キャバクラで遊ぶお客の心理は、「できる限り安く遊びたい」です。
もちろん、見栄を張って散財したい人もいますが、大半の人は安く遊びたいと思っているものです。
安くてかわいい女の子がいる店を求める客と、お客をどうにかして取り込みたい店との攻防を見ていきましょう。
客入りが少ない時間帯をどうしのぐか
客はキャバクラで使うお金を安く抑えようと思う人も多いのですが、そのような人には3つの方法があります。
1、 開店直後などの早い時間に行く
多くの店で、料金は三段階に分けられています。
良心的な店舗は税込み価格を表示しており、午後7時~8時は60分で6000円、8~9時は60分で8500円、9時以降は60分で10000円といったあんばいです。
これは基本セットである60分あたりの基本料金であり、例えば7時50分に入店した場合には8時50分まで滞在しても6000円となります。
したがって、7時~8時というのはその間に入店すればその価格が適用されるのであり、7時に入店して8時に出た場合というのではありません。
しかし、これはあくまで基本料金であり、指名料やサービス料、テーブルチャージ料などは別途かかるのが一般的です。
この仕組みが集客にどのような影響を与えるのかと言えば、利用者が少ない時間帯には価格を抑えることによって集客を図るという事です。
これは、キャバクラだけではなく色々なビジネスで行われていることです。
価格を抑えることで、新たな顧客を開拓することもできます。
このほか、基本料金を安くすることでお得感を与え、実際にはサービス料やチャージを別にすることで実質的な売り上げに大きな影響を与えないという手法も見られます。
2、 滞在時間を短くする
二つ目の方法は、滞在時間を短くするというものです。
キャバクラではお酒も入っている上に、帰ろうとするとお気に入りのキャバ嬢から「もう帰るの?」などと延長をせがまれることもあるため、ついつい長居しがちとなり、料金も高くなってしまいます。
上記の料金設定を例にするならば、30分の延長で約5000円もの追加料金となります。
タクシーメーターのように料金が上がっていき、気づいたころには高くなっています。
そのため、料金を抑えたい場合には滞在時間を短くする必要があります。
高級店では自動延長制のお店が多いものですが、これは時間が経過して延長に入っても特になにも知らせてくれないというものです。
自分で時計を見ながら時間を管理するか、指名のキャバ嬢に「今日は2時間で帰る」と知らせておく必要があります。
うっかり長居すると、10万円以上の請求をされるかもしれません。
逆に、低価格店では延長ごとに時間を知らせてくれたり、前払いで払ったお金の分だけ滞在できるというお店もあります。
このように書くと高級店があくどいと感じる人もいるかもしれませんが、高級店ではお金に余裕がある客が多いため、くつろぎの時間を料金の話で壊すことがないように自動延長が適しているのです。
一方、低価格店の客は初めから使えるお金が決まっていることが多いので、定期的に料金を知らせなければトラブルになるかもしれません。
3、 割引券を使う
料金を安く抑えるためには割引券も有効です。
割引券には2種類あります。
初めて来店する客を対象とした割引券と、来店する全ての客に渡すものです。
キャバ嬢が自分の指名客に送るDMに同封されることもありますが、これは後者の割引券です。
初めての客を対象にした割引券の目的は、ともかく一度お店に足を運んでもらうことです。
未だキャバクラに行ったことがない人も対象となりますが、そのような人にキャバクラの魅力を知ってもらいたいという思いもあります。
そのため、基本料金を抑えることができる割引券となっています。
例えば、「初回のお客様に限り40分3500円」というようなものです。
ただし、指名はできないなどの制約があることも多いです。
初めてなので指名がなくてもいいようにも思えますが、実際には客はネットや雑誌からお気に入りのキャバ嬢を見つけて来店することも多いため、指名が出来ないようになっているのです。
また、店側の主張としては、客にお気に入りのキャバ嬢がいる場合には、そのキャバ嬢に会いたいがためにお金を支払うのですから、力関係では客の方が下になるとも考えることもできるため、正規料金で入店してくださいという事です。
次に、来店した客に渡す割引券ですが、これは次回の来店の際に割引ができるものなのでリピーター獲得に大きな役割を果たします。
ただし、有効期限を設けなければ、客は「そのうち行こう」と考えてなかなかリピートしないとも限りませんので、割引券には短めの有効期限がついています。
その代わりに割引率は高くなっているため、客は「早くいかなきゃ損だ!」という心理になります。
次回の来店の十分な動機を与えることができるのです。
有効期限のほかにも、「午後8時までに入店した場合に利用可能」などの制約を設け、お店が集客に苦労する時間帯や、キャバ嬢と同伴で入る時間帯に指定していることもあります。
この割引券で最も一般的な割引率は50%OFFです。
半額になるのですから、お得感はかなり大きいです。
ただし、会計総額が半額になるのではなく、基本料金が半額になるという条件付きです。
つまり、基本料金が1万円のお店ならば5000円になるというものです。
指名料やサービス料は割引対象ではないため、お店はそちらから売上を確保することができます。
つまり、半額もの割引をするものの、リピーターを確保することができ、しかも客は「今日は50%OFFだ」という気持ちを強く持っていることから、サービスなどを気前よく利用することが多く、結局総額としては割引を適用しない時とそれほどかわらないということもよくあるのです。
キャバ嬢が客に直接割引券を送ることもありますが、これはさらにお得感が大きなものです。
例えば、一般的な割引券には午後8時までに入店した場合に有効などといった制約があるのに対し、キャバ嬢が送る割引券は午後9時の入店まで有効であったり、指名料込みでの割引となっていたりします。
もっとも、客の多くはいくらお得感が大きいからと言って、このDMを好みません。
なぜなら、キャバクラの店名やキャバ嬢の名前が書かれたDMだからであり、これが家庭に届くと奥さんから激しく責められることにもなりかねないからです。
しかしキャバ嬢の方でもこのことは分かっているので、封筒の表記を工夫することになります。
その他の割引
割引券とは形態が違う割引もあります。
例えば、VIP会員カードがそれに当たります。
毎月一定の会費がかかるのですが、無料招待を受けられることがあったり、誕生日に来店するとプレゼントがもらえたりする特典があります。
ほかにも、ポイントカードを発行しているお店もありますね。
一定の利用額に対してポイントを付与するというものです。
ポイントカードがあるお店とないお店では、どうせならばポイントカードがあるお店でお金を使ってポイントを貯めようと思う人も多いので、顧客シェアを高めるために有効です。
顧客シェアとは多くの客を集めるというよりは、一人の客にできるだけ繰り返し来店してもらうことです。
例えば、毎月4回キャバクラで遊ぶ客がいたとして、その人が毎回違うキャバクラに行っているならば、その客を月に2回、3回と呼び込むことによって、自分のお店でできるだけお金を使って貰うようにするのです。
その客が来る頻度が高まれば、すなわち顧客シェアが高まったことになります。
これがポイントカードの意義です。
これは、キャバクラだけではなく色々な商売で使われていますね。
スーパーでポイントカードを発行しているお店は多いですし、TSUTAYAと提携してTSUTAYAカードが使えるようにしているお店も多いです。
航空会社のマイレージ制度もそうですね。
クレジットカードのショッピングポイント制度も同じです。
ポイントカードサービスで大切なのは、長く続けることです。
利用者が少ないからと言って止めれば、これまでポイントを貯めていた客から大バッシングを受けることとなります。
また、お店が潰れたからポイントは無効ですというも問題で、グループ全体の信用を損なってしまいます。
ただし、キャバクラのポイントカードと、コンビニ・スーパー・デパート・航空会社などといった会社のポイントは大きく異なる点があります。
それは、顧客のロイヤリティの方向です。
例えばデパートでは、顧客ロイヤリティはお店に向かっていますが、キャバクラの場合にはキャバ嬢に向かうことになります。
このことは、お気に入りのキャバ嬢が他店に引き抜かれれば、客もキャバ嬢について他店にいってしまうことからもよくわかります。