましたから、最後にそれらの情報をまとめ、本稿を締めくくりたいと思います。
キャバクラ経営に最重要項目
キャバクラ経営における最重要項目は、以下の4つです。
- キャスト、男性従業員
- 設定料金
- お店の立地と内装
- 集客のためのプロモーション
キャバクラ店を樹木に例えるならば、この4つこそが根であり幹です。
決して枝葉末節に走ることなく、この4つをしっかりと掴んで離さず経営することが重要です。
そうすれば、大過なく経営できることでしょう。
キャバクラにおける政策
キャバクラ店で利益を増大していくためには、上記の4つの要素を踏まえた上で、以下の政策を練っていくことが大切です。
- 商品政策
お店のコンセプトに合うキャストを揃え、会話術やマナーを一定水準に引き上げてブランド化する。
販売員にあたる男性従業員の質も決して軽視しない。
有能な男性従業員によって、商品であるキャストを効率よく稼働させ、お客さんとの信頼関係を築き、利益を高めていく。
- 価格政策
データ収集と、データに基づくコスト管理を徹底し、無理のない範囲内で経費率を下げ、利益率を高めていく。
他店と同程度の料金設定で、大きな利益を安定して得られることを目指す。
- チャネル政策
入念な調査によって立地と環境を検討し、内装にも気を配る。
- プロモーション政策
口コミが口コミを呼ぶ営業によって新規客を獲得し、また情報メールによってリピーターを獲得していく。
この4つの政策は、漫然と行うのではなく、目標を設定したうえで、その目標を効率的に達成することを考えながら練ることが重要です。
本稿で解説したことは原理原則的なことですから、どのような場合にも普遍的に利用できる情報ばかりです。
その上で、さらなる経営の効率化を図るならば、この原理原則を踏み外さない範囲内で、経営の最適化を考えるのが良いでしょう。
これからキャバクラ経営を始めるあなたが、成功することを願ってやみません。