フリーのお客さんについて接客をするのが苦手なキャバ嬢は多いものですが、何が苦手なのかを聞いてみると、フリーのお客さんに接客する短い時間(5~10分ということが多い)では何を意識して接客すればよいのかわからず、まごついているうちにタイムアップになってしまうということです。
この記事では、お客さんが発するサインの汲み取り方をお教えしようと思います。
お客さんのサインを汲み取る
ミラーリングというテクニックによってお客さんの行動を真似て似た者同士であるアピールをすること、話し方を合わせてそこでも似た者アピールをすることなどがテクニックとして挙げられますが、これらは感情のレベルでのすり合わせを目的としたものです。
しかし、これはこちらからお客さんの心に合わせるというものであり、お客さんの気持ちを掴むことができればより良い接客ができるのは言うまでもありません。
この記事では、お客さんが発するサインの汲み取り方をお教えしようと思います。
サインは色々な場面で色々な形で現れます。
例えば、お客さんが暑そうにしているとしましょう。
あなたは気を利かせて、「上着をお預かりしましょうか?」と声をかけると思いますが、その時お客さんはあなたの眼をみて「うん、お願い」と言ったとしましょう。
もしこの時お客さんが「うん、お願い」を言わなかったとしても、おそらく上着を預けたいのだということは分かるでしょう。
お客さんの眼から上着を預けたいというサインを汲み取ることができるからです。
ほかにもあります。
あなたがお客さんの水割りを作ろうとしたら、お客さんはあなたの眼を見ずに釣り眼がちになって「ちょっと喉がかわいたからウーロン茶にしてくれるかな」と断ったとします。
もしお客さんがそのような発言をしなかったとしても、勘のいいキャバ嬢ならば「ちょっと飲むペースが早かったのかな?作り置き状態になるとおいしくなくなるからウーロン茶なんかどうかな?」と考えることができるでしょう。
これは、水割りを作ろうとしたお客さんの表情やしぐさをサインとして汲み取っているのです。
このようなサインを知っていると、お客さんの本心を知ることができるようになります。
例えば、上着を預けた後もお客さんが暑そうにしていたため、あなたがお客さんに「冷房を少し強くしましょうか?」と言ったところ、お客さんはあなたの眼を見ずに少し釣り眼がちになって「いや、大丈夫」と言いました。
これは「大丈夫」とは言いつつもNOのサインが出ているという事です。
つまり、大丈夫というのは本心ではなく、本当はもっと涼しくしてほしいと思っているものの、ほかのお客さんや露出の多いキャバ嬢に気を使って「大丈夫」といったのだということが分かります。
そのような時、あなたは気を利かせて「私も、肌を出していても少し熱いですから、温度をさげますね」と言えば、お客さんは「本当?君が寒いかなと思ったんだけど、そうしてくれると助かるよ」などと言ってくれると思います。
しつこいのでは?と思うかも知れませんが、そもそも暑そうにしていることを確認したうえでの「大丈夫」との言葉ですから、おそらく本心では涼しくしたいと思っていることは間違いないので問題ありません。
このように、人間は必ずしも本当に思っていることだけを言葉にするわけではありません。
お客さんが本当はどう思っているかを汲み取りながら接客することができれば、お客さんは「気の利く子だな」「僕のことをよく見てくれているな」と思い、信頼を寄せるようになります。
代表的なサインの例
言葉に現れない本心を汲み取るためのサインは、お客さんによって異なります。
そのため、初めてのお客さんに接する時にはその人のサインをいち早く見つけておくようにしましょう。
もっとも、このテクニックはフリーの段階では多くを見つけ出すことはできませんが、接客を続けるうちにできるだけたくさん見つけるようにすれば、今後の気配りにとても役立ちます。
また、このテクニックはお客さんへの気配りだけではなく、会話を広げるにあたってもかなり役に立つものです。
お客さんによって異なるサインの中にも、一定の類似性があるサインもありますから、以下にいくつかの分かりやすいサインを上げておきましょう。
体が開いているか閉じているか
お客さんの体が開いている時は受け入れているYESのサイン、閉じている時はNOのサインとなります。
新規の来店のお客さんや、上司や取引先の人に連れられて来店したお客さんは緊張しているものです。
そのため、着席すると足や腕を組むことによって、無意識的に守りの姿勢をとるようになることがほとんどです。
この姿勢が強い人では、自分のカバンや上着を抱えたまま座るお客さんもいます。
常に体のどこかが閉じている状態ですが、時間が経つことによって少しずつ慣れていき、気分のいい場所、おいしくお酒を飲める場所という意識が芽生えてくると、組んでいた腕や足をいつしか解くようになります。
このような反応は、常連のお客さんにも表れることがあります。指名のキャバ嬢に対しては心を許しているお客さんも、新人のキャバ嬢などがヘルプでつくと慣れない感じがするため、脚を組んで座るようになることがあるのです。
このようなケースもありますから、初めて接客をするお客さんに対しては、そのお客さんが新規か常連かに関わらず、体の開き具合・閉じ具合を見ながら自分がどれくらい受け入れられているかを見定めて接客を変えていくと効果的です。
ちなみに、足に注目していると他のサインも見られます。
例えば、足を頻繁に組み替えたり貧乏ゆすりをしたりするお客さんがありますが、そのようなしぐさはイライラの表れであることが多いのです。
お客さんとの距離感
次に、心理的な距離が物理的な距離に現れるというサインです。
アメリカの心理学者にカーンという人がいますが、この心理学者の実験では物理的な距離が近い男女は心理的な距離も近いということを証明しています。
これはキャバクラでも使えるものです。
物理的な距離が埋まれば心理的な距離も埋まっていくのですから、お客さんに近づくことによって親しくなれるということになります。
そのため、例えば座りなおすふりをしながらお客さんに少しずつ近づくようにすれば、次第に物理的な距離は縮まっていき、やがて心理的な距離も近づけることができます。
もっとも、このようなテクニックを使ったとしても、お客さんとまだ打ち解けていない段階ではお客さは距離を保とうとして来ることでしょう。
これはNOのサインと受け取ってください。
もし距離を保とうとしていなければ、受け入れているサインであると言えます。
座りなおすふりをして近づいていくのは、お客さんの隣に座っていなければできないことですが、隣に座っていない場合でも別の方法で実践することができます。
それは、自分のグラスをお客さんのグラスに近づけて置くという事です。
もしこのとき、お客さんがグラスの距離を保つために、飲んだ後にグラスを離して置いたり、グラスを引いたりした場合にはNOのサイン、逆ならばYESのサインと考えることができます。
このような座り直しやグラスを近づけるテクニックは、お客さんと自分の距離感を知るための判断基準としてとても便利なものです。
サインを集める簡単なテクニック
上記のようなテクニックは、その行動をとることによって求める結果が得られる傾向が強いというだけのことです。
どんどん実践してよいと思いますが、できる限りお客さんごとに現れるサインを見つけていくようにしましょう。
難しそうだと思うかも知れませんが、実際にはそうでもありません。
以下のポイントに注意してお客さんを観察してみましょう。
- 顔の表情
- 目の動き
- 呼吸
- 姿勢
上記のポイントは、具体的には以下のような形で現れます。
たとえば、うららかな日和のある日、あなたはお客さんに
「もう暖かくなってきて、お昼もさわやかで気持ちよかったですね」
などの当たり障りのない質問をします。
YESかNOで答えられる質問であり、なおかつYESかNOのどちらかである可能性が高いことが条件です。
そこでお客さんが
「そうだね。営業で外を歩いていても気持ちよかったよ」
などと答えるわけですが、その時に上記の4つのポイントをチェックするのです。
頬が上がった、目が開いた、深い呼吸をした、うなずきながら言ったなど、色々なサインが見られることでしょう。
このような時候の質問ではYESと答え可能性が高いため、その時の反応がYESのサインであると考えられます。
そのサインを覚えておきましょう。
もしこの時、
「そうかな?営業で外を歩いてたら、やっぱりまだ風が冷たいよ」
などのNOの反応が出たとしても、それはNOのサインを集める参考になります。
よほどあまのじゃくなお客さんでなければ、いい気持ちだったのにあえて「寒かったよ」などと答えることはないため、YESとNOのサインを順調に集めていくことができると思います。
このほかにも、色々な場面でチェックをしていきます。
どう見ても長い付き合いである二人組が来店したならば「お二人は長いお付き合いなんですか?」と聞いたり、名刺を見て「営業部長」と書いていたならば「営業部長をされているんですね」などと聞くのです。
これを繰り返すことによって、そのお客さんのYESとNOのサインをたくさん集めていくことができると思います。
このような、お客さんの本心を見極める技術はキャバ嬢には必須です。
会話が進んでくると、お客さんは駆け引きをするようになり、本心を隠そうとするようになります。
その時になって本心が読めずに不快にさせてしまえば、もう手遅れです。
最初の段階でシンプルなサインを集めて置き、お客さんの本心を知ることができれば、お客さんの心をぐっとつかむことができるでしょう。